一次史料に関連する情報が次の資料から見つかりました。
①『神都百物語 訂正増補 復刻 正続』松木 時彦/著 古川書店1972
p25-27「中之地蔵町」の項目
「享保年中には既に他境に迄出店して、都下の同業者と競争せし勢力あるに至れり。其は温知政要別記に左の如くあるにて知るべし」として以下約1ページ分、「温知政要別記」の文章を引用しています。
内容はご質問にある通り、三店で西小路に一軒の店を建て繁栄したということですが、店名は「千歳屋」ではなく「千年屋」と表記されています。また、中略されている箇所がいくつかあり、その部分の内容は不明です。
この引用元の文献「温知政要別記」を探してみたところ、当館では「温知政要」を収録している資料はいくつか所蔵していますが、いずれにも「別記」の部分が収録されておらず、確認することができませんでした。
調査済資料は次の通りです。
『温知政要』徳川 宗春/[著],大石 学/訳・解説 海越出版社1996(p8-9に版本・写本・翻刻の所蔵館を列記)
『名古屋叢書 [正編] 第1巻(文教編)』名古屋市教育委員会1960
『日本思想大系38 (近世政道論)』奈良本 辰也/校注 岩波書店1976
「温知政要」はインターネット上の「古典籍総合データベース(早稲田大学)」でも写本を閲覧することができますが、こちらにも「神都百物語」で引用された部分は見つけることができませんでした。
②『規制緩和に挑んだ「名君」徳川宗春の生涯』大石 学/編 小学館1996
この資料中に、江戸時代の名古屋の遊郭に関する史料名がいくつか見られましたので参考までに次に紹介します。「不たつさか津き」(遊郭の案内などの浮世草紙。蓬左文庫蔵)、「遊女濃安都(ゆめのあと)」、「三廓細見記」(西小路、冨士見原、葛町の案内記)、「艶色品定 八百屋の縁の下」(西小路遊女の評判記)
このうち「ゆめのあと」諸本については第12章に詳しく述べられています。
いずれも当館には所蔵がなく内容は確認できませんが、千歳屋について記載されている可能性があります。
このほか『伊勢の古市あれこれ』の参考文献(p174)等を中心に探しましたが、該当する情報は見つかりませんでした。
調査済資料:宇治山田市史、日本図会全集2期4巻、勢陽雑記、勢陽五鈴遺5、参宮の今昔、昔のお伊勢まいり、宮本常一伊勢参宮、「おかげまいり」とええじゃないか」、わが生涯の記、伊勢郷土史草、新修名古屋市史 近世3、名古屋街かど歴史散歩、名古屋時代MAP 江戸尾張編
『伊勢の古市あれこれ』の参考文献のうち、当館未所蔵のものについては内容が確認できませんでしたが『神都長嶺記』は神宮文庫と国立国会図書館マイクロフィルム、『間の山夜話』は神宮文庫に所蔵があります。