レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 登録日時
- 2023/05/24 10:54
- 更新日時
- 2023/10/22 11:38
- 管理番号
- 20230523
- 質問
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解決
兵庫県丹波市にある「黒井城」は別名「保月城」というそうだが、由来を知りたい。
- 回答
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正確な由来は不明な点はあるが、築城者の名に由来していると推察され、江戸時代にはこの名が使われるようになったと考えられる。
・丹波市教育委員会発行の「国指定史跡黒井城跡」パンフレットには「保月城」の記載なし
『丹波戦国史 : 黒井城を中心として』(芦田確次 [等]著,歴史図書社,1973)
「第五章 黒井城とその遺構、二、黒井城の特色」(p199)によると
・中央文献にも地元の史料にも「保月城」の名は見当たらない
・江戸時代の地史『丹波志』によると「保筑」の記載はあるが、ほとんどが「黒井城」と表記されている
・「保筑」の語源については以下の記載あり。
「赤松筑前守貞範によって築城されたものであるが、保筑=筑前守が保つ=いついつまでも自分がこの城を守るという築城者・赤松筑前守貞範の自負と悲願が、この城の名にこめられていると見るのは、いささか穿ちすぎた見方であろうか」
・保筑城の筑を月に入れかえて保月とし、優雅に保月城と読ませたのはおそらく江戸時代中期から末期~(以下略)」
『神戸新聞NEXT』(更新日2019年1月3日)によると
「黒井城の初代城主は赤松筑前守貞範。自身の名前から「築」の一文字を取って「保築城」と呼び、「築」が「月」に転じて保月城となったという。」
『丹波新聞』(更新日2022年3月15日)によると
「一説では、同町の船城地区方面から見える城跡を月の風景が美しく、「保月」と名付けられたという。~(中略)~保(筑)築が保月に転訛したという説もある。~(以下略)」
- 回答プロセス
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・当館所蔵検索、キーワード:「黒井城 保月城」→該当本なし。「日本の城」等でヒントになりそうな本を探す。
・『日本の城辞典』(千田嘉博監修,ナツメ社,2017.11,ISBN:9784816363153)
p433に「黒井城、別名保月城」の記載はあるものの、由来については記載なし。黒井城のある丹波市は合併前「春日町」であったことを確認。
・以下の本には由来についての記載はなかった。
『角川日本地名大辞典28』(「角川日本地名大辞典」編纂委員会/編,角川書店,1988.10)
p560「黒井村」についての記載のみ。p2178合併前の地名「春日町」にも由来記載なし。
『写真で見る日本史跡大事典2』(日本図書センター,1988.12,ISBN:4820578847)
『廃城を行く6』(イカロス出版,2018.9,ISBN:9784802205658)
『新兵庫史を歩く[1]』(NHK神戸放送局/編,神戸新聞総合出版センター,2008.4,ISBN:9784343004567)
『兵庫県の歴史』(今井修平他/著,山川出版社,2011.8,ISBN:9784634322813)
『日本歴史地名大系29-1(兵庫県の地名1)』(平凡社,2001.7,ISBN:458291019x)
『史跡・遺跡レファレンス事典』(日外アソシエーツ株式会社/編集,日外アソシエーツ,2013.12,ISBN:9784816924415)
『日本の名城・古城事典』(TBSブリタニカ,1989.3,ISBN:4484892081)
『日本城郭全集 上巻』(日本城郭協会,1995)
・レファレンス協同データベース、キーワード:「黒井城」では回答には結びつかなかったが、参考になりそうな文献を確認できた。(https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000136088)
・丹波新聞の記事から黒井の郷土史家、故 村上完二氏の名と、彼の共同執筆した「丹波戦国史」を発見。
国立国会図書館データベースにて本書を確認。(デジタルコレクションにて確認可能。)
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本の建築 (521)
- 参考資料
- キーワード
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- 黒井城
- 保月城
- 日本の城
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 地名
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000333493