レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年6月11日
- 登録日時
- 2022/06/11 15:27
- 更新日時
- 2022/10/19 21:19
- 管理番号
- 県立長野-22-043
- 質問
-
解決
佐久間象山の『天姥山』という漢詩が掲載されている本が見たい。
また、「天姥山」はどこのあたりのことか。いつ詠まれた詩か知りたい。
- 回答
-
<『天姥山』の詩が掲載されている資料>
1 『佐久間象山の漢詩文』 市川本太郎著 市川本太郎 【N990/35】
p.5に『天姥山』の詩あり。
「天姥山は姨捨山であって、秋の名月を賞し、そこで笛を吹いたことを述べた詩(後略)」とある。
作詩の時期についての記述はなし。
2 佐久間方三著「佐久間象山の漢詩(二)」『市誌研究ながの 第17号』長野市 2010.2
p.95 に『天姥山』の詩あり。
「次の詩も同じく姨捨山での月見を賦した七言絶句で、いつの作なのか判然としないが、
比較的人口に膾炙しているものである。(中略)松代の西三里の計に在り俗に姨捨山と称す(中略)
秋深い姨捨の山頂には月が皓々とと輝き、山麓には秋の気配を漂わせて清らかな川が流れている。」
P.96「〇天姥山-姨捨山を指す。正しくは冠着山、更科山とも云う。古来月の名所。
天姥山は中国淅江省新昌県にある山の名、象山が借用したのであろう。」とあり。
3 柳沢和恵著 「絶大なる文化財-冠着山(姨捨山)」『とぐら』第7号 戸倉町史談会 1981.12
p.1 に『天姥山』の詩あり。
作詩場所、時期不明。
4 市川本太郎著「佐久間象山と漢学—特に漢詩について」『長野』第92号 長野郷土史研究会 1980.7
p.24 に『天姥山』の詩あり。天姥山は姨捨山との記述あり。作詩時期不明
5 林田慎之助著 「幕末維新の漢詩人 第十四回 佐久間象山」『歴史読本』第58巻5号
KADOKAWA 2013.5
p.262-267 『天姥山(てんろうざん)』の詩あり。
「天姥山は中国会稽郡(現・浙江省紹興市)にある名山であるが、象山はそれを信濃更科の地に
所在する姥捨山冠着山。長野県千曲市・東筑摩郡筑北村)に見立てて詠んだ(中略)…」とあり。
作詩時期不明
6 『象山先生詩鈔』巻之上 佐久間象山著 日就社 1878.4 N990/2/1
p.20 『天姥山』の詩あり。
作詩場所、時期不明。
7 『象山全集』第2巻 [佐久間象山著] 信濃毎日新聞 1934 【121.55/サシ/2】
p.26 『天姥山』の詩あり。
作詩場所、時期不明。
6 『愛誦吟譜集 : 古今名詩. 下編』土田岳心 編並作譜 甲陽書房 1957 18コマ目
(国立国会図書館デジタルコレクション【2022/6/14確認済み】)
「天姥山(てんばさん)(信州おばすて山)」
「(天姥山)姨捨山(篠ノ井線おばすて駅附近にある月の名所)」とあり。作詩時期不明。
7 『朗吟詩撰. 下巻』 吉村岳城 著 日本芸道聯盟 1936 70コマ目
(国立国会図書館デジタルコレクション【2022/6/14確認済み】)
「【天姥山】信州姨捨山なり、志那の天姥峯に比していふ」とあり。作詩時期不明。
8 『古今名詩通俗史談』宮崎一雨 著 磯部甲陽堂 1912 97コマ目
(国立国会図書館デジタルコレクション【2022/6/14確認済み】)
詩の掲載はあるが、場所や作詩時期についての記述は無し。
<天姥山(姨捨山)の場所について>
姨捨山は、冠山、更科山、冠着山の名称があるという説
・ レファレンス事例詳細(県立長野-22-043)に、冠着山(かむりきやま)という説が有力とあり。
・『名勝「姨捨(田毎の月)」保存管理計画(ダイジェスト版)』更埴市 2000.3 【N616/44】
p.11 「「姨捨山の月」の初見は、古今和歌集(905成立)「我が心慰めかねつ更科や
姨捨山に照る月を見て」で、有名な棄老伝説も大和物語(951)に登場した。
既に9世紀には姨捨伝説が定着し、枕草子、源氏物語、更級日記、今昔物語、新古今和歌集など
にも登場し、月の歌枕として姨捨山(冠着山)は都人に広く知られることになった。」とあり。
・『千曲市 姨捨山』飯島勇三著 飯島勇三 2010.11 【N216/74】
・『信州姨捨山考』飯島勇三著 ほおずき書籍 2005.4 【N216/68】
・『県立公園姨捨山・聖山の歴史』西沢茂二郎著 冠山・聖山高原周辺の史実と文化財刊行会 1966.7
【N216/54】p.18-23
・『とぐら』第19号/第20号/第41巻 戸倉町史談会 1994-2016
・『千曲』第81号 東信史学会 1994
・『信濃』第一次 第5巻1号-2号 1936
・『長野』 第318号 長野郷土史研究会 2021.4
<作詞時期について>
・『県立公園姨捨山・聖山の歴史』西沢茂二郎著 冠山・聖山高原周辺の史実と文化財刊行会
1966.7 【N216/54】
p.24-26 「佐久間象山の更科山登山」の項目あり。
天保8年の秋に冠山の月をめでてこの山に登った記述があるが、「天姥山」の詩を読んだという記述はなし。
<その他調査済み>
・ 田中誠三郎著「佐久間象山と漢学」『長野』第92号-第94号 長野郷土史研究会 1980.7
・ 『佐久間象山と名作漢詩文選新解』 佐藤新作著 黎明堂 1964 【N289/サクマ/43】
- 回答プロセス
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1.自館の蔵書検索システムにて検索する
「佐久間象山」をキーワードに<全項目>で検索したところ、「漢詩」についての資料がいくつか
ヒットしたので、さらに「佐久間象山」「漢」をキーワードに、図書に絞って検索する。
2.他にも漢詩に関する資料がないか同様のキーワードで、逐次刊行物のみで検索し、回答を確認した。
3.電子化された資料を確認する
国立国会図書館デジタルコレクションにて、「象山」「天姥山」のキーワードで検索した。
- 事前調査事項
- NDC
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- 漢詩文.日本漢文学 (919 10版)
- 個人伝記 (289)
- 参考資料
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市川 本太郎/著 , 市川 本太郎 , 市川 本太郎. 佐久間象山の漢詩文. 市川本太郎.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I059105875-00 -
長野市総務部庶務課/編集 , 長野市公文書館/編集 , 長野市 , 長野市公文書館. 市誌研究ながの 第17号. 長野市, 2010.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I109670941-00 -
戸倉史談会 , 戸倉町史談会. とぐら : 戸倉史談会誌. 戸倉史談会, 1975.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000094997-00 -
長野 第92号―第94号(1980/07) 第92号―第94号(1980/07). 長野郷土史研究会, 1980-07-01., ISSN 02877309
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I100788409-00 -
林田 愼之助 , 林田 愼之助. 激動期を駆け抜けた志士たちの歌 幕末維新の漢詩人(第14回)佐久間象山 丹桂の花陰に鳳声を学ばん. 2013-05. 歴史読本 58(5) (887) p. 260-267
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I024622070-00 -
佐久間象山 著 ; 北沢正誠 編 , 佐久間, 象山(1811~1864) , 北沢, 正誠. 象山先生詩鈔 上. 日就社, 1878.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I081592418-00 -
[佐久間 象山/著] , 信濃教育会/編纂 , 佐久間‖象山 , 信濃教育会. 象山全集 巻2 増訂. 信濃毎日新聞, 1934.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I011516198-00
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市川 本太郎/著 , 市川 本太郎 , 市川 本太郎. 佐久間象山の漢詩文. 市川本太郎.
- キーワード
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- 佐久間象山
- 漢詩
- 天姥山
- 姨捨山
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000317210