レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2010年08月19日
- 登録日時
- 2010/09/28 13:37
- 更新日時
- 2011/03/18 16:54
- 管理番号
- 相大-H22-0040
- 質問
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解決
“べっとうふう”という言葉について知りたい。
風の呼び方の一つで「定まらない風」を意味するときいたが、具体的には何か。
- 回答
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『日本方言大辞典』 尚学図書言語研究会/編 小学館 1998【S07454424 R818】
『分類神奈川県方言辞典(Ⅰ)-自然・動物・植物-』 神奈川県立歴史博物館/編 神奈川県立歴史博物館 2003【S21994769 K0-81】
『風の名前』 高橋順子/著 小学館 2002【S21087440 451.4】
『季語深耕[風]』 小熊一人(かずんど)/著 角川書店 1986【S06008023 911.3】
『風の事典』市立図書館所蔵 原武史/著 原書房 1985【S03834835 R380】
以上5点を提供した。
※【 】は自館の資料コードと請求記号
- 回答プロセス
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文章中の「べっとう」の表記は、参考とした資料のそれぞれに従っているため、ひらがな・カタカナが混在している。
①「鼈頭風」は利用者自身の当て字だった。
念のため、8分類の漢和や国語の事典・辞典を確認するが、見当たらず。
“べっとうふう”のヨミからも探したが、見当たらず。
②「方言ではないか」ということで、分類818を確認する。
→『日本方言大辞典』 尚学図書言語研究会/編 小学館 1998【S07454424 R818】
P2145に“べっとー”とあり。神奈川県葉山地域において「北西風」を意味することが判明。
*浦賀は、葉山町に隣接する横須賀市内の地域であるため、地理的に近い。
*全国の他地域でも、方言による風の呼び方の一つとされている。
例:三重県志摩郡地域→“べっとーかぜ”と呼ぶ。「北北西の風」のこと。
なお、『日本方言大辞典』以外の方言辞典には、この言葉は見当たらず。
③②より神奈川県の方言であることがわかったため、資料の対象を「郷土資料」に絞り、
「方言」をキーワードに自館OPACで検索。
→『分類神奈川県方言辞典(Ⅰ)-自然・動物・植物-』 神奈川県立歴史博物館/編
神奈川県立歴史博物館 2003【S21994769 K0-81】P12に“ベットー”とあり。
北西風のこと。三浦・横須賀地域の方言。
P11“ニシベットー”もあり。台風が来る前の、雨を伴った強い北西風のこと。鎌倉市腰越地域の方言。
④気象関係の棚を探す。
→『風の名前』 高橋順子/著 小学館 2002【S21087440 451.4】
P123に“べっとう”とあり。冬の風。「東日本の太平洋岸で吹く北よりの強風」のこと。
他に「べっとう時化」「べっとう風(かぜ)」「べっとうごち」「さがべっとう」とあり。
⑤④の参考資料に挙げられてた『季語深耕[風]』 小熊一人(かずんど)/著 角川書店 1986【S06008023 911.3】
P171に“べっとう”とあり。「東京湾から東海道の漁村にかけて用いられた風の名」とあり。
⑥④の参考資料に挙げられてた『風の事典』原武史/著 原書房 1985【S03834835 R380】
P97~98に“べっとう”とあり。秋冬の風。「台風時の強い南寄りの風の吹き返しの北寄りの暴風雨」のこと。
房総半島先端から伊豆・愛知・三重の海岸地方だけで使われている。が、「何を意味するのかは不明」とあり。
P782~784には、“ベットウ”の風向き・使用している地域がまとめられている。
横須賀市浦賀は「北西風」とあり。
※【 】は自館の資料コードと請求記号
- 事前調査事項
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神奈川県浦賀地域の方言ときいたことがある。
「鼈頭風」と書くのではないか。
- NDC
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- 方言.訛語 (818 9版)
- 気象学 (451 9版)
- 風俗習慣.民俗学.民族学 (380 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 方言
- 神奈川
- 風
- べっとう
- べっとー
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000071817