レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013/4/26
- 登録日時
- 2013/09/19 00:30
- 更新日時
- 2013/09/19 00:30
- 管理番号
- D130410153807
- 質問
-
未解決
『新修大阪市史』第8巻 新修大阪市史編纂委員会/編集 大阪市 p.746に出ている占領軍牧師ネルソン(Nelson)のフルネームや人となり、足跡などを知りたい。また、朝日新聞大阪版1946年7月10日の2面に連合軍民間情報教育部、ジョン・ネルソン大尉の来阪の記事があるが、この人物と同一人物 か。
- 回答
-
日本占領期関係資料や、阪田素夫に関する文献など、以下の文献を調査しましたが、「占領軍牧師ネルソン」について、貴館調査済みの『南大阪教会五十年史』に記載がある以上の
手掛かりを得ることはできませんでした。
また、連合軍民間情報教育部ジョン・ネルソン大尉と、「占領軍牧師ネルソン」が同一人物であるとする文献も見つけることができませんでした。
なお、当館では所蔵していませんが、下記1,2の文献があることがわかりました。
ネルソンについての情報が掲載されているかは不明ですが、念のためご紹介いたします。
1.『南大阪教会三十年史』日本基督教団南大阪教会編 南大阪教会 1956
2.『アガペ』日本基督教団南大阪教会
貴館調査済みの『南大阪教会70年誌』p.89-90に紹介されている 南大阪教会発行の雑 誌です。1949年(昭和24年)創刊とありますが、CiNii Booksで同志社大学図書館に24号(1962年)と26号(1966年)が所蔵されている以外の所蔵機関は判明しませんでした。
以下、調査したおもな文献 【 】内は当館請求記号
・日本キリスト教歴史大事典編集委員会編 『日本キリスト教歴史大事典』教文館、1988【HP2-E1】
p.218「大阪クリスチャン・センター」にネルソンからセンター設立の勧奨があった記述がみえます。
・大阪史編『昭和大阪市史 続編 第7巻(文化編)』大阪市、1968【216.3-O776s】
・日本基督教聯盟 [編]『基督教年鑑 昭和23年版』キリスト新聞社、昭和23
【R190.59-Ki254-Kウ】
キリスト新聞社刊の『基督教年鑑』は昭和23年版が初号です。
・芳賀登 [ほか]編『日本人物情報大系 第100巻(宗教編10)』皓星社、2002
【GB12-G22】
基督教年鑑(日本基督教聯盟刊) 昭和13年版-昭和18年版「フースフー」が収録されています。
昭和13年版~昭和15年版の「Missionaries'WHO's WHO」には「Nelson, Dr. Andrew N.」の名前が見えますが、『ネルソン漢英中辞典』などを編纂したネルソン氏と思われます。
昭和16年版には見えませんでした。
『基督教年鑑』は昭和19年~22年分の刊行がなく、その年代についての調査ができませんでした。
・W.H.グードウィン 著 ; 阪田素夫 譯著『職域傳道論』日本基督教協議會文書事業部、1950【Y994-J3440】
・"201-1.10: Hq I Corps - Telephone Directory of Kyoto,
Honshu (Jackson) (1 Aug 1946) "【WOR 21389-21391】憲政資料室所蔵
日本占領関係資料で、1946年当時の近畿地方の電話帳です。
近畿地方の占領を担当していた第一軍団(I Corps)の電話帳を確認しましたが、NelsonというChaplain(従軍牧師)は見当たりませんでした。
・占領期新聞・雑誌情報データベース
http://m20thdb.jp/login
「執筆者」=「ネルソン」で検索して見つかったもののうち、下記のキリスト教関係の雑誌を調査しました。
・『使命』原資料の出版事項: 東京 : 安息日再臨教団本部 【VH1-S1240】プランゲ文庫(マイクロフィッシュ)憲政資料室所蔵
この雑誌のなかで「四年間の別離後の再会」と「お別れに臨みて」を執筆しているエー・エヌ・ネルソンという人物がいます。記事によるとエー・エヌ・ネルソンはGHQの民間情報教育局(CIE)に勤務し、通訳・翻訳を担当していたようです。
Chaplain(従軍牧師)ではなくCIE勤務であること、また、1945年の秋に来日し、7か月間日本に滞在したとのことなどが判明しましたが、ご照会のネルソンと同一人物かはわかりませんでした。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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『新修大阪市史』第8巻P.746には「昭和二十一年八月、天王寺公園で日本基督教団の主催する日曜学校野外大集会が開催されたが、雨天のために礼拝半ばで散会せねばならなかった。これを知った占領軍牧師ネルソン(Nelson)が、このような集会のためのセンターを建設することを勧め、そのために米国信徒からの寄付を提供した。(略)国内からも献金を募り、二十六年、北区堂島に大阪クリスチャンセンターが開設された。」とあり。
『南大阪教会五十年史』 日本基督教団南大阪教会/[編] 日本基督教団南大阪教会 p.71「センターと阪田素夫氏」と題した年表の中で、「昭和二十年八月 進駐軍附牧師ネルソン氏、大阪クリスチャン・センター設立を勧奨。」、「昭和二十二年一月 ネルソン氏、進駐軍信徒の初穂として「センター」へ二万円献金。」とあり。
その他、
『大阪のキリスト教カトリック大阪教会史年表-1868年~2000年-』 山野良子/著 新平野の会
『南大阪教会に生きた人びと』 南大阪教会に生きた人びと刊行委員会/編集 日本基督教団南大阪教会
『南大阪教会70年誌』南大阪教会七十年誌編集委員会/編集 日本基督教団南大阪教会
『日本基督教団大阪教会九十年史』 [日本基督教団大阪教会/編] 日本基督教団大阪教会
『GHQトップ・シークレット文書集成』荒 敬/編集 柏書房
などにはネルソン氏の記載なし。
また、レファレンス協同DBの市川市中央図書館「アメリカの軍隊の中での宗教の役割として、従軍牧師について、どんな研究がなされているのか?」で、挙げられていた「チャプレン」「従軍牧師」などのキーワードで、CiNii Artticlesを検索しましたが、「ネルソン」についてふれられたものは、見つかりませんでした。
また、朝日新聞掲載の連合軍民間情報教育部ジョン・ネルソン大尉については、
『占領期日本の社会教育改革』 J・M・ネルソン/著 ; 新海 英行/監訳 大空社,1990.3(著書)
大矢一人「J.M.ネルソンとPTA政策 ―地域と学校の結合を中心にして―」(「日本教育学会大會研究発表要項」46, 97, 1987-08-25)
根本彰、三浦太郎他「占領期における図書館政策の推移 ―CIE関係文書による」(「東京大学大学院教育学研究科HP」
根本彰、三浦太郎他「政策文書に見る GHQ/SCAP 民間情報教育局の図書館政策」(東京大学大学院教育学研究科紀要. 39巻, 2000.3, p.453-478)
等を確認しましたが、社会教育担当官として図書館を担当していたようで、牧師ではなく別人のようです。
- NDC
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000137277