レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016/3/9
- 登録日時
- 2016/07/30 00:30
- 更新日時
- 2024/03/29 00:32
- 提供館
- 金沢市図書館 (2310230)
- 管理番号
- 玉川-000372
- 質問
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解決
【金沢の潮湯について】 『風呂と湯のこぼれ話』p.162に「金沢藩に招かれた蘭医フロイスは、日本人の熱湯入浴に警告と冷浴をすすめて、海水浴場の設置を建言している。」とある。
(1) フロイス、金沢の海水浴に関する資料はないか。
(2) 石川県内の海岸線にあった海水浴場や付近の旅館・茶屋等で海水を沸かして入浴できる施設があったことがわかる資料があるか。
(3) 金沢にあった銭湯で潮湯をやっていたことがわかる資料があるか。
- 回答
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(1)スロイス、金沢の海水浴に関する資料について
金沢藩に招聘された蘭医はスロイスが正しい。『風呂と湯のこぼれ話』(11022360)p.162にフロイスとあるのは誤植と思われる。
スロイスについては下記資料を所蔵している。
スロイスの講義録は当時の受講生ノートが近世史料館藤本文庫に所蔵されている。(スロイス氏口述藤本純吉筆記「解剖学」「生理学」「健康学」ほか)
・『P.J.スロイス 近代化学のあけぼのをもたらした来日オランダ人医師』板垣英治/著(109147436)
・『加賀藩洋書の総合的研究』板垣英治/著(109223270)
・また『明治金澤の蘭方医たち』山嶋哲盛/著(118464700)にスロイスの功績、講義内容等、詳しく記載されており、ご質問の入浴に関する建言は、p.96に「明治4年8月5日 藩庁に対し温泉の入り過ぎは諸病の元であるので、海水浴場を設置してもっと冷水浴をすべきである。(中略)金沢に海水浴を普及させたのはスロイスであることは明白である」と記載し、スロイスの見解を収録している。
金沢の海水浴について記載されている資料は次のとおりである。
・『金沢市史 通史編3 近代』p.530に「1925 北陸の宝塚と呼ばれた粟崎遊園が開園したが、粟崎の海岸はもともと市民の海水浴場であった」と記載がある。
・『金石町誌』(11801960)p.258「金石の海水浴場は県下に率先して明治30年創設。各中等学校の指定水泳場として知られ」と記載されている。
・『わがまち粟崎』(109068477)p.449に粟崎遊園ができ一段とにぎわったこと、海岸まで電車が通っていたこと、新聞社主催の催しがあったことなどが記載されている。
・金石の海水浴場の写真は『昭和の金沢 写真集』(118489020)p.51、『石川写真百年・追想の図譜』(1979年)(11901030)p.118、『目で見る金沢の100年』(118449507)などに収録されている。
・『追憶昔の金石とその周辺』(109069803)p.2に海水浴場、濤々園など金石一帯の手書き地図が、p.91に海水浴場の様子、昭和25年頃の浜茶屋の名前が収録されている。また、p.117には金石の銭湯事情が記載されており、薬湯が設けられていたこと、金沢の湯船は江戸よりも浅く温度もぬるかった、と記載されている。
(2)石川県内ので海水を沸かして入浴できる施設
『粟崎遊園物語』(119621145)p.9掲載の粟崎遊園御案内の中に、「潮湯を設けられ」との記載がある。
金沢市立玉川図書館近世史料館 平成22年度 新春展「宮腰から金石へ」パンフレット所収「金石町市街全図」A.金石灯台付近に「大潮湯」と書かれている。p.5「金石バッス計画配置図」内に「潮湯」と書かれた施設がある。
【URL】https://www2.lib.kanazawa.ishikawa.jp/kinsei/miyanokoshi.pdf
『金石町誌』p.258「海水浴場」に「附近日和山遊園に海水温浴場その他各種娯楽機関を設備し」と書かれている。
『金沢市詳細図 昭和38年版』(118407249)p.151(金石町付近)に「大汐湯 本谷」、『金沢市住宅明細図 平成27年版中』p.59(金石西2丁目)に「大汐湯(番田 廣)」と書かれている。
『石川県立歴史博物館紀要 第15号』(119786314)「金沢の湯屋-明治大正入浴事情」大門哲/著 p.114-115
「上金石・松葉楼の明治二十四年の広告に「海水浴も早朝より沸し」」
「明治二十六年には羽咋町の柳亭で「庭ニ私湯ヲ新築」し、「七月二日ヨリ毎日潮湯相立て」ると宣伝している」
「明治二十七年には上金石町の料理屋・高山楼が「海水湯」を開業している」
「小舞子に明治三十六年に「海水湯・御料理開店」している」との記載がある。
『大野湊の油屋・喜楽石油百年史』(109071463)p.50-52「二代目(喜楽)七四郎は汐湯営業の願いを出している」
(3)金沢の銭湯での潮湯について
『石川県立歴史博物館紀要 第15号』(119786314)「金沢の湯屋-明治大正入浴事情-」大門哲/著 p.114-115に、金沢の上近江町・塩川町・下松原町・御歩町・十三間町にあった潮湯の例が挙げられている。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000195425