大部分は文部省督学官、教学局教学官時代に収集・所蔵されたもの。図書については
40種491冊に及ぶ叢書類に一つの特色があり、その半分が文部省各局編集・発行に
よるもので、大部分が昭和10年代に属する。また、日本文化協会発行の「日本文化」
シリーズ60冊、諸学振興委員会による「報告書」類等の公刊本も、欠本があるとは
いえコレクションとして重要である。
資料の4割を教学局関係のものが占めており、「教学の刷新振興」とりわけその
「指導」「普及」活動の立案・実施過程の全体像を明らかにするものである。
【旧蔵者】志水 義暲
東京帝国大学文科大学哲学科(社会学専修)卒業の翌年の大正4(1915)年以降、
日蓮宗大学(現立正大学)、愛知県女子師範学校、愛知県第五中学校で教壇に立ち、
大正10年に文部省専門学務局勤務、大正12年に高知高等学校教授(哲学)となった。
大正14年に職を辞してドイツのベルリン大学で社会学を研究し、昭和3(1928)年
に帰国。大阪外国語学校生徒主事兼教授を経て、昭和10年に文部省と督学官、昭和
12年には新設の教学局教学官となり、教学局指導部普及課長を務めた。その後も
栃木師範学校長、教学練成所練成官、佐賀高等学校長を歴任し、昭和21年に退官した。
この間、『国体の本義』や『臣民の道』の編纂に携わり、昭和10年代の国民思想の
動向に深く関与した。