レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013年12月25日
- 登録日時
- 2014/11/25 16:56
- 更新日時
- 2016/04/15 11:00
- 管理番号
- 埼熊-2014-065
- 質問
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未解決
1543年に種子島に鉄砲が伝来した際に購入費用とされた金2000両とは、現在の貨幣価値に換算していくらか知りたい。
- 回答
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当時の2000両が現在のいくらにあたるかについては、現代と当時とでは社会状況が全く異なるため、明確に回答できる資料は見当たらなかった。
また、種子島に伝来した鉄砲の費用について、金2000両のほかにも諸説確認された。
『鉄炮伝来 兵器が語る近世の誕生』(宇田川武久著 中央公論社 1990)に、「さっそくニ千金という大金を投じて鉄砲を買い入れ」という記述があったが、その典拠とされている「鉄砲記」(南浦文之著 1606)には、「時堯不言其価之高而難及 而求蛮種之二鉄炮」とあるのみで、具体的な金額はなかった。
また、「南島偉功伝」(西村天囚著 誠之堂書店 1899)には、「貮千両を謝儀として」との記述があったが、その典拠とされるメンデス・ピントの著作を確認すると、「1000タエルの銀」あるいは「銀千両」と書かれていた。
- 回答プロセス
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1 自館目録を〈鉄砲伝来〉で検索、該当資料を調査する。
『鉄炮伝来 兵器が語る近世の誕生』
p2 南浦文之著「鉄砲記」のあらましとして、「さっそくニ千金という大金を投じて鉄砲を買い入れ」という記述はあるが、現在への換算額なし。
なお、再刊の講談社学術文庫版では、一部表現が異なっている。
『火縄銃の伝来と技術』(佐々木稔編 吉川弘文館 2003)
p219-220に、「鉄砲記」の該当部分として「時堯、其の価の高くして及び難きことを言はずして、蛮種の二鉄炮を求めて、以て家珍と為す矣。」との書き下し文あり。
『種子島銃 伝来とその影響』(洞富雄著 淡路書房新社 1958)
p58 ピントの「廻国記」に、「ゼイモトは好意に報いるために、ある日、鉄砲を贈った。ナウタキン(※時尭のこと)は高価の品としてそれを受けとり、このために一〇〇〇タエルの銀を彼に贈ることを告げた」とあり。
『世界ノンフィクション全集 47』(中野好夫編 筑摩書房 1963)
p366 メンデス・ピント著「東洋放浪記」の中に「狩に行って鳩をたくさん取って帰った後、銃を献上した。時堯は実に貴重な物をくれた、シナ人の全商品よりはるかに価値があるといって、銀千両を返礼に与え、さらに火薬を作る方法を教えるように頼んだ。」とあり。
その他、以下の資料に関連する記述があるが、金額の記載はなし。
『真説鉄砲伝来』(宇田川武久著 平凡社 2006)
『鉄砲伝来の日本史 火縄銃からライフル銃まで』(国立歴史民俗博物館、宇田川武久編 吉川弘文館 2007)
『鹿児島県史料 旧記雑録拾遺 家わけ 4』(鹿児島県歴史資料センタ-黎明館編 鹿児島県 1994)
また、個人開設のウェブサイト等に西村天囚著「南島偉功伝」を典拠とする情報あり。
2 《国会図サーチ》を〈南島偉功伝〉で検索、以下が該当する。
《国会図デジタルコレクション 南島偉功伝》下 p16-17(52コマ目)
「因てチエモトは鉄砲を献上しければ島主の感斜ならす、貮千両を謝儀としてチエモトに贈り、其厚情に報ひられたり、云々 銃猟の手練を驚嘆して奇世の珍と為し、鉄砲を獲て二千金を贈れる。後の本文と相合せり、蓋し事実に相違なからん」とあり。(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/992713 国会図 2013/12/25最終確認)
3 当時の物価及び貨幣価値を調べる。
以下を確認するが、鉄砲の費用に該当する数値はなし。
『日本史資料総覧』(東京書籍 1986)
『読史備要』(講談社 1966)
p743-773に「金銀米銭相場一覧」あり。
『新編日本史辞典』(東京創元社 1990)
p1202-1211「中世末・近世初頭物価表」あり。
『江戸物価事典 江戸風俗図誌 6』(小野武雄編著 展望社 1979)
『日本中世商品流通史論 荘園商業の展開と生産構造』(神木哲男著 有斐閣 1980)
《貨幣博物館》(http://www.imes.boj.or.jp/cm/history/historyfaq/a5.html 日本銀行金融研究所 2013/12/23最終確認)
18世紀の貨幣価値についてのQ&Aあり。
《古代・中世都市生活史(物価)データベース》(http://www.rekihaku.ac.jp/up-cgi/login.pl?p=param/ktsb/db_param 国立歴史民俗博物館 2013/12/23最終確認)
品名〈鉄砲〉で検索すると、当時の価格が分かる。
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本史 (210 9版)
- 兵器.軍事工学 (559 9版)
- 参考資料
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- 『鉄炮伝来 兵器が語る近世の誕生』(宇田川武久著 中央公論社 1990) , ISBN 4-12-100962-2
- 『火縄銃の伝来と技術』(佐々木稔編 吉川弘文館 2003) , ISBN 4-642-03383-1
- 『種子島銃 伝来とその影響』(洞富雄著 淡路書房新社 1958)
- 『世界ノンフィクション全集 47』(中野好夫編 筑摩書房 1963)
- 《国会図デジタルコレクション 南島偉功伝》(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/992713 国会図 2013/12/25最終確認)
- キーワード
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- 銃-歴史-日本
- 日本-歴史-安土桃山時代
- 種子島
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000163548