レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015/7/25
- 登録日時
- 2015/08/20 00:30
- 更新日時
- 2015/08/21 15:21
- 管理番号
- B150713163540
- 質問
-
未解決
物理学者 藤岡由夫(ふじおか よしお)氏が開発した原子の「液滴」モデルに関する資料があれば紹介してください。同じ物理学者である湯川秀樹氏は、この藤岡由夫氏の「液滴」モデルに対して何らかのコメントをしたそうです。
- 回答
-
ご照会の事項について当館所蔵資料等を調査しましたが、原子の「液滴」モデルを藤岡由夫氏が開発したという記述、及びそれに対する湯川秀樹氏のコメントが掲載されている資料は確認できませんでした。
なお、調査の過程において、藤岡由夫氏の著作物で、原子の「液滴」モデルに関連すると思われる記述がある資料(1)-(3)が見つかりましたので、参考までにご紹介します。
(1)
当館請求記号:Z14-72
論題:原子核の物理學
著者名:藤岡由夫
雑誌名:科学
出版事項:東京 : 岩波書店, 1931-
刊行頻度:月刊
巻号:2(9)
出版年月日:1932-09
ページ:369-375
※国立国会図書館デジタルコレクション(http://dl.ndl.go.jp/)(国立国会図書館内限定公開資料)
pp.370-371に「2. Gamowの水滴狀核模型」という項目があり、「Gamowは原子の組成に關して一つの模型を案出した.」(p.370)及び「以上Gamowの模型は嚴蜜なる理論とは到底言ふ事は出來ないけれども,質量缺損と核の安定さとを論ずる一つの試みとして面白き模型である.」(p.371)という記述があります。
(2)
当館請求記号:a429-49
タイトル:物質の究極
責任表示:藤岡由夫 著
版表示:訂
出版事項:東京 : 弘文堂, 1949.
※国立国会図書館デジタルコレクション(http://dl.ndl.go.jp/)(国立国会図書館/図書館送信参加館内公開)
pp.161-162に「11. 原子核模型」という項目があり、「原子核に關しては次に述べる古典的の液滴模型が考えられている.この模型理論はもとより終局的に完全なものではない.古典的の液體の槪念を使つたもので,いわば原子核を液體にたとえたものである.しかし原子核の性質は液體に似た所が多いので,その理論で可成によく核の性質を說明することができる.」(p.161)という記述があります。
(3)
当館請求記号:a420-70
タイトル:原子科学の人々
責任表示:藤岡由夫 著
出版事項:東京 : 弘文堂, 1949.
シリーズ:アテネ文庫 ; 第65
※国立国会図書館デジタルコレクション(http://dl.ndl.go.jp/)(国立国会図書館/図書館送信参加館内公開)
pp.29-44に「三 ボーア」という項目があり、「ボーアは原子核に對し、液滴模型を提唱した。卽ち中性子と陽子との間の引力は、その性質が液體分子の間の引力に似ている。そこで原子核を液體の球にたとえる。核に他の粒子が突入して刺戟されることは、液滴に何か入つてその溫度が上ることに相當する。核から中性子や陽子が出ることは、液滴の蒸發することに相當し、核からガンマ線が出ることは、液滴の振動に相當する。」(p.39)及び「宛かも一九一三年のボーアの理論が量子力學の口火となつたように、核についての正しい理論ができる迄、此の液滴模型を以て考えを導こうというのがボーアの考えと思われる。」(pp.39-40)という記述があります。
なお、資料(2)及び(3)の引用文にある「液滴模型」という用語について、科学技術振興機構(http://www.jst.go.jp/)が提供しているJ-GLOBAL(http://jglobal.jst.go.jp/)を「液滴模型」で検索したところ、検索結果に「同義語:液滴模型、liquid-drop model、液滴モデル」という記述がありました。
[その他の調査済み資料及びデータベース]
(【 】内は当館請求記号です。)
末尾に"*"が付いている資料は、国立国会図書館デジタルコレクション(http://dl.ndl.go.jp/)(国立国会図書館内限定公開資料)です。
末尾に"**"が付いている資料は、国立国会図書館デジタルコレクション(http://dl.ndl.go.jp/)(国立国会図書館/図書館送信参加館内公開)です。
・藤岡由夫「Intensitaten in He2-Banden bei Entkopplung des Elektronenbahnimpulses」(資料種別:博士論文 授与大学名:東京帝国大学 授与年月日:昭和8年3月30日 【UT51-59-N536】)
・『現代の物理学』(藤岡由夫 著 岩波書店 昭13 【46-453】)**
・『物理学ノート』(藤岡由夫 著 河出書房 1942 【420.4-H953b】)**
・『物質の究極』(藤岡由夫 著 河出書房 昭和19 【429-F65ウ】)**
・『物理学ノート. 1-2』(藤岡由夫 著 河出書房 1947 【420.4-H953b-(s)】)**
・『新しい物理の知識』(藤岡由夫 等著 大日本図書 1949 【a420-97】)**
・『原子核から素粒子へ』(藤岡由夫、朝永振一郎 共編 弘文堂 1949 【a429-39】)**
・『科学者と人生』(藤岡由夫 著 講談社 1964 【049.1-H953k】)**
・『現代の物理学』(藤岡由夫 著 新訂版 講談社 1965 【420.1-H953g】)**
・『科学者休むに似たるか』(藤岡由夫 著 講談社 1969 【M19-1】)
・藤岡由夫「口繪 問題の人物 ニールス・ボーア」(『婦人之友』 31(12) 1937.12 【Z24-57】)*
・山内恭彥、仁科存、高木豐、熊谷寛夫、藤岡由夫、木村鍊一、鶴田四郞、久保俊彥、牧島象二、湯川秀樹、齋藤寅郞「戰時工業と新しい物理學(座談會)」(『科学朝日』 4(2)(28) 1944.2 pp.64-70 【Z14-73】)*
・藤岡由夫「アメリカ学究生活--湯川博士をたずねて」(『教育技術』 6(3) 1951.6 pp.35-39 【Z7-280】)*
・湯川秀樹、藤岡由夫、安倍能成、長與善郞「座談會 原子物理學を中心として」(『心 : 総合文化誌』 7(2) 1954.2 pp.9-26 【Z23-48】)*
・藤岡由夫「湯川さんに初めて会った頃の話」(『つきあい : 湯川博士還暦記念文集』 1968 pp.71-73 【289.1-Y981】)**
・湯川秀樹、伏見康治、藤岡由夫、渡辺慧「物理学の窓から」(『現代日本記録全集. 第9』 1970 pp.312-330 【210.6-G292】)**
・朝永振一郎、藤岡由夫「2-6. 仁科先生と私」(『現代物理学の創造 : 仁科記念講演録集. 第2巻』 2006.11 pp.111-140 【MC21-H118】)
・『湯川秀樹の世界 : 中間子論はなぜ生まれたか』(中野不二男 著 PHP研究所 2002.12 【MC271-H4】)
・『湯川秀樹 : 日本の「知性」、日本の「心」を世界に示した科学者』(宝島社 2007.7 【Y94-H23945】)
・『湯川秀樹日記 : 昭和九年:中間子論への道』(湯川秀樹 著、小沼通二 編 朝日新聞社 2007.12 【GK165-J1】)
・『科学メモ』(科学主義工業社 編 科学主義工業社 昭和17 【769-223】)*
・『原子・放射能・転換』(モーリス・ドウ・ブローイ 著 大雅堂 昭和22 【429-B75ウ】)**
・『原子核の話』(田島英三 著 自文堂 昭和22 【429.5-Ta26ウ】)**
・『物質 : その窮極構造』(玉木英彦、田島英三 共著 日本評論社 昭和24 【a429-34】)**
・『日本科学技術史大系. 第13巻 (物理科学)』(日本科学史学会 編 第一法規出版 1970 【402.1-N685-N】)**
・『日本の物理学史. 上 (歴史・回想編)』(日本物理学会 編 東海大学出版会 1978.11 【MC31-17】)
・『日本の物理学史. 下 (資料編)』(日本物理学会 編 東海大学出版会 1978.5 【MC31-17】)
・『日本の物理学者』(辻哲夫 編著 東海大学出版会 1995.5 【MC31-E20】)
・『物理学辞典』(物理学辞典編集委員会 編 3訂版 培風館 2005.9 【MC2-H7】)
・『Maruzen物理学大辞典』(物理学大辞典編集委員会 編 第2版 丸善 1999.3 【MC2-G13】)
・『物理学大事典』(鈴木増雄、荒船次郎、和達三樹 編 朝倉書店 2005.10 【MC2-H8】)
・『20世紀の物理学. v.1』(Laurie M.Brown, Abraham Pais, Brian Pippard [著] 普及版 丸善 2004.9 【MC31-H12】)
・『20世紀の物理学. v.2』(Laurie M.Brown, Abraham Pais, Brian Pippard [著] 普及版 丸善 2004.9 【MC31-H13】)
・『20世紀の物理学. v.3』(Laurie M.Brown, Abraham Pais, Brian Pippard [著] 普及版 丸善 2004.9 【MC31-H14】)
・大塚明郎「藤岡由夫博士を偲ぶ」(『物理教育 : 日本物理教育学会誌』 24(2) 1976.5 【Z15-2】)
・瀬谷正男「藤岡由夫先生の事」(『日本物理學会誌』 31(8) 1976.8 pp.595-596 【Z15-13】)
・親松 和浩、飯田 圭、小浦 寛之「原子核の液滴模型の再考」(『愛知淑徳大学現代社会研究科研究報告 / 現代社会研究科出版・編集委員会 編』(3) 2008 pp.1-10 【Z71-R744】)
・NDL-OPAC(https://ndlopac.ndl.go.jp)
・国立国会図書館サーチ(http://iss.ndl.go.jp)
・国立国会図書館デジタルコレクション(http://dl.ndl.go.jp/)
・JDreamIII [当館契約データベース]
・Web of Science [当館契約データベース]
・EBSCOhost [当館契約データベース]
・ProQuest Central [当館契約データベース]
・毎索[当館契約データベース]
・聞蔵IIビジュアル[当館契約データベース]
・CiNii Articles(http://ci.nii.ac.jp/)
・CiNii Books(http://ci.nii.ac.jp/books/)
・J-GLOBAL(http://jglobal.jst.go.jp)
・J-STAGE(https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja)
インターネット・データベースの最終アクセス日は2015年7月17日です。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 原子物理学 (429 9版)
- 参考資料
- キーワード
-
- 原子
- 液滴モデル
- 藤岡由夫
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000178675