レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023/03/24
- 登録日時
- 2023/03/30 00:30
- 更新日時
- 2023/04/20 00:30
- 管理番号
- 6001060574
- 質問
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解決
昭和の初めころ、阪急百貨店で食べられたという「ソーライス」とはどのような食べものか。
- 回答
-
次の資料に記載がある。
■『小林一三:時代の十歩先が見えた男』(北康利/著 PHP研究所 2014.6)
「日本初のターミナルデパート・阪急百貨店」に次の記載がある。
「阪急マーケットを“阪急百貨店”と改称し、昭和四年(一九二九)四月十五日、にぎにぎしく開業した。(中略)百貨店の中に併設された大食堂の評判も上々だった。食堂の人気メニューは日本人が大好きなカレーライス。そのカレーライスにかけてもらうため、卓上にウスターソースを置いていた。するとライスだけを注文し、それにソースをかけて食べる客が出てきた。それが誰言うとなく“ソーライス”と呼ばれるようになっていく。ソース・ライスの略であった。」(p.146-148)
小林一三は「<ライスだけのお客様歓迎します>という紙を食堂の入口に貼らせたのみならず、何と新聞広告に“当店はライスだけのお客さまを、喜んで歓迎いたします”という言葉を入れさせた。(中略)彼[小林一三]は食堂にもしばしば制服姿で出没し、福神漬の瓶を持ってお客によそって回ったが、そうした時、ライスだけのお客には、特に福神漬の盛りを多くしたという。」(p.149)
■『小林一三翁の追想』(小林一三翁追想録編纂委員会/編集 小林一三翁追想録編纂委員会 1961)
古川緑波「先生と食べもの(遺稿)」p.493-496に次の記載がある。
「そういえば梅田阪急の食堂に、ソーライスという、一皿五銭の料理(ではないが)があったそうで、これが先生の発案だったということだ。(註)ソーライスとは、皿に、ごはんと福神漬だけ、というから、つまりライスカレーの、カレーを忘れたやつだ。カレーの代りに、ソースをかけて食えばいいので、ソーライス。」(p.494)
編者による註に「ソーライスは一般の通称で、お客さんがライスに卓上のソースを勝手にかけて食したもので、これを品名として売ったものではない。」(p.496)とある。
■『上方今と昔』(山本為三郎/著 文芸春秋新社 1958)
「返信(忘れ得ぬひとびと)」に「小林さん[小林一三]は合理的で、全くムダのない人だった。阪急百貨店の食堂には、ソーライスという食べものがあった。一皿、五銭で、山盛りに白いめしがのっていて、わきに福神漬がついていて、テーブルの上には、ソースのびんが置いてある。それをめしにかけて食べる。ソースをかけてたべるから、ソーライスと略したのです。」(p.121)
■『阪急線歴史散歩:史跡をたずねて各駅停車』(野添梨麻/著 鷹書房 1987.4)
「梅田駅」の「阪急百貨店」の項に「当時の面白いメニューに『ソーライス』があります。これは小林氏の命名で、一皿五銭。ごはんを型にはめ西洋皿に盛りつけて福神漬をつけたもので、これにソースをかけて食べるのです。京、大阪の学生に大好評だったそうです。」(p.25)
■『浪華繁盛(ナニハノニギハヒ):大阪城 食いだおれ 上方芸能… (別冊太陽)』(平凡社 1983.9)
島武史「なにわ才覚商人考」p.120-122
「時代を一歩先取りした小林一三の才気」に「『ソーライス』といって、ごはんにソースだけかけて食べて下さっても結構という、とてつもないシステムすら考え出した。」(p.120)
■『20世紀を動かした人々 16 アイディアに生きる』(講談社 1962)
「小林一三 ターミナル百貨店のアイディア」に次の記載がある。
「おもしろいのは阪急ソーライスである。五銭の飯にロハのソースをかけてかきこむわけで、学生などにはたいへんな人気だった。『飯だけの方はお断り』と大衆食堂にはり紙がでていた不景気な時代だっただけに、五銭の飯に福神漬のサービスまでついていただのだから、大衆が喜んだのも無理はない。」(p.249)
■『日本の商人 8 近代企業への才覚』(TBSブリタニカ 1984.5)
岩川隆「小林一三」(p.67-111)「夢の実現のうしろに」に「なかでも『ソーライス』というメニューは小林一三ならではの発明であったろう。これは最低料金の五銭で、温かいご飯だけをもらい、卓上においてあるソースをかけて食べるのである。大衆の欲求に対するこまやかな心づかいが表れている。」(p.98)とある。
[事例作成日:2023年3月24日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 食品.料理 (596 10版)
- 商業経営.商店 (673 10版)
- 参考資料
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- 小林一三 北/康利‖著 PHP研究所 2014.6 (146-149)
- 小林一三翁の追想 小林一三翁追想録編纂委員会∥編集 小林一三翁追想録編纂委員会 1961 (493-496)
- 上方今と昔 山本/為三郎∥著 文芸春秋新社 1958 (121)
- 阪急線歴史散歩 野添/梨麻∥著 鷹書房 1987.4 (25)
- 浪華繁盛(ナニハノニギハヒ) 平凡社 1983.9 (120)
- 20世紀を動かした人々 16 講談社 1962 (249)
- 日本の商人 8 TBSブリタニカ 1984.5 (98)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 大阪
- 質問者区分
- 業務
- 登録番号
- 1000331241