レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020/02/14
- 登録日時
- 2020/04/09 00:30
- 更新日時
- 2020/04/09 00:30
- 管理番号
- 6001042710
- 質問
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解決
幕末に淀川で見つかった、豊年魚の図を見たい。できれば、解説も見たい。
- 回答
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次の資料を紹介した。また、発見された場所が淀川ではなく、大坂城の堀だったとの異説もあった。そのため、同時期に大坂城の堀で見つかった動物についての資料も紹介した。
<豊年魚の図・解説>
・『瓦版にみる幕末大坂の事件史・災害史:テーマ展 南木コレクションシリーズ』(大阪城天守閣/編集 大阪城天守閣 2011.3)p.18
1)出品番号14 淀川に現れた豊年魚
「淀川で怪魚が見つかったことを報じた瓦版。体長は七尺五寸(約二.三メートル)、体重は二十貫目(七五キログラム)もあり、姿は鼬のようで、足は亀に似ていたという。以前にもこの魚が見つかったことがあり、そのときは発見以降大豊作が続いたので、今回もこれから豊年となり、天下泰平となる吉兆だろうと記している。魚は「豊年魚」と名付けられたという。
この豊年魚発見について『近来年代記』は「異化之魚取る事」という項を立て、「六月上旬比淀川辺で取れしと号せしが、実は御城ほりニて死して浮上りしなと云り。此形さんしょ魚ニ似て、頭人面之如し、せハうろこ有て、手足亀のごとし。惣体鉄色ニして、大サ三尺計りち云へり。見た人一向なし、うはさ也。」と記し、実は淀川ではなく大坂城の堀で死体で見つかったものであるとの異説と紹介し、豊年魚の正体は大山椒魚ではないかとも推測している。」
・『日本の幻獣図譜:大江戸不思議生物出現録』(湯本豪一/著 東京美術 2016.7)p.80-81
2)電光の図説・豊年魚 江戸時代 縦33.5 横23.9
「二丁掛の錦絵で下段に豊年魚なる幻獣が描かれている。淀川に出現した豊年魚。背筋が黒くて苔が生え、鏡のような目、鼬のような形で足は亀のようだったという。大きさは7尺5寸(約2.3メートル)、重さは20貫目(約75キログラム)。以前にも出現して豊作が続いたといわれる。魚と名づけられているがゴジラのような姿だ。豊年魚はほかの資料でも同じような姿として描かれている。」
この図は次の資料にも紹介されている。
・『日本の幻獣:未確認生物出現録』(川崎市市民ミュージアム/編集 川崎市市民ミュージアム 2004.7)p.54
・『異界万華鏡:あの世・妖怪・占い』(国立歴史民俗博物館/編集 国立歴史民俗博物館 2001.7)p.107
<大坂城の堀で見つかった動物の図・解説>
3)京の記憶アーカイブ(京都府立京都学・歴彩館):「幕末時事情報誌 風説書 6 色々な風説書 大阪城に怪獣が現れた!?」
http://www.archives.kyoto.jp/?page_id=3192 (2020/2/26現在)
『ひとのうわさ』『幕末風聞書留』掲載の図を閲覧できる。
4)『丙寅連城漫筆:第1』(小寺玉晁/編 日本史籍協会 1919)p.178
こちらは国会図書館デジタルコレクションにて、インターネット公開されている(2020/2/19現在)。
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/941475 コマ番号96
・『日本の幻獣図譜:大江戸不思議生物出現録』p.83
5)大坂城堀の奇獣 江戸時代 横24.0 縦33.0
「慶応2年(1866)6月9日に大坂城の堀からあがった奇獣を描いている。口からの吹き出しのような表現があり、巻物が描かれているようだが何を意味するかは不明。左には大きさや特徴などが記録されている。この奇獣の記録は下の図をはじめほかにも見られる。」
この図は次の資料にも掲載されている。
・『日本の素朴絵 Soboku-e:Japanese innocent paintings through the ages』(三井記念美術館 NHKプロモーション 2019.7)図版番号54
6)大坂城堀の奇獣 江戸時代 横30.0 縦43.0
「上掲の資料と同じ大坂城の堀から揚がった奇獣の死骸を描いており、ここでは「恠物(怪物)」と記されている。こちらは彩色された図なのでこの奇獣の色が確認できる。この絵とともに奇獣について書かれた手紙も発見された。その手紙では山椒魚ではないかと書かれているが詳細は不明。こうした手紙があることからも相当に話題となったと思われる。全長7尺(2.1メートル)、歯の長さ4寸5分(約13.6センチメートル)とある。」
・『驚異と怪異:想像界の生きものたち』(国立民族学博物館/監修 河出書房新社 2019.8)p170-171
7)図版番号231 大坂城異獣の図 1866年作
8)図版番号232 大坂城異獣の図 1866年作
9)図版番号232 怪獣 慶応二年六月九日大坂金城堀ヨリ上ル 江戸時代
「1866(慶応2)年6月9日の朝方に大坂城の堀に謎の怪獣の死骸が上がったという。全長は3メートルを超えるほど巨大であったとされる。全長、体長、尾長、胴回り、足長、目幅、口幅、体重、体色などが細かく記録されている。当時の人びとは、豊臣秀吉の側室、淀殿が飼っていたヤモリの成れの果てであろうと噂したという。」
2)と9)の画像は次の資料にも掲載されている。
・『歴博』第170号(国立歴史民俗博物館 2012年1月)p.23
インターネット版:https://www.rekihaku.ac.jp/outline/publication/rekihaku/170/witness.html (2020/2/26現在)
[事例作成日:2020年2月26日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 伝説.民話[昔話] (388 10版)
- 近畿地方 (216 10版)
- 参考資料
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- 瓦版にみる幕末大坂の事件史・災害史 大阪城天守閣∥編集 大阪城天守閣 2011.3 (18)
- 日本の幻獣図譜 湯本/豪一‖著 東京美術 2016.7 (80-81)
- 日本の幻獣 川崎市市民ミュージアム∥編集 川崎市市民ミュージアム 2004.7 (54)
- 異界万華鏡 国立歴史民俗博物館∥編集 国立歴史民俗博物館 2001.7 (107)
- 丙寅連城漫筆 第1 [小寺/玉晁∥編] 日本史籍協会 1919 (178)
- 驚異と怪異 国立民族学博物館‖監修 河出書房新社 2019.8 (170-171)
- 歴博 国立歴史民俗博物館編集 国立歴史民俗博物館 (170号(2012.1) p.23)
- http://www.archives.kyoto.jp/?page_id=3192 (「幕末時事情報誌 風説書 6 色々な風説書 大阪城に怪獣が現れた!?」京の記憶アーカイブ(京都府立京都学・歴彩館)(2020/2/26現在))
- https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/941475 (国会図書館デジタルコレクション:『丙寅連城漫筆:第1』(2020/2/19現在))
- https://www.rekihaku.ac.jp/outline/publication/rekihaku/170/witness.html (『歴博』第170号(インターネット版)(2020/2/26現在))
- キーワード
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- 大阪城(オオサカジョウ)
- 怪異(カイイ)
- 風聞(フウブン)
- 慶応年間(ケイオウネンカン)
- 豊年魚(ホウネンウオ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 大阪,図・絵
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000280371