レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016年01月17日
- 登録日時
- 2016/10/12 13:41
- 更新日時
- 2017/01/05 14:31
- 管理番号
- 埼久-2016-071
- 質問
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解決
「大宮案内」(実業新聞社 1910)に記載されていた、大宮の氷川公園の三業地について知りたい。
- 回答
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県立熊谷図書館の地域資料が資料移動のため利用できず、県立久喜図書館所蔵資料のみで調査を行った。質問に関連する記述のある以下の資料を紹介した。
『大宮市史 第4巻』(大宮市編 大宮市 1982)
p1057 大宮公園(当初は氷川公園)は「(前略)3分の2強の区画は旅館料亭・茶店・園芸業者等に貸し付けられ」とあり。
p1059 「また氷川公園使用取扱内規によると公園内で営業を許可する十二業種をあげているが(中略)なお、参考までにその十二業種を次に掲げる」
p1066 本多静六博士による公園改良計画案の図(大正10年)あり。この図は「現在の公園地は主要部の大半を数件の料理店が独占し、公衆の使用を妨げている」のでこの大部分を向山の後方に移した案である。
p1071 「(前略)公園内で営業をしている料亭等の立退き移転費なども予算化された(中略)同時に公園内から料亭を分離するという改良計画に沿って園内料亭の移転も促進されるようになった」
p1072 「(前略)一方、公園内の料亭は年度内に立退きを余儀なくされ立退き場所を物色中であるが、県では幾分の立退き料を支給する内意である」
p1075 「(前略)児童遊園地は料亭万松楼跡に建てられたもので」
p1094-1095 大宮駅周辺の説明として「明治三十五年の「埼玉県営業便覧」によると料理店七、待合二、芸者屋二、旅館一、旅人宿二が駅の近くにみられる」「ところで料亭・芸者置屋・待合のあるところを三業地といい、その組合を三業組合といった。大宮街では明治43年7月にこの三者合わせて42軒による大宮三業組合がつくられた。このうち芸者置屋・芸妓数は9軒24人であった。このほか前述の氷川公園には万松楼・八重垣・石州楼・三橋亭の四戸の料理店兼旅館が公園同盟料理組合を設けていた」とあり。
p1096 「(前略)昭和3年町政要覧の「遊楽の栞」に詳しいので次に掲げる」とし、料理店の説明として「一流どころとしては遊園地ホテル(中略)(以上公園同盟会)、八雲・清水園・松楽・吉田屋・翁屋(大宮三業組合)等である」とあり。待合の説明として「現在では左の7軒ある。(中略)芸妓(中略)黒塚三業指定地(後略)」とあり。
『埼玉県営業便覧』(田口浪三〔ほか〕編 埼玉新聞社出版局 1977)
p11 繁昌記に「大宮公園 (前略)園内、割烹店と旅館とを兼ぬるもの數戸あり、就中萬松樓は北境松林の間にありて、館内に鑛泉浴場を設く、八重垣樓又三層樓を似て宏大なるものなり」とあり。
ページ記載なし、「繁昌記」と「町列」のあいだにある広告ページに「料理旅館 大宮公園 萬松樓 鑛泉の設けあり」「料理旅館 大宮公園 八重垣樓」の広告あり。
p79 町列に「料理店兼旅館 萬松樓」「料理店兼旅館 八重垣樓」あり。
『企画展「氷川神社と大宮公園」展示解説書』(埼玉県立歴史と民俗の博物館 2015)
p10 「開園後、大宮公園は東京近郊の行楽地として観光客も訪れる公園となりました。(中略)明治末期には旅館や茶店、演芸業者の借地などで園内の多くが占められ」とあり。大宮公園が登場する小説として、永井荷風「野心」(明治35年)、「歓楽」(明治42年)、森鴎外「青年」(大正2年)、田山花袋の紀行文「東京近郊一日の行楽」(大正12年)が紹介されいている。
『新埼玉文学散歩 下 中山道・佐吉多万・古利根・元荒川』(榎本了著 まつやま書房 1981)
p40 氷川神社境内の原生林が氷川公園になったのは明治18年とあり。
p42-43 「大宮公園には、昭和の初めまで、今の児童遊園地あたりに万松楼はじめ四軒の料亭があって」「ところが昭和四年、公園内での風俗営業が許されなくなり、これらの料亭は立ち退かされたのである」とあり。
『大宮公園と文学者たち』(さいたま文学館編 さいたま文学館 1999)
p5 大宮公園で、万松楼、八重垣、石州楼、三橋亭という4件の割烹旅館が公園同盟料理組合を結んでいたとの記述あり。
- 回答プロセス
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1 地域資料を調査する
以下関連記述のない資料
『埼玉大百科事典』(埼玉新聞社 1974)
〈大宮公園〉の項に該当記述なし、〈三業地〉〈遊郭〉〈花街〉〈歓楽〉の項目なし。
『大宮市史 第5巻』(大宮市編 大宮市 1969)
『続大宮市史』(大宮市編 大宮市 1989)
『明治・大正・昭和 埼玉県写真集 上巻 下巻』(若狭蔵之助編 国書刊行会 1978)
『目でみる埼玉百年 埼玉百年記念誌』(埼玉県編 埼玉県 1971)
2 《国会図書館レファレンス協同データベース》(https://crd.ndl.go.jp/reference/ 国会図書館)を〈三業地〉〈埼玉 & 遊郭〉で検索する
「かつて浦和市に存在した中野原新開地という芸妓街・花街についての調査・研究資料を見たい。(埼玉県立久喜図書館)」(https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000097292 国会図書館)の回答資料を調査する。
《国会図書館デジタルコレクション》
「全国遊廓案内」(日本遊覧社 1930)
大宮の記述なし。(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1453000 国会図書館)
3 データベースを調査する
以下のデータベースを〈大宮公園〉〈氷川公園〉〈三業〉〈遊郭〉〈花街〉で検索するが該当記述なし。
『読売新聞DVD-ROM』(読売新聞社)
埼玉関係雑誌記事索引データベース(埼玉県立図書館)
埼玉新聞記事見出しデータ検索システム(埼玉県立図書館)
4 《国会図書館デジタルコレクション》を〈氷川公園〉で検索する
「上野新潟全線各駅旅の友」(瀬木忠次郎編 旅の友発行所 1912)
p16-19(20-21コマ) 「氷川公園」の項目はあるが、「園内には鉱泉旅館萬松楼(楼主高崎健一郎氏)、石州楼、八重垣楼等ありて料理を兼業す」の記述のみである。
(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/763636 国会図書館)
ウェブサイト・データベースの最終アクセス日は2016年1月17日。
- 事前調査事項
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《国会図書館デジタルコレクション》「大宮案内」(実業新聞社 1910)
p92-103 「第八編 遊覧案内」に氷川公園内の三業組合について記述あり。
(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/763675 国会図書館)53コマ-58コマ
- NDC
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- 貴重書.郷土資料.その他の特別コレクション (090 9版)
- 造園 (629 9版)
- 商業史.事情 (672 9版)
- 参考資料
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- 『大宮市史 第4巻』(大宮市編 大宮市 1982)
- 『埼玉県営業便覧』(田口浪三〔ほか〕編 埼玉新聞社出版局 1977)
- 『企画展「氷川神社と大宮公園」展示解説書』(埼玉県立歴史と民俗の博物館 2015)
- キーワード
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- 氷川神社 (さいたま市大宮区)
- 大宮公園
- 三業地
- 埼玉県-商業-歴史
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000198063