レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023/02/18
- 登録日時
- 2023/03/18 00:30
- 更新日時
- 2023/03/18 00:30
- 提供館
- 宮城県図書館 (2110032)
- 管理番号
- MYG-REF-220177
- 質問
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解決
宮城からパラグアイに移住した,天命団について知りたい。天命団の一団はパラグアイで共同生活をしていたが,1960年前後に大多数がアルゼンチンに渡ったと聞いている。
- 回答
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下記資料を御案内します。※【 】内は当館請求記号です。
資料1 宮城県海外協会編『海外移住に牽かれた人々』宮城県, 1969【K334/ミ1】
pp.156-162「第一 海外移住の百年」-「二 戦後の海外移住」-「7 天命団の海外移住」の項
pp.158-161「(前略)[昭和三一年]三月出帆のテゲルベルグ号で,いわゆる天命団という新興宗教の会員が一団を組んで渡航した。遠田郡涌谷町及びその周辺の市町村一帯に,天命団という,いわば新興宗教団体が以前から存在していた。そしてこの団体は,近隣から異端的な目でみられ,何かにつけて一般の人たちと意見が合わず,誰れにもわずらわされないで生活できるようにと海外移住を思い立ったのである。(中略)涌谷町で希望者全員を集め,個人ごとに調査した結果,四二人のパラグアイへの海外移住を認めることになった。こうして三月,日本を離れ,パラグアイに向ったが,特別なケースであることもあって,県海外協会へ平沢常務理事が,南米各地の移住地の調査を兼ね,引率,移住監督として同行することになった。(中略) こうしてフラム移住地に入植した天命団の移住者は,海外移住に対する意気込みはものすごく,入植後附近の日本人移住者に先がけて模範的な農場と営農を育てあげたことからもわかる。しかし,天命団員は,移住地の一区画に集まり,厳重な柵を廻らし,パラグアイ人はもちろん,日本人移住者もその中に立入ることができず,全く閉鎖的な生活を送った。農場の中は,中央部のお堂のような建物の周りに各人の住居を建て,さらにその周辺を耕地にして落花生,にんにく,バナナなどを栽培して収入を得ていたが,後になって,こうした閉鎖的な生活に端を発した,天命団員に対するリンチ事件が契機となって,昭和三六年全員がアルゼンチンに移動し,それぞれ別個に,農業や洗濯業を営むようになった。(後略)」
なお,上掲項に一覧表が掲載されており,天命団の渡航に該当する事項は,以下のように掲載され,渡航者名やその出身地も確認できます。
pp.159-160「昭和三一年に渡航した人たち」と題する一覧表
「<出航年月日>テゲルベルグ号(31.3.14)<移住先>フラム移住地(パラグワイ)(後略)」
資料2は,昭和34年9月に日本海外協会連合会の職員としてパラグアイ駐在となった,前宮城農林事務所技師の「末永三男」氏からの通信を収録したものですが,「海外協会平沢常務理事」宛の「第三信[昭和三十五年](一月十八日付)」に天命団に関する記述がありましたので御紹介します。
資料2 宮城県海外協会編『パラグワイ国移住地紹介』宮城県海外協会, 1960【K334/1960.2】
p.8-9「第三信[昭和三十五年](一月十八日付)」の項
p.9「(前略)天命団は人つきあいが悪いだけで営農成績は今の所素晴らしいです。前の事件で最近彼等も変つて来ているとの事ですから御心配なく。(後略)」
その他,下記資料3から資料10をお調べしましたが,「天命団」に関する記述は見あたりませんでした。
資料3 宮城県南米使節団事務局編『南米に県人を訪ねて : 宮城県親善使節団の旅』宮城県南米使節団事務局, 1979【K334/ミ3】
資料4 宮城県海外移住家族会創立30周年記念事業委員会編『海外移住家族会30年のあゆみ』宮城県海外移住家族会, 1992【K334/ミ4】
資料5 野添憲治[著]『原始林の日本人移民 : 南米・パラグアイ紀行』(たいまつ新書 ; 30), たいまつ社, 1978【334.46/1978.1】
資料6 [宮城県総務部総務課編]『宮城県からの海外移住者数』[宮城県総務部総務課], [1981]【K334/ミ2】
資料7 宮城県海外移住家族会10年の活動記録発行委員会編『海外移住家族会創立30周年から40周年に至る10年の活動記録 1991年(平成3年)2001年(平成13年)』宮城県海外移住家族会, [2003]【K334/ミ4-2】
資料8 平沢亀一郎[著]『移住地を求めて世界一周』[宮城県海外協会], [1956]【K334/1956.0】
資料9[宮城県海外協会編]『宮城県海外移住者養成所要覧』[宮城県海外協会], [1959]【K334/1959.2】
資料10 涌谷町史編纂委員会編『涌谷町史 下』涌谷町, 1968【K241.1/ワ1/2】
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 人口.土地.資源 (334 9版)
- 参考資料
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- 宮城県海外協会/[編]. 海外移住に牽かれた人々. 宮城県, 1969.12【K334/ミ1】:
- 宮城県海外協会/[編]. パラグワイ国移住地紹介. 宮城県海外協会, 1960.2【K334/1960.2】:
- 宮城県南米使節団事務局/編. 南米に県人を訪ねて. 宮城県南米使節団事務局, 1979【K334/ミ3】:
- 宮城県海外移住家族会創立30周年記念事業委員会/編. 海外移住家族会30年のあゆみ. 宮城県海外移住家族会, 1992.3【K334/ミ4】:
- 野添 憲治/著. 原始林の日本人移民. たいまつ社, 1978【334.46/1978.1】:
- 宮城県総務部総務課/編. 宮城県からの海外移住者数. 宮城県総務部総務課, 1981【K334/ミ2】:
- 宮城県海外移住家族会10年の活動記録発行委員会∥[編]. 海外移住家族会創立30周年から40周年に至る10年の活動記録 1991年(平成3年)2001年(平成13年). 宮城県海外移住家族会, [2003.5]序【K334/ミ4-2】:
- 平沢亀一郎/[著]. 移住地を求めて世界一周. [宮城県海外協会], [1956]【K334/1956.0】:
- [宮城県海外協会/編]. 宮城県海外移住者養成所要覧. [宮城県海外協会], 1959.2【K334/1959.2】:
- 涌谷町史編纂委員会/編. 涌谷町史 下. 涌谷町, 1968【K241.1/ワ1/2】:
- キーワード
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- 移民・植民 (日本) -- 南アメリカ -- 歴史
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000330655