レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 登録日時
- 2010/09/16 20:20
- 更新日時
- 2010/10/29 12:00
- 管理番号
- NIER2010035
- 質問
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明治時代の教科書の出版社として頻出する金港堂と、仙台の書店の金港堂は同じものか。
- 回答
-
異なるものと推測される。
- 回答プロセス
-
当館独自作成データベース、「戦前期教科書目録」にて
金港堂が出版した教科書を検索し、明治9年から昭和16年まで確認できた。
その中から数点現物の奥付を確認してみた。
・「和洋対比小学数理書(請求記号:K110.4||12)」明治9年
「発行書林 金港堂 東京本町三丁目」
・「修身説約読例(請求記号:K110.1||65)」明治11年
「製本発行所 金港堂 東京本町三丁目十七番地」
・「修身彙訓(請求記号:K110.1||278)」明治19年
「出板人 原亮三郎 日本橋区本町三丁目十七番地
大賣捌 大阪北久宝寶寺町四丁目 金港堂原亮三郎支店
岐阜 金港堂支店」
・「實験日本修身書(請求記号:K120.1||55)」明治26年
「金港堂書籍株式会社 東京市日本橋区本町三丁目十七番地」
・「新編中等修身書(請求記号:K220.1||23)」大正11年
「東京市日本橋区本町三丁目・・・金港堂書籍株式会社」(代表者 原亮一郎)
・「新公民読本(請求記号:K220.31||1)」大正15年
「発行兼印刷社 東京市神田区美土代町三ノ一 金港堂書籍株式会社」(代表者 原安三郎)
・「新制現代女子礼法(請求記号:K230.12||24)」昭和16年
「発行者 東京市神田区小川町三丁目六番地 金港堂書籍株式会社」
また、「出版年鑑」1資料・名簿 平成21年版にて「金港堂」を確認したところ、
「(株)金港堂出版部
・・・仙台市若林区卸町2-11-7・・・
(創)1910(明治43年).11.3・・・」
とある。
仙台の金港堂創業以前に戦前期教科書の出版社としての金港堂は存在していた
ことから、同一とは考えにくい。
なお、リサーチナビの「過去の企業・団体リストを調べるには」
http://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-102821.php
を参考に、「国立国会図書館所蔵 会社信用録目録-明治・大正・昭和前期-」(参考書誌研究・第37号(1990.3))に
も当たったが、出版及び東北・東京地域の主立った会社録については、当館に所蔵はなかった。
- 事前調査事項
- NDC
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- 教育課程.学習指導.教科別教育 (375)
- 歴史.世界史.文化史 (20)
- 出版 (023)
- 参考資料
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出版年鑑 / 出版年鑑編集部編 ; 2009, 1.
出版ニュース社, 2009.
【当館請求記号】025.8||2||2009.1
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出版年鑑 / 出版年鑑編集部編 ; 2009, 1.
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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その後、事例を御覧になった利用者から以下のWebページについて情報提供があった。
http://www.kahoku.co.jp/news/2010/10/20101025t15039.htm
「老舗書店、郷土耕し100年 仙台の金港堂がイベント(河北新報)」より
「(前略)・・・
金港堂の名は、明治初めに横浜で開業、東京に移った書店「金港堂」からもらった。当時横浜では「金のなる港」という意味からか、金港の名称がよく使われたという。
疑獄事件による教科書の国定化で業績不振に陥った金港堂が仙台支店を閉じた後、
1910年11月3日、金港堂の営業部長だった藤原佐吉が、 現在の大町に「藤原金港堂」として開店したのが創業。戦後、現在地に 本店を移した。
書籍販売の一方、郷土史などの出版も手掛けた。戦後、生徒手帳の 印刷から始まった出版部門では、
これまでに60冊余りを世に送り出してきた。
・・・(以下、省略)」
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000071439