レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012年02月17日
- 登録日時
- 2012/02/17 12:01
- 更新日時
- 2012/08/30 13:23
- 管理番号
- 97-B-24
- 質問
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解決
やまじ風について調べたい。
- 回答
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・【資料1】を基本資料として調べると、やまじ風とは愛媛県の東部、瀬戸内海沿岸に吹くフェーン現象をともなう南よりの強風をいい、2月~10月にわたって吹くことが多い。”やまじ”の名称は、”やまぜ”または”やませ”とならんで一定方向から吹く風をさし、瀬戸内海を中心に背後の山から海の方向に吹き降りる、もっぱら南寄りの風を”やまじ”あるいは”やまぜ”という。しかしそれとは別に、矢のように速いまじというので”やまじ”という説、病のように嫌がられる風というので”やまじ”という説もある。
・【資料2】p4を見ると、宇摩地方の赤星山・豊受山の北方地域を中心に吹くことがわかった。この地方の地形に秘密がある。宇摩地方は北は瀬戸内海(燧灘)、中央部には東西に連なる法皇山脈、東部に剣山、西部に石鎚山の2つのやまに挟まれたあんぶの地形をつくっているため、南のほうからきた風はきたの谷に沿って集められることになる。この集められた地表流は法皇山脈を通過した後、北側山麓の平均傾斜3/10で先端部は5/10の急な勾配の地形に沿って吹き降りる。こうして、わずか15㎞の狭い範囲の宇摩平野に吹き降りる強風の波うち現象がやまじ風である。
・【資料1】【資料2】を照らし合わせて調べると、様々前兆及び附随現象が起きることがわかった。まず前兆現象と して”けた雲”または”やまじ雲”と呼ばれる雲が、赤星山(1453m)から豊受山(1247m)の山稜にかかる。この”けた雲”が北西に流れると土居町小富士方面に、真北に流れると寒川・豊岡方面に、北東に流れると三島方面に強く吹くといわれている。やまじが吹く前には、”誘い風”といて北よりの7m/秒の風が吹き、その後本格的なやまじが吹く。これは、上空に南よりの強風が先行し、法皇山脈にぶつかり波動をおこし、その陰に補償流として下層に風が吹くと考えられる。やまじが吹く数時間前には”山鳴り”が起こるが、山鳴りが起こっても必ずしもやまじが吹くとは限らない。やまじが本格的に吹き出すと、山麓地帯では風向が一定せず、風は舞うように吹き突風の頻度が高い。この風を”まいまい風”とか”迷い風”などと呼んでいる。やまじは最盛期には南東から南風として吹き、次第に南から南西に変化し、さらには北西風に変わって強風が止むといわれている。この最終期の風”かわし風”または”返し風”と呼んでいる。
・やまじ風の季節変化をみてみると春と秋にそれぞれピークがあり、低気圧の位置が四国の西部から北東部にある場合に吹く頻度が高い。(【資料1】p87)
・やまじ風の日変化については、夜間に強風のケースが多く、日中には弱くなる。これは、夜間には大気が安定し気圧傾度による風が吹きやすいこと。また、夜間は山風、つまり山地斜面から海上に吹く風がやまじ風と同じ風向になり、やまじ風を強めるためと考えられている。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 気象学 (451 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】 『愛媛の気候』 深石一夫/著 愛媛県文化振興財団 1992年 <請求記号:K451 /21>
- 【資料2】 『やまじ風』 やまじ風対策協議会編・発行 1995年 <請求記号:K451 /23>
- キーワード
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- フェーン現象 ふぇーんげんしょう
- やまじ風 やまじかぜ
- 愛媛県-気象 えひめけん きしょう
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 事例出典『郷土資料に関する調査・相談事例集』 愛媛県図書館協会・愛媛県立図書館/編集 愛媛県立図書館 1997年
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000101865