レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年02月16日
- 登録日時
- 2023/03/11 16:08
- 更新日時
- 2023/03/19 21:53
- 管理番号
- 県立長野-22-215
- 質問
-
解決
中山道の軽井沢宿、沓掛(くつかけ)宿、追分宿について、江戸時代から明治初期にかけて女性労働の実態が知りたい。飯盛女(めしもりおんな)について書かれた資料はあるか。絵や写真などはあるか。
- 回答
-
次の資料を紹介した。
・『軽井沢三宿と食売女』 岩井伝重著 櫟 1987【N222/91】
資料全体は宿場の女姓たちの様子や身売りされるまでの話、年季明けの行方や供養塔などについて記載されている。「宿場に生きる食売女(めしもりおんな)」の項のうち、p.122-140に軽井沢三宿の食売女の人口の変遷、年数、旅籠のつくりなど記載がある。
p.132に追分宿・油屋外観の写真がある。写真に撮影時期らしきものがあるが、文字として解読できない。p.134には追分宿蔦屋の昭和61年秋の写真(外観と内部)が3枚があった。p.140には追分宿つがるやの外観の写真がある。書籍内に次の作品からの宿の絵図、食売女の図版が使われていた。
『金草鞋 5編』十返舎一九作 森屋治兵衛 文化10 [1813]
(26コマ目 軽井沢)
『金草鞋 13編』十返舎一九 作 嵩山堂 [出版年不詳]
(14コマ目追分)
『木曽街道図絵 2篇 初篇』 蹄斎北馬筆 博文館 1894
(14コマ目追分)
[それぞれ、国立国会図書館デジタルコレクションにてインターネット公開 最終確認2023313]
『岐蘇路安見絵図』桑楊編 須原屋茂兵衛 1709 【N290.2/48】
(22-24コマ目 軽井沢・沓掛・追分)
[信州デジタルコモンズにてインターネット公開]
また、p.159,163に食売女の写真があり、明治期だとは思われるが年代、場所は不祥。
・『軽井沢町誌 歴史編』 岩井傳重著 軽井沢町誌編纂委員会 1954【N222/11/1】
p.78に「参勤交替と三宿」があり、参勤交替の在国期間の延長、回数の変更により、宿場の賑わいの変化について記載がある。また、後半には、各地域ごとの記述がある。
「軽井沢部落」p.280-325のうち、宿の様子についてはp.289-291。
「沓掛部落」p.328-364のうち、宿の様子についてはp.342-243。
「追分部落」p.488-561のうち、宿の様子についてはp.498-512。
・『軽井沢町誌 民俗編』 軽井沢町誌刊行委員会 1989【N222/90/3】
p.153-174のp.154に「浅間根腰の三宿」に宿の規模や人口構成がわかる記述があり、元禄から宝暦を頂点に戸数は減少していったことが書かれている。p.156-157に『沓掛宿絵図』をもとに、本陣、旅籠等を書き入れた図(天保13年)が、掲載されている。p.168-169には「明治38年ごろの沓掛」として同じような図がある。ところどころに、『諸国道中商人鑑』からの図版があり、p.174には大正8年ごろの沓掛宿の通りの写真がある。
・『諸国道中商人鑑』 竹野半兵衛著 文政10年[1827] 【N672/1】
(70-76コマ目 軽井沢、沓掛、追分)[信州デジタルコモンズにてインターネット公開]
この資料は江戸期の街道を旅する商人のための旅行ガイドブックのようなもの。『復刻 諸国道中商人鑑 中山道・善光寺之部』 郷土出版社 1989【N672/17】が復刻版として刊行されており、翻刻資料もついている。p.94-100が該当する。
・『かわら版 歴史の道 中山道』 吉井正徳著 ほおずき書籍 2000【682.15/ヨマ】
p.38-70にかけて三宿について、現在までの紹介がある。
・『中山道歴史散歩』斎藤利夫著 有峰書店新社 1985【N682/93】
p.88-97に三宿の紹介があり、全盛期の宿数、女性人口などが書かれている。
・『考証 中山道六十九次』 戸羽山瀚著 秋田書店 1975【N682/25】
p.138-144に三宿の紹介がある。
・『中山道追分茶屋物語 家族史・高砂屋盛衰記』 土屋十圀著 かもがわ出版 2017【682.15/ツミ】
明治期の鉄道開通により岩村田へ移転した追分の多くの茶屋と同じように、移転の決断をした高砂屋のその後の記録。
- 回答プロセス
-
1 『軽井沢町誌』で、問い合わせの三つの宿の概略をつかむ。絵や、写真を希望されていることから、引用されている出版物については、出典を確認していく。
2 『軽井沢町誌』を探す中で、同じ書棚に『軽井沢三宿と食売女』を見つけたので、これの内容を確認する。
3 宿の様子を調べるために、NDC分類682(交通史)や郷土分類N682(長野県の交通史)の書棚で資料を探す。
4 江戸時代に宿場を行き来していたのは、商人であったため、旅行ガイドブックのような道中記を探す。
5 それぞれの資料中にあった絵について、出典を国立国会図書館デジタルコレクション等のデジタルアーカイブでの公開を確認する。
<調査資料>
・『中山道宿場物語』北園孝吉著 雄山閣 1974【N682/23】p.242-245
・『街道の歴史と文化-浅間根腰三宿-』土屋長久編著 軽井沢郷土研究会 2003【N222/150/1】
・「中山道」『歴史の道調査報告書I-V』長野県教育委員会編 長野県文化財保護協会1984
(長野県教育委員会 1979刊の合冊復刻)【N682/53-1/1】
・「中山道軽井沢・沓掛・追分三宿街道絵巻」軽井沢書林 1973 (軽井沢叢書) 【N682/21】
・「軽井沢町誌」泉寅夫編・刊 1936【N222/22】
・『絵巻と旅する信州』 郷道哲章監修 郷土出版社 2010【N290/238】
・「善光寺道名所図会」『新編信濃史料叢書 第21巻』信濃史料刊行会編・刊 1978 【N208/43/21】
・『中山道』山田忠雄編 吉川弘文館 2001(街道の日本史17)【N682.1/カイ/17】
- 事前調査事項
- NDC
-
- 中部地方 (215 10版)
- 交通史.事情 (682 10版)
- 参考資料
-
-
岩井伝重 著 , 岩井, 伝重. 軽井沢三宿と食売女. 櫟, 1987. (千曲川文庫 ; 9)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001903631-00 , ISBN 4900408182 (【N222/91】) -
軽井沢町誌刊行委員会/編 , 軽井沢町誌刊行委員会. 軽井沢町誌 : 歴史編(近・現代). 軽井沢町誌刊行委員会, 1988-00.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I059277846-00 (【N222/11/1】) -
軽井沢町 (長野県). 軽井沢町誌 民俗編. 軽井沢町誌刊行委員会, 1989.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001994174-00 (【N222/90/3】) -
復刻 諸国道中商人鑑 : 中仙道・善光寺之部. 郷土出版社, 1989-04.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I059069564-00 , ISBN 4876631328 (【N672/17】) -
吉井正徳 著 , 吉井, 正徳, 1926-. かわら版歴史の道中山道 : 信濃路二十六宿の旅. ほおずき書籍, 2000.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002876011-00 , ISBN 4795225303 (【682.15/ヨマ】) -
斎藤利夫 著 , 斎藤, 利夫, 1931-. 中山道歴史散歩 : 宿場と旧道の面影をしのぶ. 有峰書店新社, 1995.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002443486-00 , ISBN 4870452138 (【N682/93】)
-
岩井伝重 著 , 岩井, 伝重. 軽井沢三宿と食売女. 櫟, 1987. (千曲川文庫 ; 9)
- キーワード
-
- 飯盛女
- 中山道
- 軽井沢宿
- 沓掛宿
- 追分宿
- 軽井沢三宿
- 宿場
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000330203