レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2010/09/26
- 登録日時
- 2011/01/08 02:01
- 更新日時
- 2011/01/20 16:10
- 管理番号
- 埼熊-2010-072
- 質問
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解決
明治6年(おそらく6月)に皇族の男子に対し軍役を義務づけた通達が出ているらしいが、通達の出た正確な日付を知りたい。通達が出たことは読売新聞2010年9月20日「解題新書」で見た。
- 回答
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質問の通達は「皇族海陸軍従事の令」で明治6年12月10日に出たもの。ただし、「被仰出書」(おほせいだされしょ)については前日の12月9日に出されている。典拠になる資料として次のものを紹介する。
〈皇族海陸軍従事の令について〉
『日本近代思想大系 2 天皇と華族』(加藤周一編集 岩波書店 1988)
p19に「10 皇族海陸軍従事の令達 6年12月10日
皇族自今海陸軍ニ従事スベク被仰出(おおせいだされ)候条、為心得此旨相達候事。但年長之向ハ此限ニ在ザル事。『法規分類大全』兵制門一」
同欄外の注に、この達は12月10日付であるが、「被仰出書」がでたのは、その前日の9日である、という記述がある。(引用文献:明治天皇紀三、熾仁親王日記三) 熾仁親王日記は2の誤りのようである。
「被仰出書」については、下記の2つの資料に記載がある。
「皇族海陸軍従事の令」「被仰出書」と明確には書かれていない。内容はほとんど同じだが日付が異なっている。
『法規分類大全 45 兵制門 1』(内閣記録局編 原書房 1977)
『法令全書 6-1 明治6年』(内閣官報局編 原書房 1974)
(参考)
『明治天皇紀 3』(宮内庁〔編〕 吉川弘文館 1969)
p172 明治6年12月9日の記事(日記ではない)に「爾後皇族をして陸海軍に従事せしめたまふ」とあり。
『続日本史籍協会叢書 [1]20 熾仁親王日記2』(日本史籍協会編 東京大学出版会 1976)
p95 明治6年12月9日の日記に右大臣岩倉具視からの書き付けが掲載されている。
「皇族自今海陸郡ニ従事スヘク被 仰出候條、此旨可相達候事、但年長ノ向ハ此限ニ在サル事、
明治六年十二月九日 右大臣岩倉具視
右、本日各家令宮内省エ呼出シニ而書付被渡候事、」とあり。
※「被仰出」は法令(布告・達書)の一つだが、行政権の最高機関である行政官のみが用いる。「被仰出書」が12月9日に出されたのを受けて、その通り実施するように通達したものか。
(『日本古文書学講座 9 近代編』(赤松俊秀編集 雄山閣出版 1979)p27などより)
- 回答プロセス
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情報源の読売新聞の記事「解題新書」を確認し、『皇族と帝国陸海軍』(浅見雅男著 文藝春秋 2010)という本の紹介記事であることがわかるが、該当の図書は調査時点では未所蔵。
インターネット《Google》を〈皇族 & 海陸軍 & 1873年〉で検索した結果、個人ブログから質問の通達が「皇族海陸軍従事の令」であること、また「皇族海陸軍従事の令」で再度検索した結果から『日本近代思想大系 2』(加藤周一編集 岩波書店 1988)に記述があることがわかる。
- 事前調査事項
- NDC
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- 法律 (320 9版)
- 国防史.事情.軍事史.事情 (392 9版)
- 日本史 (210 9版)
- 参考資料
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- 『日本近代思想大系 2 天皇と華族』(加藤周一編集 岩波書店 1988)
- 『法規分類大全 45 兵制門 1』( 内閣記録局編 原書房 1977)
- 『法令全書 6-1 明治6年』(内閣官報局編 原書房 1974)
- 『明治天皇紀 3』(宮内庁〔編〕 吉川弘文館 1969)
- 『続日本史籍協会叢書 [1]20 熾仁親王日記2』(日本史籍協会編 東京大学出版会 1976)
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『日本古文書学講座 9 近代編』(赤松俊秀編集 雄山閣出版 1979)
- キーワード
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- 海軍-日本-歴史-明治以後
- 皇族
- 兵役
- 軍法
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000076317