レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 登録日時
- 2023/07/01 00:30
- 更新日時
- 2023/09/08 12:02
- 管理番号
- 滋2023-0021
- 質問
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解決
不動寺本堂の縁起、沿革や由緒がわかる資料を紹介してほしい。
- 回答
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ご照会の不動寺について、当館で所蔵する辞典および滋賀県内で刊行された資料を基に回答します。
※紹介資料の詳細および掲載頁は、別途「参考資料一覧」に記載しています。
なお、不動寺本堂のみの縁起は記述を確認することはできませんでした。
※所在地の大津市および滋賀県から公刊された不動寺にかかる調査報告書は確認できませんでした。
【基本情報】
○太神山(五九九・七メートル)の山頂近くにある天台寺門宗寺院。太神山成就院と号し、本尊不動明王。
※資料1『近江・若狭・越前寺院神社大事典』 p.446より引用しました。
○「田上不動」と呼ばれ、太神山山頂(田上森町)に所在する。園城寺を建立した円珍の開基とする
天台宗寺門宗の寺院。
※資料2『大津 歴史と文化 身近な歴史再発見!』p.72より引用しました。
【滋賀県に関わる資料】
1 『近江・若狭・越前寺院神社大事典』
○「不動寺」の項に基本情報、開創伝承、不動信仰、堂宇・文化財について記載があります。
○開創伝承については、不動寺所蔵の『太神山不動明王像略縁起』の内容が記載されています。
○本堂については、堂宇・文化財についての記載で「・・・本堂は桁行三間・梁間三間、一重・寄棟造・檜皮葺で あるが、巨石に寄添うように建立されているため舞台造をとっている。後世、本堂正面に礼堂、同側面に唐破 風の出入口が付けられ、当初の姿とは大きく異なった寺容だが、昭和八年(一九三三)・九年の修理で部材などから発見された墨書と、この建築様式から永正年間以前、さかのぼっても南北朝期までの建造と推定される。」と記載されています。
2 『大津 歴史と文化 身近な歴史再発見!』
○不動寺が所在する「田上山」の項に、「・・・古来神体山としてあがめられ・・・」といった記述が見えます。
○「不動寺」の項では基本情報、開基伝承の記載とともに、本堂について「・・・大岩に寄りかかるようにして建つ
懸造で、室町時代前期の建立と考えられ、重要文化財に指定されている。」と記載されています。
3 『東海道名所図会 上 京都・近江・伊勢編』
○「太神山不動寺(だいじんざんふどうじ)」の項に、「谷上山高峰にあり。また田上とも書す。世人谷上(たなかみ)不動と称す。詣人塩苞(しおずと)を尊前に供す。三井寺の配下なり。・・・」と紹介されています。
○別頁では、「田上不動寺」の名で江戸当時の様子が描かれた絵図が記載されています。
4 『近江輿地志略 全 新註』
○「田上郷」の項で、「たなかみ」が「太神」「田上」「谷上」とあてられている理由について、不動寺とからめて説明がなされています。
5 『近江栗太郡志 巻5 寺院志』
○第3章 下田上村 に「不動寺」の項があります。
○建久四年本堂が建立と記載されています。
○寺蔵文書も紹介されており、各時代の寄進の様子がうかがえます。
○紹介されている寺蔵文書には、資料1で記載した『太神山不動明王像略縁起』本文も掲載されています。
6 『新大津市史別巻』
以下の項にそれぞれ紹介されています。
○第二編 歴史 第三章 山と水の信仰 「田上山の信仰」
○第二編 歴史 第10章 仏刹の盛衰 「太神山不動寺」
○第四編 社寺 第三章 寺院(田上・大石) 「不動寺」
7 『滋賀県百科事典』
以下の項にそれぞれ紹介されています。
○「たなかみやま 田上山」
○「ふどうじほんどう 不動寺本堂」
※「不動寺本堂」の項については、「・・・内陣の構え方と天井の構成の関係が特異な仏堂である。」といった記述に見えるように、主に建築的な観点からの説明がなされています。
【地名辞典・社寺辞典】
8 『滋賀県の地名(日本歴史地名大系 25 )』
○「不動寺」の項に上記文献の内容が、概ね記載されています。
9 『角川日本地名大辞典 25 滋賀県』
○「不動寺」の項があります。記述は少なめですが、境内にある五月雨池の伝承が紹介されています。
10 『日本社寺大観 寺院篇』
○「不動寺」の項があります。宗派、開基伝承、敷地・建物の情報(境内広さが七千四百三坪)などが掲載されています。
【web上の情報】
11 有形文化財(建造物)(令和4年4月1日現在) (PDF:675 KB) (滋賀県文化財保護課作成)
https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/5314788.pdf (令和4年(2022年)10月14日確認)
○指定年月日、修理実施および報告書の有無などがわかります。県・市から報告書がでていないとしたのは、この資料によります。
12 「復原考察を通してみた滋賀県不動寺本堂内厨子及び須弥壇の特徴」
大野敏 日本建築学会技術報告集 第 27 巻 第 67 号,1500-1505,2021 年 10 月
https://www.jstage.jst.go.jp/article/aijt/27/67/27_1500/_pdf/-char/en (令和4年(2022年)10月14日確認)
「滋賀県不動寺本堂の昭和解体修理における舞台(礼堂)と御拝(車寄)の存続に関する手法と意義について」大野敏,チェンスイ・イー 日本建築学会技術報告集 第 27 巻 第 67 号,1524-1529,2021 年 10 月
https://www.jstage.jst.go.jp/article/aijt/27/67/27_1524/_pdf/-char/en (令和4年(2022年)10月14日確認)
○建築的な観点から記載されています。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
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- 1 近江・若狭・越前寺院神社大事典 平凡社∥編集 平凡社 1997年 S-1600- 97 不動寺:p.446-447
- 2 大津 歴史と文化 大津市歴史博物館∥編集 大津市歴史博物館 2004年 S-2111- 04 田上山:p.31、不動寺:p.72
- 3 東海道名所図会 上 秋里籬島∥原著 粕谷宏紀∥監修 ぺりかん社 2001年 S-2900- 01 太神山不動寺:p.214-215、(絵図)田上不動寺:p.224-225
- 4 近江輿地志略 全 寒川辰清∥著 宇野健一∥改訂校註 弘文堂書店 1976年 S-2900-734 田上郷:p.550-551
- 5 近江栗太郡志 巻5 栗太郡役所∥編 栗太郡役所 1926年 S-2120-5 不動寺:p.97-105
- 6 新大津市史 別巻 大津市役所∥編集 大津市役所 1963年 5-2111-3 田上山の信仰:p1010-1012、太神山不動寺:p.1099-1102、不動寺:1497-1498
- 7 滋賀県百科事典 滋賀県百科事典刊行会∥編 大和書房 1984年 S-0300- 84 たなかみやま 田上山:p.476、ふどうじほんどう 不動寺本堂:p.656
- 8 滋賀県の地名 平凡社地方資料センター∥編集 平凡社 1991年 S-2900- 91 不動寺:p.275
- 9 角川日本地名大辞典 25 「角川日本地名大辞典」編纂委員会∥編 角川書店 1979年 S-2900- 79 不動寺:p.616
- 10 日本社寺大観 寺院篇 藤本 弘三郎∥編 名著刊行会 1970年 R-1859-フ 不動寺:p.580-581
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000335156