レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2010年12月01日
- 登録日時
- 2011/01/28 11:26
- 更新日時
- 2011/03/25 16:10
- 管理番号
- 名古屋市鶴-2010-043
- 質問
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解決
大凧に乗って名古屋城の金鯱の鱗を盗んだという柿木金助の図像が見たい。
- 回答
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『柿木金助実伝』(近代デジタルライブラリー)に「金助清洲城天守閣に登りて黄金の鯱の鱗を奪ふ図」(22/27)があるほか、いくつかの資料に柿木金助の図像がありましたが、名古屋城の金鯱の鱗を盗む様子を描いたものは比較的新しいものしか見つかりませんでした。
・「絵本役割番付「けいせい黄金鱐」-天明二年十二月の芝居-」の影印・翻刻(『国立劇場上演資料集 530 旭輝黄金鯱』所収)
・早稲田大学演劇博物館浮世絵閲覧システムにより錦絵1点
・日本芸術文化振興会国立劇場の「公演情報 詳細」により初春歌舞伎公演「通し狂言 旭輝黄金鯱」(2010年1月3日~27日)のチラシ
・『金鯱』 → 「金シャチのうろこを盗む元祖・柿木金助を描いた講談本の挿絵。昭和の金助事件のさいに新聞に掲載されたもの」(上記の『柿木金助実伝』の図と同じ?)
・『よみがえる金鯱伝説』 → 「異聞黄金鱗盗金助」(とりいかずよしと漫画工場すばる/戯作画)
・『江戸凧絵史』 → 「金助、金のウロコを盗む」(朝日小学生新聞載、斎藤史子画)
- 回答プロセス
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(1)自館作成の郷土人名索引カードにより「柿木金助」に関する資料を調べてみると、柿木金助が登場する歌舞伎や戯作について詳しいものに『国立劇場上演資料集 530 旭輝黄金鯱』がありました。
(2)同書を参考に柿木金助が登場する資料を調べたところ、当館所蔵資料又はインターネットでいくつか確認できました。なお、同書所収の土谷桃子著の「柿木金助伝説の変遷 条野伝平の遺作脚本『金鯱噂高浪』」(出典『江戸と明治を生きた戯作者 山々亭有人・条野採菊散人』)によると、柿木金助が初めて芝居に登場した『傾城黄金鯱(又は鱐)』には“金助が凧に乗って自分で金鯱を城から盗むという描写が全くない”そうです。そして、“江戸時代に描かれた柿木金助は、悪党として描かれた『玄同水滸伝』を除けば、名古屋城から金鯱を盗み出すことはない”とのことで、柿木金助が城から金鯱を盗む場面が描かれるようになったのは明治時代になってからだそうです。
(3)また、「金鯱」や「凧」に関する資料を調べてみると、『金鯱』・『よみがえる金鯱伝説』・『江戸凧絵史』に柿木金助の図像がありました。なお、柿木金助を主人公にした短編小説としては角田喜久雄著の「金城盗戦記-大盗伝 凧の金助の巻」や神坂次郎著の「空駆ける盗賊」がありましたが、確認できた資料には挿絵はありませんでした。
- 事前調査事項
- NDC
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- 個人伝記 (289 9版)
- 演劇 (770 9版)
- 参考資料
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- 『国立劇場上演資料集 530 旭輝黄金鯱』 国立劇場調査記録課/編集 日本芸術文化振興会 2010年
- 『江戸と明治を生きた戯作者 山々亭有人・条野採菊散人』 土谷桃子/著 近代文芸社 2009年 p.203-227
- http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/880613 (近代デジタルライブラリー 『柿木金助実伝』) [last access 2011/2/16]
- http://enpaku.waseda.ac.jp/db/enpakunishik/ (早稲田大学演劇博物館浮世絵閲覧システム) [last access 2011/2/16]
- http://www.ntj.jac.go.jp/kokuritsu/index.html (日本芸術文化振興会国立劇場) [last access 2011/2/16]
- 『金鯱 やっぱりシャチだわ(Inax booklet)』 Inax 1992年 p.39
- 『よみがえる金鯱伝説 新世紀・名古屋城博』 新世紀・名古屋城博開催委員会 2005年 p.43-49
- 『江戸凧絵史』 斎藤忠夫/編著 グラフィック社 1980年 p.158-159
- 「金城盗戦記-大盗伝 凧の金助の巻」 角田喜久雄 『時代小説を読む 城の巻』 縄田一男/編 大陸書房 1991年 p.331-355
- 「空を駆ける盗賊」 神坂次郎 『時代小説の楽しみ 6 大江戸使命手配』 新潮社 1990年 p.401-417
- キーワード
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- 柿木金助
- 金鯱
- 凧
- 名古屋城
- 盗賊
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000077289