レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 登録日時
- 2009/07/31 14:25
- 更新日時
- 2014/09/09 15:56
- 管理番号
- 09-014
- 質問
-
解決
Y150[図書館展示準備調査]
横浜開港当時に歌われたという「のうえ節」の歌詞を確認したい。また、この唄が歌われた背景や、
その他、付随する情報を探している。
- 回答
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①「のうえ節」の歌詞については横浜市西区ホームページに掲載あり。
②関連情報として、「ノウエ」の語源としては、佃実夫著『横浜歴史散歩 : 文明開化のふるさと』に
情報あり。
③歌詞に描かれた風景としては、該当する浮世絵があり、以下の資料に掲載あり。
・神奈川県立歴史博物館編集『横浜浮世絵と近代日本 : 異国"横濱"を旅する』
・川崎市立図書館中原図書館所蔵浮世絵コレクション
その他、当館所蔵の開港期の横浜に関連する文献を参照。
- 回答プロセス
-
【調査プロセス 1 】歌詞調査
①まずは初動調査として、JapanKnowledgeLibを検索。キーワード「のうえ節」で検索。以下の説明あり。
江戸末期の流行歌。「野毛(のげ)の山からノーエ」に始まる。横浜の異人館の情景を歌ったもの。
野毛山節。さいさい節。→農兵節(のうへいぶし)
[補説]ふつう「ノーエ節」と書く。
”のうえ‐ぶし【のうえ節】”, デジタル大辞泉, JapanKnowledgeLib(オンラインデータベース),
上記説明から、「のうえ節」を調べるキーワードとして、
・「野毛山節」
・「さいさい節」
・「ノーエ節」
などがあることがわかった。
②「野毛山節」でGoogleを検索
・横浜市西区ホームページがヒットし、以下のように「野毛山節」が解説されていた。
URL : http://www.city.yokohama.jp/me/nishi/midokoro/nogeyamabushi/
「野毛山節は、幕末から明治維新にかけての流行歌で、「野毛の山から」見た、異人館や外国人
練兵場など、開港当時の横浜の情景をやゆ的に歌ったものとされています。歌詞のはやし言葉
からノーエ節、サイサイ節とも言われています。作詞者・作曲者はわかっていません。
野毛山節(ノーエ節)は、「富士の白雪ァノーエ」の歌詞で知られる静岡県三島市の三島農兵節な
ど、全国各地にそれぞれの歌詞があることでも知られています。野毛山節(ノーエ節)の起源につ
いては、諸説ありますが、横浜で歌われた野毛山節がノーエ節のオリジナルで、全国各地に伝わ
ったという説もあります。」
・また、歌詞リンクをクリックすると「野毛山節」の歌詞と共に譜面が公開されていた。
URL : http://www.city.yokohama.jp/me/nishi/midokoro/nogeyamabushi/song.html
野毛山節(ノーエ節)
野毛の山からノーエ/野毛の山からノーエ/野毛サイサイ/山から異人館をみれば/
鉄砲かついでノーエ/鉄砲かついでノーエ/お鉄砲/サイサイ/かついで/小隊進め
オッピキ/ヒャラリコ/ノーエ/オッピキ/ヒャラリコ/ノーエ/オッピキ/サイサイ/
ヒャラリコ/小隊進め/ チーチーガタガッテ/ノーエ/チーチーガタガッテ/ノーエ/
チーチーガ/サイサイ/ガタガッテ/小隊進め
・このページから野毛山節保存会による演奏を聴くことも可能。
③「ノーエ節」でGoogleを検索してみると、主に静岡県民謡としてヒットする。
三島観光協会のホームページに歌詞あり。
URL : http://www.mishima-kankou.com/entertain/nouhei.html
富士の白雪ノーエ 富士の白雪ノーエ 富士のサイサイ 白雪朝日でとける
とけて流れてノーエ とけて流れてノーエ とけてサイサイ 流れて三島にそそぐ
三島女郎衆はノーエ 三島女郎衆はノーエ 三島サイサイ 女郎衆は御化粧が長い
御化粧ながけりゃノーエ 御化粧ながけりゃノーエ 御化粧サイサイ ながけりゃ御客がおこる
御客おこればノーエ 御客おこればノーエ 御客サイサイ おこれば石の地蔵さん
石の地蔵さんはノーエ 石の地蔵さんはノーエ 石のサイサイ 地蔵さんは頭が丸い
頭丸けりゃノーエ 頭丸けりゃノーエ 頭サイサイ 丸けりゃからすが止まる
からす止まればノーエ からす止まればノーエ からすサイサイ 止まれば娘島田
娘島田はノーエ 娘島田はノーエ 娘サイサイ 島田は情けでとける
【調査プロセス 2】「のうえ節」の背景と付随情報
①横浜開港期の資料をいくつか確認したところ、佃実夫著『横浜歴史散歩 : 文明開化のふるさと』
創元社 に以下の記述あり(142頁)。
「当時東海道から居留地や港に行くには「横浜道」を通った。この道は東海道の芝生村(現在の
西区浅間町)から一本道。途中野毛山の切通しがあり、ここから開港場のパノラマ図が開けた。
野毛の山からノウエ、―(中略)―という「ノウエ節」(英語のNOとYESを合成してノウエとしたと
いう)も生まれた。今は乱立するビルに妨げられ港すら見えなくなった。」
上記解説文の横に一枚の横浜浮世絵が掲載されている。タイトルは「野毛切通しから横浜開港
場のパノラマ」。作者は“貞秀画”とのみある。
横浜の「野毛山節」の歌詞に符合する景色が描かれているが出典については記述がない。
②「野毛切通しから横浜開港場のパノラマ」の出展を調査する。
・横田洋一編『横浜浮世絵』有隣堂 , 1989.5
→掲載なし
・神奈川県立博物館編『横浜浮世絵 : 集大成』 有隣堂 , 1979.12
→掲載あり。モノクロ。ただし、絵師とタイトル判明。
絵師:五雲亭貞秀
タイトル:野毛村切通シヨリ横浜入口吉田橋野毛橋本町ヱモン坂大門遊女屋町并横浜本村遠景
・神奈川県立歴史博物館編集『横浜浮世絵と近代日本 : 異国"横濱"を旅する』
→40頁に掲載あり。カラー。
・川崎市立図書館中原図書館所蔵浮世絵コレクション
→ジャンル<東海道>を選択。カラー画像が公開されており、拡大画像を選択すると精細な画像を
見ることができる。まさに、「♪野毛の山からノーエ//山から異人館をみれば♪」の景色。
URL:https://www.library.city.kawasaki.jp/webgarary/u00017.html
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
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- 横浜市西区ホームページ (http://www.city.yokohama.jp/me/nishi/)
- 三島観光協会のホームページ (http://www.mishima-kankou.com/entertain/nouhei.html)
- 佃実夫著『横浜歴史散歩 : 文明開化のふるさと』創元社
- 横田洋一編『横浜浮世絵』有隣堂 , 1989.5
- 神奈川県立博物館編『横浜浮世絵 : 集大成』 有隣堂 , 1979.12
- キーワード
-
- のうえ節
- ノウエ節
- 野毛山節
- 農兵節
- のうへいぶし
- ノーエ節
- さいさい節
- 三島農兵節
- 横浜開港
- 横浜道
- 野毛山切通し
- 開港場
- 外国人居留地
- 五雲亭貞秀
- 異人館
- 照会先
- 寄与者
- 備考
-
・「ノーエ節」の起源について
「ノーエ節」の起源を巡っては、横浜・野毛山か、それとも静岡県三島市かで論争がある。
ノーエ節は国内に十種類以上あるといわれる。
2008年2月28日には起源をめぐるシンポジウムが横浜市西区の西公会堂で行われた。
※日本で初の「野毛山節シンポジウム」
http://www.city.yokohama.jp/me/nishi/profile/pi/pdf/20_02gatu.pdf
関連事例URL
https://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000057407
https://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000056783
https://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000056788
https://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000055022
https://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000056865
https://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000057402
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 図書館館内展示準備
- 登録番号
- 1000056783
- 関連ファイル
-
配布グッズ
神名川横浜新開港図
http://klibredb.lib.kanagawa-u.ac.jp/dspace/handle/10487/4617
もしほ草
http://klibredb.lib.kanagawa-u.ac.jp/dspace/handle/10487/4462/browse-title
横浜開港150周年記念展示 展示目録
http://klibredb.lib.kanagawa-u.ac.jp/dspace/handle/10487/4726
横浜開港150周年記念展示ポスター
http://klibredb.lib.kanagawa-u.ac.jp/dspace/handle/10487/4719/browse-title