5. データの質をさらに高めるために

5-1. データの質を高め、維持するポイントを知る

5.1.1 レファレンス事例データの質を高めるポイントは何か

(1)データ作成上の配慮

  • データを作成する際には、複数の担当者で確認することが必要です。特に、公開のための条件が満たされているかどうかについては、慎重に対応する必要があります。
  • 「質問」、「回答プロセス」及び「回答」を読むことによって、どのようなレファレンス質問が寄せられ、どのような手順で調査が行われ、その結果、どのような回答がなされたか、容易に辿ることができるかどうかを目安にし、記載内容の点検を行います。

(2)データ記入上の工夫

  • レファレンス事例データの「回答」又は「回答プロセス」に記載する調査のプロセスは、内容が長くなることがあります。記載が長くなるような場合には、注を付与して本文を簡潔にしたり、記載内容を箇条書きにしたり、適宜工夫をし、読みやすくなるようにします。
  • 各データの項目の意義を理解し、適宜、書き分けることが必要です。特に、「回答プロセス」と「回答」を書き分けると読みやすくなります。もちろん、書き分けることが難しい場合には、調査のプロセスを含んだ内容を「回答」に記載し、「回答プロセス」の項目には、(「回答」に記載)といった表示をするとよいでしょう。

(3)表記に対する配慮

  • 図書館の専門用語、慣用表現、省略形等を安易に用いないようにします。仮に用いる必要がある場合にも、前後の文脈から、定義や概念が類推できるように、簡略な説明を加えて記載します。
  • 読みが難しい人名や地名、その他の固有名には、読み(かな)を補記します。特定することが難しい人名や地名には、生没年や職業、都道府県名等を補記します。
  • 外国語を訳出して記載する場合は、原綴を付記します。また、外来語として定着していないカナ表記にも、原綴を補記するとよいでしょう。さらに、一般に使用されない頭字語や省略語には、原綴の完全形(フル表記)を添えます。
  • 外国人名をカナ表記する場合には、原綴を付記します。

(4)質の保持への努力

  • コメントが寄せられているかどうかを定期的に確認し、そのコメントを記載内容に活かすよう対応します。コメントの活用については、5.2を参照してください。
  • 参加館において質が高いと考えるデータや、公開することによってレファレンスサービスを強くアピールすると判断したデータは、定期的に点検し、必要に応じて改善しましょう。

5.1.2 調べ方マニュアルデータの質を高めるポイントは何か

(1)データ作成上の配慮

  • データを作成する際には、複数の担当者で確認することが必要です。特に、公開のための条件が満たされているかどうかについては、慎重に対応する必要があります。
  • 調べ方を読むことによって、どのような手順で調査を行うことが効果的か、容易に辿ることができるかどうかを目安にし、記載内容の点検を行います。

(2)データ記入上の工夫<

  • 調べ方は、記載する内容が長くなることがあります。記載が長くなるような場合には、注を付与して本文を簡潔にしたり、記載内容を箇条書きにしたり、適宜工夫をし、読みやすくなるようにします。
  • 各データの項目の意義を理解し、適宜、書き分けることが必要です。

(3)表記に対する配慮

  • 図書館の専門用語、慣用表現、省略形を安易に用いないようにします。仮に用いる必要がある場合にも、前後の文脈から、定義や概念が類推できるように、簡略な説明を加えて記載します。
  • 読みが難しい人名や地名、その他の固有名には、読み(かな)を補記します。特定することが難しい人名や地名には、生没年や職業、都道府県名等を補記します。
  • 外国語を訳出して記載する場合は、原綴を付記します。また、外来語として定着していないカナ表記にも、原綴を補記するとよいでしょう。さらに、一般に使用されない頭字語や省略語には、原綴の完全形(フル表記)を添えます。
  • 外国人名をカナ表記する場合には、原綴を付記します。

(4)質の保持への努力

  • 参加館において質が高いと考えるデータや、公開することによってレファレンスサービスを強くアピールすると判断したデータは、定期的に点検し、必要に応じて改善します。
  • 調べ方マニュアルデータは、作成後、一定の時間が経過した場合、情報源の再確認が必要です。データを見直し、冊子体の情報源の改訂、ウェブ情報源のURLの変更等を点検し、必要に応じて、データを改善します。

5.2 コラボレーション(相互支援)機能を活用する

5.2.1 コメント機能は、どのように用いるものか

レファレンスサービスにおける参加館のコラボレーション(相互支援)を促進することは、事業の目的の1つとなっています。協同を支援する機能として、コメント機能を設けています。この機能は、参加館公開又は一般公開されたレファレンス事例データおよび調べ方マニュアルデータに対して、他の参加館がコメントを寄せ、相互に協力しながらデータの質を高められるようにしたものです。それゆえ、この機能を活用できることは、事業に参加する大きなメリットになります。

[詳細解説]
コメントとは、登録されているレファレンス事例データ、調べ方マニュアルデータ、特別コレクションデータに対して、他の参加館が気付いたことや意見を記入したものを指します。例えば、次のような場合に、コメントを記入し、データを登録した参加館に伝達します。

  • 異なる調査のプロセスや情報源が考えられる場合
  • 新たな情報源が作成され、利用できる場合
  • 情報源となるウェブページのURLが変更されてしまっている場合
  • 未解決のレファレンス事例データに対して、解決方法を提案できる場合
  • 自館のレファレンスサービスに、登録されているデータを利用した場合

コメントを記入しても、それが自動的に参加館に公開されるわけではありません。コメントを公開するかどうかは、データを登録した参加館の判断によります。それゆえ、データの質を高めることができる内容であれば、たとえ軽微なことやわずかなヒントに過ぎないことであっても、コメントに記入し、データを登録した参加館に伝達し、参加館の判断を促すことが望まれます。

機能解説
レファレンス事例データ、調べ方マニュアルデータ、特別コレクションデータには、コメントを記入することができます。詳細表示画面のデータの下方から新規コメントを付与することができます。

5.2.2 コメントに対しては、どのような対応をすればよいか

自館で登録したレファレンス事例データ、調べ方マニュアルデータおよび特別コレクションデータに対して、コメントが付けられたということは、データの質を改善するための貴重な材料が得られたことを意味します。コメントを参考にして、必要に応じて、データの見直しをはかってください。

[詳細解説]
到着したコメントに基づいて、レファレンス事例データ、調べ方マニュアルデータ、特別コレクションデータを改善するには、次のような対応の仕方が考えられます。

  • 登録されていたデータの一部を削除し、新たなデータを記入する。
  • 登録されていたデータの一部がすでに有効でないことを示す説明を追加し、さらに、新たなデータを記入する。

レファレンス事例データに対してこうした対応をした場合には、「寄与者」の項目に、コメントを付けた参加館名を記入してください。このように、他の参加館からのコメントが得られることは、自館のレファレンスサービスを点検する機会となります。また、未解決のレファレンス事例を解決するためのヒントを得ることもできます。さらに、コメントを付けたり付けてもらったりすることにより、参加館間での協力体制が強化され、さらには担当する参加館職員相互の連携に結びつくことにもなります。

機能解説
コメントが付与されると、データ提供館にコメント通知メールが送信されます。コメントは「レファレンス事例」「調べ方マニュアル」「特別コレクション」の詳細表示画面から確認することができます。また、画面上部にある「コメント」というメニューをクリックすると、コメント管理機能の画面が表示されます。この画面では、到着したコメントや発信したコメントを確認することができます。到着したコメントに対しては、回答をすることができますので、有効に活用して参加館相互の情報交換を進めてください。また、寄せられたコメントを公開するかどうかを決定してください。

5.3 検索機能を活用する

5.3.1 検索機能を理解し、データの検索性を高める

作成したデータの質を高めるためには、記入されている内容を、検索の観点から見直すことも必要です。そのためには、どのような検索ができるのか、検索のしくみを理解することが求められます。また、どのような項目から検索できるのか、検索できると便利な項目はどれか確認してください。その上で、自館で作成したデータが、どのような状況になっているか点検し、改善をはかるとよいでしょう。

[詳細解説]
レファレンス協同データベース・システムでは、4つのデータベースを一括して検索する簡易検索と、各データベースを検索する詳細検索の2つの検索が可能です。また、これらとは別に、ブラウジング機能も付されています。

(1)簡易検索(4つのデータベースの一括検索)

検索ボックスに検索条件を入力します。多くの場合、検索は、主題、人名、地名から行うものと予想されます。それゆえ、データ中に、主題を表すことば、人名又は地名が含まれていないと的確な検索をすることができません。データの作成にあたっては、適切なことばが使用されているかどうか確認することが重要となります。

(2)詳細検索(データベースごとの検索)

詳細検索は、次の手順で検索します。

①データベースの指定
②検索項目の選択
③検索語の入力
④項目間の論理演算の選択
⑤その他の絞り込みデータの選択

簡易検索と同様に、3.検索語の入力が、ここでも重要となります。また、詳細検索では、検索項目を選択して検索しますから、データの作成においては、情報が適切な項目に記入されていることが前提となります。例えば、レファレンス事例データの検索にあたって、「回答プロセス」の項目で検索しても、調査のプロセスが「回答」に記入されている場合には、検索することができません。

5.3.2 他のデータを参照し,質の高いデータに学ぶ

作成したデータの質を高めるためには、他の参加館が作成したデータを参照することが有効です。ブラウジング機能を活用して他の参加館が作成したデータを参照し、改善をはかるとよいでしょう。

[詳細解説]
レファレンス事例データは、閲覧するだけでも、自己研修として役立ちます。そうした使い方を支援するために、簡易検索及び詳細検索とは別に、検索画面においては、ブラウジング機能が用意されています。このブラウジング機能では、NDC、地名の2つの切り口により、データを、順次閲覧することができます。
また、優れたレファレンス事例データを閲覧できるように、検索画面右側に、「おすすめ事例」を掲載するコーナーがあります。「おすすめ事例」には、記入例の参考になるもの、データベースを活用しているものなどを、掲載しています。