レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014年10月13日
- 登録日時
- 2014/11/14 12:55
- 更新日時
- 2014/12/03 17:02
- 管理番号
- 相市-H26-009
- 質問
-
未解決
「菊花」(白居易)という漢詩の出典を知りたい。
- 回答
-
回答は見つけられず。
- 回答プロセス
-
はじめに漢詩の事典の棚をブラウジングし、以下の資料にあたった。
『漢詩名句辞典』 鎌田正・米山寅太郎/著 大修館書店 1999 【R921 S23985807】
『漢詩漢文名言辞典』 鈴木修次/編著 東京書籍 1997 【R921 S04863643】
『漢詩の事典』 植木久行/著 松浦友久/編 大修館書店 1999 【921 S16381816】
上記資料のほか唐詩の事典類に記載なし。
次に、自館のOPACにて“白居易”および“白楽天”で検索し以下の資料にあたったが、記載されていなかった。
『中国名詩鑑賞 5 白楽天』 田中克己/著 小沢書店 1996 【921.43 S13289574】
『諷諭の詩人 白楽天』 山口直樹/著 学習研究社 1996 【921 S13012224】
『白楽天詩集』 白楽天/著 平凡社 1998 【921 S15881246】
『白楽天詩集』上 川合康三/訳注 岩波書店 2011 【B921.43 S28658474】
『白楽天詩集』下 川合康三/訳注 岩波書店 2011 【B321.43 S23638620】
『白楽天詩集』 武部利男/著 六興出版 1981 【921 S23745466】
『白居易詩鈔』 森亮/訳 平凡社 1978 【080ハ S00005306】
インターネット検索エンジンGoogleにて“菊花 白居易”をキーワードに検索したところ、以下のサイトがヒットした。
「菊花 詳細情報 詩吟ONLINE」http://詩吟.net/item33.html(最終確認2014/11/23)
「10月の吟題『菊花』白居易;吟詠 Poetry chanting」http://takaban.seesaa.net/article/375752288.html(最終確認2014/11/23)
また、白居易の著書が『白氏文集』とあったため、再度自館のOPACにて“ハクシモンジュウ”で検索した。
『白氏文集』について記載されている以下の巻(既刊分のみ)を確認したが、記載なし。
『新釈漢文大系』98~105.108.117~118巻 明治書院 【928】
上述の調査結果より、白居易が中唐代の詩人であること、「菊花」は秋の詩らしいことなどが判明したため、92分類の資料をブラウジングしてあたった。
『漢詩を詠む 秋の詩100選』 石川忠久/著 日本放送出版協会 1996 【921 S13602347】
→p.191に菊花の詩は記載されていたが、出典は不明。
『白楽天全詩集』1~4巻 白楽天/著 日本図書センター 1989 【921】
→記載なし。
『漢詩のこころ』石川忠久/著 時事通信社 1985 【921 S06043533】
→p.87~「菊花」の詩について説明があるが、どうしてこの詩が白居易作と考えられるかなど、ヒントにつながる情報はなし。
p.89には「なお、この詩は『白氏文集』には見えない、いわゆる「集外の詩」である。」との記述あり。
※【】内は自館の請求記号と資料コードです。
- 事前調査事項
- NDC
-
- 詩歌.韻文.詩文 (921)
- 参考資料
- キーワード
-
- 白居易
- 白楽天
- 菊花
- 照会先
- 寄与者
- 備考
-
後日、以下のとおり情報を提供していただいた。
①『漢詩の名作集 下』 簡野道明/原著 田口暢穗/編著 明治書院 2011 【921 S23627599】
→p.336-337に「菊花」の原文・書き下し文・訓詁・評釈の記載あり。(確認2014/12/3)
②白居易「菊花」に酷似している、歐陽修の詩がある
欧陽修「霜」(歐陽修集 卷五十七·居士外集卷七)
一夜新霜著瓦輕,芭蕉心折敗荷傾。奈寒惟有東籬菊,金蕊繁開曉更清。
http://ctext.org/wiki.pl?if=gb&chapter=592766(最終確認2014/12/3)
http://sou-yun.com/Query.aspx?type=poem1&id=170753(最終確認2014/12/3)
http://cls.hs.yzu.edu.tw/TSPL/TS_SrchResult.aspx?mode=P&id=0009000000826(最終確認2014/12/3)
※参考:白居易「菊花」
一夜新霜著瓦輕 芭蕉新折敗荷傾 耐寒唯有東籬菊 金粟花開暁更清
上記をもとに、両詩の関係について調査した。
『宋詞の世界―中国近世の抒情歌曲』 村上哲見/著 大修館書店 2002【921.5 S22129258】
→p.77以降「散文家の抒情詩、欧陽修の詞」の項あり。直接的に「霜」についての記載はないが、以下の記述が参考になるのではないか。
「北宋末の女流詞人、李清照に、「庭院深深深幾許」の句を第一句とする「臨江仙」の詞が二首あり、その前書きに、欧陽公「蝶恋花」を作り、「深深深幾許」の句有り。予(よ)酷(はなは)だ之を愛す。云々としるしていることである。」
とある。(欧陽修「蝶恋花」の第一句が「庭院深深深幾許」から始まる)
このように、欧陽修も白居易の詩を参考にしたと考えることも可能である。
『宋詩選注1』 宋代詩文研究会/訳注 平凡社 2004 【080ソ S22395966】
→p.182「欧陽脩」の項はあるが、特に記述なし。
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000162177