レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年10月25日
- 登録日時
- 2019/12/24 17:02
- 更新日時
- 2019/12/25 15:24
- 管理番号
- 兵尼2019-53
- 質問
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解決
美術館で働く女性(学芸員)が主人公の、以前読んだ本を探している。
- 回答
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お探しの本は、『楽園のカンヴァス』 原田 マハ/著 新潮社(単行本:2012・文庫本:2014)でした。
こちらの作品のp.8に次の描写(回答プロセス記載の質問者が挙げた本のワンシーン)がありました。
「くすくす笑い合う声、(中略)「静かに!」と小さく叫ぶ大人の女性の声が混じる。(中略)…女子学生の団体と引率教諭だと分かる。」
- 回答プロセス
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質問者への聞き取りから得られた情報は、
(1)美術館で働く学芸員(女性)が主人公
(2)物語のはじまり(読み出した最初の方)に、美術館に入ってきたお客さん(団体を引率する先生)に対して文句を言っている人が登場するシーンがあった
(3)ハードカバーではなく、ソフトカバーで小さめのサイズだったと思う(新書サイズくらい?)
(4)あまり分厚いものではなく、比較的薄く軽めだった
(5)2年程前に読んだが、途中までしか読んでいない
(6)図書館で借りたわけではなく、知人から借りた
(7)ノンフィクションや実用書の類ではなく、小説だった
(8)物語の舞台は日本(関東圏だったかもしれない)
以上の情報から、調査を進める。
まず(1)(5)の情報より、司書が思い当たる美術館・博物館・学芸員が登場する作品やインターネットで「学芸員」「主人公」「女性」「小説」などキーワード検索をし、参考になりそうなものをピックアップ。
美術館・学芸員がメインとなる小説といえば原田マハの可能性ありと思うが、該当しそうなものが全て貸出中で利用者に内容確認してもらうことができず。
ネット上でご質問の情報(2)について触れているようなページがないか探すが見つからず。
『トワイライト・ミュージアム』初野 晴/著 講談社(2009) サイズ 新書(18cm)
『閉ざされた夏』若竹 七海/著 講談社 (1993) 当館には単行本サイズしかないが文庫本も出版済
『展覧会いまだ準備中』山本 幸久/著 中央公論社(2012) 当館には単行本サイズしかないが文庫本も出版済
→その時点で館内にあった、この3点を確認してもらうが「違う」とのこと。
原田マハ作品で可能性の高そうな資料を取り寄せて、後日、質問者に確認してもらうことに。
取り寄せすることにした資料は以下の3冊。
(ⅰ)『常設展示室』新潮社(2018)→(5)の時期には合致しないが一応確認のため
(ⅱ)『暗幕のゲルニカ』新潮社(2016)→文庫版は2018.7.1に出版
(ⅲ)『楽園のカンヴァス』新潮社(2012)→文庫版は2014.7.1に出版
取り寄せたものを確認したところ、資料(ⅲ)に質問者からうかがった情報(2)と合致する描写あり。
ただし、こちらの資料には新書版の出版はなく、お聞きした情報(3)とは合致せず。
また、物語の主たる舞台はスイスだが、質問者が読まれたのが序盤(この部分は日本の美術館)である。
これらを踏まえ、ご本人にも確認していただいたところ、お求めの資料である、とのことでした。
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
- キーワード
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- 美術館
- 女性
- 職員
- 学芸員
- 主人公
- 小説
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 複数の司書の知恵を結集しての調査でした。
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000271316