レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012/07/09
- 登録日時
- 2012/11/24 02:00
- 更新日時
- 2012/11/24 02:00
- 管理番号
- 横浜市中央2162
- 質問
-
解決
不動産登記簿の謄本交付制度の趣旨がわかる資料。
特に、有償かつ何人も交付請求できるのはなぜかが知りたい。
- 回答
-
当該事項については、不動産登記法(新法)では第119条で定められています。
また、不動産登記法(旧法)では第151ノ3で定められています。
・不動産登記法(新法)(登記事項証明書の交付等)
「第119条 何人も、登記官に対し、手数料を納付して、登記記録に記録されている事項の
全部又は一部を証明した書面(以下「登記事項証明書」という。)の交付を請求することが
できる。」
・不動産登記法(旧法)
「第百五十一条ノ三
何人ト雖モ手数料ヲ納付シテ前条第一項ノ登記簿ニ記録シタル事項ノ全部又ハ一部ヲ
証明シタル書面(以下登記事項証明書ト称ス)ノ交付ヲ請求シ又ハ法務省令ノ定ムルト
コロニ依リ手数料ノ外送付ニ要スル
費用ヲ納付シテ登記事項証明書ノ送付ヲ請求スルコトヲ得」
また、関係する条文として不動産登記法(新法)の第120条、旧法第21条が挙げられます。
・不動産登記法(新法)(登記事項証明書の交付等)
「第120条 何人も、登記官に対し、手数料を納付して、地図、建物所在図又は地図に
準ずる図面(以下この条において「地図等」という。)の全部又は一部の写し(地図等が
電磁的記録に記録されているときは、当該記録された情報の内容を証明した書面)の
交付を請求することができる。」
・不動産登記法(旧法)
「第二十一条 何人ト雖モ手数料ヲ納付シテ登記簿ノ謄本若クハ抄本又ハ地図若クハ
建物所在図若クハ登記簿ノ附属書類中地積ノ測量図、建物ノ図面其他ノ図面(以下
本条ニ於テ地積測量図等ト称ス)ノ全部若クハ一部ノ写ノ交付ヲ請求シ又登記簿、
地図若クハ建物所在図又ハ登記簿ノ附属書類(地積測量図等以外ノモノニ在リテハ
利害ノ関係アル部分ニ限ル)ノ閲覧ヲ請求スルコトヲ得 」
以下に関連の資料をご紹介します。
1 現行の不動産登記法第119条に関する解説
詳細に説明があるものはアの資料です。
また、「何人も」ということについては不動産登記法の第1条で定められている、この法律の
目的も関係しておりますので、あわせてご紹介します。
(1)『不動産登記法』鎌田薫/編 寺田逸郎/編 日本評論社 2010
p.9~「[第1章]総則(目的)」にこの不動産登記法の目的である「(目的)第1条」の
「本条の趣旨」について記載があります。
p.338~第119条について「本条の趣旨・沿革」が記載されています。
また、「旧法151条ノ3と同趣旨の規定」とあります。
(2)『新 不動産登記法 先例判例で読み解く』浦野雄幸/著 三省堂 2007
p.3~ 「公示制度としての「登記」」
p.403~「第9部 登記事項の証明等」の「1.法§119登記事項証明書の交付等」
(3)『一問一答 新不動産登記法』清水響/編著 商事法務 2005
p.274~「Q172 登記事項証明書の交付に関する規定は、旧法と異なるところはあり
ますか。」
旧法から新法になった際の変更点(3点)について記載がありますが、変更点の中に
証明書交付の意義に関する変更点はなく、「旧法の内容と実質的な変更はありません。」
とあります。
(4)『不動産登記法〈逐条詳解〉』安西弘康/著 プログレス 2006
p.174~「第5章 登記事項の証明等(第119条~第122条)」「第119条(登記事項
証明書の交付等)」
(5)『Q&A 権利に関する登記の実務 2(第1編〔下〕)』
不動産登記実務研究会/編著 小池信行〔ほか〕/監修 日本加除出版 2007
p.457~「第9章 登記記録等の公開」
2 旧法の不動産登記法第21条に関する解説
(1)『新編不動産登記法 別巻』浦野雄幸/編著 三省堂 2000
p.394~「XI 登記簿の謄・抄本の交付、閲覧等」
不動産登記法(旧法)の第21条1項で登記簿謄本の交付請求等を定めていることに
ついて、総説及び関係判例について記載があります。
3 当該条文の改正履歴について
不動産登記法(平成16年6月18日法律第123号)第119条について『現行日本法規
16 10編 民事』(法務省大臣官房司法法制部/編 ぎょうせい 1949〔2011最新更新〕)
(p.42~)で改正履歴を確認し、オンラインデータベース「官報情報検索サービス」で
内容を確認しました。
(1)「特別会計に関する法律」(平成19年3月31日法律第23号)の制定時に
附則第203条で
「登記特別会計における歳入及び歳出は、次のとおりとする。」の
「ロ 商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第十三条第二項ただし書
及び不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第百十九条第四項ただし
書の規定(他の法令において準用する場合を含む。)・・・略…の規定による手数料」
と定められた。
4 国立国会図書館の「日本法令索引」のデータベースで3で判明した関係法律の
審議経過を確認しました。
・「日本法令索引」http://hourei.ndl.go.jp/SearchSys/index.jsp
各ページの画面左側の【会議録一覧】 より、会議録索引情報の会議録の号数で各号の
リンクをクリックすると画面右側に会議録の本文が表示され、閲覧できます。
なお、各会議の記録は「国会会議録検索システム」(http://kokkai.ndl.go.jp/)でも
確認することができます。「簡単検索」もしくは「詳細検索」を選択し、会議の開催日、
会議名等で検索すればヒットします。
(1)特別会計に関する法律案 (平成19年3月31日法律第23号)
http://hourei.ndl.go.jp/SearchSys/viewShingi.do?i=116601002
各号数を「登記」という単語で検索をかけたところ、10号(平成19年3月16日)の
参議院/本会議の会議録中に「国務大臣(長勢甚遠君)」の発言で登記手数料に
言及している箇所がありました。
「登記事項証明書等の交付等に係る登記手数料の額は、物価の状況、登記事項
証明書の交付等に要する実費その他一切の事情を考慮して定めることとされており、
また、各種手数料についてはおおむね三年ごとに見直すこととされております。」
5 その他参考資料
(1)『新不動産登記講座 第1巻 総論』鎌田薫/〔ほか〕編 日本評論社 1998
p.1~ 「第1講 不動産登記-その制度と運用」についてご参考ください。
「2 不動産登記制度の発足」の登記制度が発足した当初から公示制度があったことに
ついて記載があります。
6 判例
オンラインデータベース「LexisNexis JP」(日本法総合データベース)で当該条文に
関係する判例を検索しました。
また、裁判所ホームページ「判例検索システム」
(http://www.courts.go.jp/search/jhsp0010?hanreiSrchKbn=01)でも判例は検索する
ことが可能です。
(1)「手数料納付義務不存在確認請求事件(甲事件)、登記事項証明書交付
拒否処分取消等請求事件(乙事件、丙事件、丁事件)」
(事件番号:平成17年(行ウ)第137号)
(2)「不動産登記簿謄本交付請求却下処分取消請求上告事件」
(事件番号:平成8年(行ツ)第100号)
(3)「不動産登記簿謄本交付請求却下処分取消請求事件」
(事件番号:平成5年(行ウ)第2号)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 民法.民事法 (324 8版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000114719