レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年11月11日
- 登録日時
- 2022/02/05 10:13
- 更新日時
- 2023/04/07 11:39
- 管理番号
- いわき総合-地域650
- 質問
-
解決
いわき市小名浜の「汐留区民会館」は、かつて「公益質屋」だったと聞いた。
(1)どのような施設だったのか。また、どこが経営していたのか(市町村・国など)
(2)いつからいつまで経営していたのか。
(3)市内に同じような施設はあったか。ある場合は、どのくらいの数があったか。
- 回答
-
「汐留区民会館」は、現在のいわき市小名浜船引場にある施設です。
調査の結果、「公益質屋」は、この地域が「磐城市」だった頃に存在していたことがわかりました。
※磐城市は、福島県浜通り地方の南部にあった市です。昭和29年(1954年)に小名浜町・江名町・泉町・渡辺村が合併して誕生しました。昭和41年(1966年)10月1日に隣接する市町村と大型合併し、「いわき市」になりました。
お問い合わせいただいた(1)~(3)の回答は以下の通りです。
(1)市民への資金貸付を行っていた施設で、経営は当時の磐城市が行っていたと考えられます。
(2)昭和32年(1957年)開設~終了時期は不明。
(3)磐城市には1件のみ。他に、当時の内郷市や常磐市などにも同時期にそれぞれの市が経営する「公益質屋」があったことがわかります。
以下の資料に記述があります。
(1)施設の概要・経営について
【資料①】『磐城 1965(昭和40年版)』(磐城市役所総務部企画開発課 1966)
【資料②】『市報いわき No.52~72(昭和39年1月~12月)』(磐城市 1964) No.61 p4
【資料③】『市報いわき No.97~115(最終号)(昭和41年1月~9月)』(磐城市総務部企画開発課 1966) No.107 p4
【資料④】『広報いわき磐城支所だより 創刊号~19(昭和41年11月~43年5月)』(いわき市磐城支所総務課文書係 1966) 昭和42年11月 p4
【資料⑤】『磐城市10年の歩み』(磐城市 1963) p52
【資料⑥】『小名浜物語 モノクロームの風景』(いわき市立小名浜図書館 2005)
【資料①】は当時の磐城市の市勢要覧です。
「おもな官公署・会社・工場・団体」のページに「磐城市公益質屋」の名称・所在地・電話番号が掲載されています。
【資料②】~【資料④】には、「市が経営している公益質屋」「あなたの生活のための資金貸し付けを行っています」などの記述があります。
また、貸付金額などは以下の通りです。
・貸付限度 「一回二万円まで 一世帯五万円まで」
・貸付利率 「月三分(千円に対して三十円)」
・流出期限 「四か月間」
この他、流質品は度々公売されていたようです。
【資料⑤】には、以下の記述があります。
「はじめは,労働者508人,サラリーマン496人,小商業者575人,漁業者701人など2,757人に利用されたが,金額は358万円にとどまった。その後は利用人数はへったが,貸出金額は逆にふえ,利用者が固定しながら回数がふえて,社会経済界の影響を微妙に現わしている」
また、建物の外観の写真や、昭和32年(1957)~昭和37年(1962)の利用状況の表が掲載されています。
【資料⑥】には、【資料⑤】と同じ「公益質屋」の写真(昭和37年(1962))が大きなサイズで掲載されています。
(2)経営時期について
【資料⑤】に「32年に,市民の簡単な金融機関としてもうけられた」という記述があります。
よって、開設は昭和32年(1957年)です。
いつ経営終了したのかについては、明確な記述を見つけることはできませんでした。
当館所蔵の住宅地図を確認すると、以下のようになっています。
【資料⑦】『ゼンリンの住宅地図 いわき市(磐城・勿来) 1968』(善隣出版社 1968)
【資料⑧】『日興の住宅地図 (いわき市 勿来地区小名浜地区) 1972』(日興出版 1972)
【資料⑨】『日興の住宅地図 (いわき市 小名浜・泉・植田・錦・勿来・山田・遠野・田人) 1979』(日興出版 1979)
・昭和43年(1968) 「公益質店」の文字あり。
・昭和47年(1972) 同場所に「アキヤ」の文字あり。
・昭和54年(1979) 同場所に「汐留区民会館」の文字あり。
(3)市内に同じような施設はあったか
【資料⑩】『うちごう 1962』(内郷市(福島県) 1962) p68
【資料⑪】『じょうばん』([常磐市]総務課統計係 1966) p22
【資料①】によると、磐城市内にあった「公益質屋」は1か所のようです。
同時期(昭和30年~昭和40年頃)の他市の市勢要覧を見ると、内郷市や常磐市にも「公益質屋」があったことが確認できます。
※内郷市・常磐市も昭和41年(1966年)10月1日に合併し、「いわき市」になりました。
【2023.4.6 追記】
以下の資料にも公益質屋が掲載されていました。
●磐城市 公益質屋
・「いわき民報」昭和32年5月11日3面
「公益質屋を開業(磐城)」の記事が掲載されています。
「磐城市では石城五市のトップを切り船引場地内(嘉平稲荷神社裏)に近く公益質屋を店開きする」とあり、外観の写真も掲載されています。
https://library.city.iwaki.fukushima.jp/viewer/archive.html?idSubTop=2&id=744&g=305
●内郷 公益質屋
・「いわき民報」昭和34年4月2日 4面
「内郷公益質屋 開店早々好人気」の記事が掲載されています。
https://library.city.iwaki.fukushima.jp/viewer/archive.html?idSubTop=2&id=769&g=307
・「いわき民報」昭和35年1月7日(木) 1面
「利用少ない公益質屋 内郷 質草に困る市民も」の記事が掲載されています。
https://library.city.iwaki.fukushima.jp/viewer/archive.html?idSubTop=2&id=784&g=308
※「いわき民報」の一部はリンク先(いわき市立図書館 郷土資料のページ)で閲覧できます。
- 回答プロセス
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上記調査の通り
- 事前調査事項
- NDC
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- 金融.銀行.信託 (338 9版)
- 参考資料
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- 【資料①】『磐城 1965(昭和40年版)』[K-318.27-イ-1965・1114602657]
- 【資料②】『市報いわき No.52~72(昭和39年1月~12月)』[DK-318-イ-・1210246870]
- 【資料③】『市報いわき No.97~115(最終号)(昭和41年1月~9月)』[DK-318-イ-・1210246896]
- 【資料④】『広報いわき磐城支所だより 創刊号~19(昭和41年11月~43年5月)』[DK-318-イ-1966・1210246987]
- 【資料⑤】『磐城市10年の歩み』[K-318.27-イ-・1111443022]
- 【資料⑥】『小名浜物語 モノクロームの風景』[K-210.6-1-イ-・1112167190]
- 【資料⑦】『ゼンリンの住宅地図 いわき市(磐城・勿来) 1968』[K-291-イ-1968・1112226285]
- 【資料⑧】『日興の住宅地図 (いわき市 勿来地区小名浜地区) 1972』[K-291-ニ-・1111920458]
- 【資料⑨】『日興の住宅地図 (いわき市 小名浜・泉・植田・錦・勿来・山田・遠野・田人) 1979』[K-291-ニ-・1111920458]
- 【資料⑩】『うちごう 1962』[K-318.27-ウ-・1111226898]
- 【資料⑪】『じょうばん』[K-318.27-ジ-1966・1111977623]
- キーワード
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- 質屋
- 公益質屋
- 公設質屋
- いわき市
- 小名浜
- 内郷
- 常磐
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000311827