会期:2000年8月7日~10月28日
青く輝くナポリ湾に臨み、背後にヴェスヴィオ山がそびえる大地に、古代ローマの都市遺跡ポンペイが広がっています。当時一万数千人が暮らしたポンペイは、豊かな自然の恵みを享受し、農業や通商で栄えた町でした。しかし、西暦79年のヴェスヴィオ山爆発で噴出物に覆い尽くされ、一瞬のうちに埋没。その後、町が見つかったのは18世紀になってからです。火山灰が風化を防ぎ、発掘された建造物や品々は保存の状態がよく、時間の経過を感じさせませんでした。
この展覧会は、イタリアを中心に考古学、美術史、科学等の専門家が国際プロジェクトチームを組んで企画されたもので、古代ローマ時代の暮らし、自然、科学、技術、芸術を改名しようとするものです。とくに、古代ローマの科学技術を扱った展覧会としては世界で初めての試みで、1999年にナポリ国立考古学博物館で開幕、その後、アメリカ、ドイツ、フランスを巡回し、古代ローマ帝国の一都市で繰り広げられた人間の営みを、総合的に解き明かすこの展覧会は、開催各国で高い評価を受けています。日本では、「日本におけるイタリア年」の主要行事のひとつとして開かれ、世界巡回の内容に映像による紹介や展示構成の再編などを加え、鑑賞者がより理解しやすいよう工夫がなされています。
ポンペイの人々は、火山の噴火や地震という危険があるのを知りながら、代々受け継いできた土地での暮らしを続けました。火山列島に住む日本人にとって、ポンペイの歴史は、単なる遠い過去のできごとではなく、より身近なものに感じられます。21世紀を迎えて、二千年前の都市の遺産は何かを教えてくれるのではないでしょうか。
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https://www-art.aac.pref.aichi.jp/exhibition/000152.html 愛知県美術館HPより)
(最終アクセス日:2020年3月21日)