レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020/03/12
- 登録日時
- 2020/04/01 00:30
- 更新日時
- 2020/04/01 00:30
- 管理番号
- 6001043261
- 質問
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解決
明治30年に設立された大阪馬車鉄道株式会社の馬車鉄道の様子が分かる資料はあるか。特に写真か絵があるとよい。
- 回答
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大阪馬車鉄道株式会社の馬車鉄道の写真は見つけることができませんでしたが、絵については、以下の資料に掲載されていました。
○『鉄道ピクトリアル 35(12月臨増)<457>』(鉄道図書刊行会 1985年12月)
塩見猛/[執筆]「大阪馬車鉄道覚え書き」という記事が掲載されています(p.111-115)。
p.114「車両のプロフィール」に「大阪馬車鉄道にはどんな車両が走っていたのだろうか。それらしい絵を今日まで3種類見つけた。」として、3種類の絵(図-2~図-4)が掲載されています。
・図-2「鉄道馬車風景(山田小三郎画伯)『阿倍野区史』より」
・図-3「『住吉界隈いまむかし』に描かれている外輪車スタイル 『同書』より」
・図-4「鉄道馬車錦絵 大阪市交通局『市電廃止記念誌』より」
それぞれの出典は以下の資料です。
『阿倍野区史』(川端直正/編 阿倍野区市域編入三十周年記念事業委員会 1956.11)p.56
『住吉界隈いま・むかし』(白井伊之助/編 「住吉界隈いま・むかし」刊行委員会 1980.9)p.145
『市電:市民とともに65年』(奥付の書名『大阪市電廃止記念誌「市電」』)(大阪市交通局総務部総務課/編集 大阪市交通局 1969.3)p.2
ただし『市電:市民とともに65年』p.1には東京の馬車鉄道と大阪の馬車鉄道のことが一緒に解説されており、同書掲載の絵が大阪の鉄道馬車を描いているのか、あるいは東京の鉄道馬車を描いているのかははっきりしません。
なお、冒頭の塩見猛氏「大阪馬車鉄道覚え書き」のp.114-115には次の記述があります。
[『市電:市民とともに65年』には]「『大阪では主要な交通機関とはならなかった』と注記されているが、この錦絵の背景は、当時の沿線のイメージとは合わないし、登場人物もパラソルをさしたロングスカートの婦人であり、しかも決定的なちがいは、馬が2頭立てである。開業中の車両数と馬匹数からみても、2頭立てで運行していたことは考えられない」
「このような疑問を抱きながら古文書を調べているいうちに、その当時の車両定規と、車両発注の仕様書を発見した。」
この仕様書には、「残念ながら設計図はついていない」とありますが、明治45年から大正7年にかけて使用された「札幌馬車鉄道」については設計図が残されており、それをもとに復元した「北海道開拓の村」の馬車鉄道の写真が掲載されています(p.115)。
また、「大阪馬車鉄道の仕様書と比較しながら、若干の寸法差はあるが、ほとんど同じものであることを知った。おそらく上町台地を写真のような馬車が、のどかに走っていただろうと想像して往時をしのんでいる。」ともあります。
なお、『私たちの阿倍野:もうちょっと知っとく?』(難波りんご/著 新風書房 2000.8)のp.22-23、『フォーラム堺学 第3集』(堺都市政策研究所 1997.3)p.329にも、同じ札幌馬車鉄道が紹介されています。
大阪馬車鉄道については以下の資料に記載がありました。
○『阪堺百年』(阪堺電気軌道株式会社/編集 阪堺電気軌道 2001.5)
p.13-19「始まりは「馬車鉄道」だった」という章があり、大阪馬車鉄道の略歴が記載されています。また、「馬車鉄道はこんな姿だった」として馬車鉄道の「仕様書」や開業当時の車両数や従業員について記載がありました(p.14-16)。
以下の資料にも大阪馬車鉄道株式会社に関する記述がありましたが、いずれも『阪堺百年』に記載の内容ほど詳しくはありません。写真・絵の掲載はありません。
○『大阪の電車青春物語』(橋本雅夫/著 草思社 1997.12)
p.144-150「阪堺の路面電車が健闘」内の「初代の阪堺と馬車鉄道」の項(p.146-147)。
○『あべの発見!』([大阪市]阿倍野区役所 2005)
p.28「交通網の発達がもたらした阿部野の都市化 馬車鉄道からチンチン電車へ」
○『南海電鉄・泉北高速鉄道:街と駅の1世紀(懐かしい沿線写真で訪ねる)』(藤原浩/著 アルファベータブックス 2016.2)
p.84-85「阪堺電気軌道」
○『大阪春秋 21(4)<69>』(大阪春秋社 1992.11)
p.51-54鈴木啓三/[執筆]「昔の乗り物の想い出-想い起こすままに-」の「馬車鉄道」の項(p.52)
○『大阪春秋 39(1)<142>』(新風書房 2011.4)
p.62-64宇田正/[執筆]「住吉大社参詣鉄道の軌跡をたどる:南海電鉄の前史的素描」
○『大阪春秋 39(3)<144>』(新風書房 2011.10)
p.15-77「特集 阪堺電車:阪堺線開通100年」と称して阪堺電気軌道の特集がありました。
その中で宇田正/[執筆]「阪堺間連絡軌道電車の歴史と進路」(p.18-23)の中に大阪馬車鉄道の記述があります。
○『大阪春秋 47(3)<176>』(新風書房 2019.11)
p.96-99前阪恵造/[執筆]「大阪の万博と鉄道」の「内国勧業博覧会と鉄道」の項(p.96)
○『阪堺電車物語:我輩はモ161である』(長岡靖久/著 論創社 2011.11)
p.10-13「明治三十三(一九〇〇)年に馬車鉄道として開業」の項
〔事例作成日:2020年3月12日〕
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 鉄道運輸 (686 10版)
- 参考資料
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- 鉄道ピクトリアル 鉄道図書刊行会 鉄道図書刊行会 35(9-12,12月臨増)<453-457>
- 阿倍野区史 川端/直正∥編 阿倍野区市域編入三十周年記念事業委員会 1956
- 住吉界隈いま・むかし 白井/伊之助∥編 「住吉界隈いま・むかし」刊行委員会 1980
- 市電 大阪市交通局総務部総務課∥編集 大阪市交通局 1969
- 私たちの阿倍野 難波/りんご∥著 新風書房 2000.8
- フォーラム堺学 第3集 堺都市政策研究所 1997.3
- 大阪の電車青春物語 橋本/雅夫∥著 草思社 1997.12
- 阪堺百年 阪堺電気軌道株式会社∥編集 阪堺電気軌道 2001.5
- あべの発見! [大阪市]阿倍野区役所 2005
- 南海電鉄・泉北高速鉄道 藤原/浩‖著 アルファベータブックス 2016.2
- 大阪春秋 新風書房 新風書房 21(1-4)<66-69>
- 大阪春秋 新風書房 新風書房 39(1-4)<142-145>
- 大阪春秋 新風書房 新風書房 47(3)<176>(2019.秋) 付録:1枚
- 阪堺電車物語 長岡/靖久∥著 論創社 2011.11
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 大阪,人物・団体,図・絵
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000279946