近世における栃木県内の水運(舟運、河川水運)については先行研究が多数あり、水系や河岸ごとにも研究が進んでいます。まずは、調べたい地域ではどの河川が水運に使われていたか、流域にはどのような河岸があったかを確認し、資料を絞って調査するとよいと思われます。
宇都宮の概要を把握するためには、宇都宮市史の以下の項が参考となります。
・『宇都宮市史 第6巻 近世通史編』(宇都宮市史編さん委員会/編 宇都宮市 1982)
「第四章 交通と運輸 第六節 河川運輸」
鬼怒川水系が主な水運手段であることが読み取れるほか、主な河岸、運ばれた荷物についてまとめられています。本文中に記述の出典となる文献も示されています。
鬼怒川水系については、以下の資料で主題としていますのでご紹介します。
・『近世関東の水運と商品取引 続々 鬼怒川・利根川上中流域を中心に』(丹治健蔵/著 岩田書院 2017)
p.5-23「第一編 鬼怒川水運の展開と商品流通 東北・北陸農村の江戸廻槽商品」
※「序章 鬼怒川水運史の研究回顧」では、先行研究の状況について確認できます。
・『鬼怒川・小貝川の舟運再発見』(鬼怒川・小貝川流域を語る会/編 発行 1999)
・『下野の水路 鬼怒川水系をゆく』(竹末広美/著 随想舎 2021)
このほか、下野国全体の水運の状況も併せて調べるのであれば、以下の資料も所蔵しています。
(先述の資料中で参考文献として取り上げられているものも含みます。各河岸単位で研究された資料については、該当の市町村史等、他にも所蔵していますが個別のご紹介は省略します。)
(県史)
・『栃木県史 通史編5 近世 2』(栃木県史編さん委員会/編 栃木県 1984)
「第8章 商品流通の発達と交通運輸 第3節 河岸と舟運の変容」
・『栃木県史 通史編7 近現代 2』(栃木県史編さん委員会/編 栃木県 1982)
「第4章 明治期の金融制度と交通・通信 第4節 水運と道路交通」
・『栃木県史 史料編 近現代7』(栃木県史編さん委員会/編 栃木県 1978)
「交通 1水運」
※『栃木県史編さんの記録 県史完成記念 16年間の編さん事業』(栃木県教育委員会/編、発行 1984)から関連する目次を確認しました。項目のみお知らせします。
(その他)
・『内陸水路の歴史地理学的研究 近世下野国の場合』(奥田久/〔著〕大明堂 1977)
・『栃木の水路』(栃木県文化協会/編、発行 1979)
巻末の参考文献一覧が充実しており、多数の資料が紹介されています。(p.370-376)
・『関東河川水運史の研究』(丹治健蔵/著 法政大学出版局 1984)
・『近世関東の水運と商品取引 渡良瀬川・荒川・多摩川流域を中心に』(丹治健蔵/著 岩田書院 2013)
・『江戸とつながる川の道 近世下野の水運』(栃木県立博物館/編、発行 2014)※平成26年度秋季企画展図録
参考事例:
・鬼怒川水運の河岸のひとつである石法寺河岸の概要を知るための資料を探している。(栃木県立図書館)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000226755・栃木県内の川舟の操船技術に関する資料はあるか。(栃木県立図書館)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000233865・下野国における江戸時代の木材の舟運について調べたい。(栃木県立図書館)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000314095・江戸時代の鬼怒川の交通について知りたい(宇都宮市立図書館)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000166084・鬼怒川の河岸(江戸時代頃)についての資料を探している。(宮城県図書館)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000305082