レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020/12/15
- 登録日時
- 2021/01/05 00:30
- 更新日時
- 2021/06/18 14:12
- 管理番号
- 8695302
- 質問
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解決
高橋健二が翻訳したハインリヒ・レルシュの作品が掲載されている本や雑誌が知りたい。
- 回答
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Lersch, Heinrich, 1889-1936(ハインリヒ・レルシュ)の詩で、高橋健二によって日本語訳されたものがないか探したところ、次の資料1、2】に掲載されていました。
1】『独逸近代詩集』ぐろりあ・そさえて, 昭和16 【941-Ka84-2ウ】国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館/図書館送信限定)
「兵士の別れ」「兄弟」「労働」「鉄の中の人間」がそれぞれ高橋健二訳として掲載(pp.263-269)されています。
2】高橋健二 著『現代ドイツ文学論』河出書房, 昭和15 【777-15-(7)】国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館/図書館送信限定)
「III 労働詩人」の項目三でレルシュが紹介されており(pp.69-79)、説明文中に詩の断片が訳出されています。図書全体の著者が高橋健二なので、この部分の訳者も同人であると考えられます。「兄弟」(p.75)「回想」(p.76)「鉄中の人間」(pp.76-77)等タイトルがあげられているものもありますが、全てあげられているわけではないようです。
インターネット上のドイツ語テキストなどを参照すると、例えばp.70はSelbstbildnis、pp.72-73はDer Arbeiterの一節である可能性があり、原文はそれぞれ以下で閲覧できます。
Selbstbildnis https://gallica.bnf.fr/ark:/12148/bpt6k9437125z/f146.item?lang=EN
Der Arbeiter http://dbooks.bodleian.ox.ac.uk/books/PDFs/302874972.pdf ※pp.8-9(9/129~10/129)
文献の解読や翻訳は当館のレファレンス・サービスの範囲を超えるものですので応じられません。
高橋健二は、上記2】同様と思われる次の概説書3】を同時期に出版しており、2】同様にレルシュの詩が訳出されているかもしれませんが、当館では所蔵がないため確認できません。
3】高橋健二著『現代ドイツ文學と背景』河出書房,1940.9.7,357p https://ci.nii.ac.jp/ncid/BN06329988
CiNii Booksによると複数の機関で所蔵されているようですので、詳細は所蔵館に直接お問い合わせください。
※書誌事項のうち末尾【 】内は国立国会図書館請求記号です。また、続く「図書館送信」などは国立国会図書館デジタルコレクションにおける公開範囲です。
※ウェブサイトの最終アクセス日は2020年12月15日です。
※ウェブサイトのうち、URLの記載がないものは次のサイトに一括掲載してあります。
・リサーチ・ナビ(国立国会図書館)>人文科学・総記>人文リンク集
https://rnavi.ndl.go.jp/humanities/jinbunlinks.php
- 回答プロセス
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〇高橋健二がレルシュの詩を訳したと記述する文献
・池田浩士 著『ファシズムと文学 : ヒトラーを支えた作家たち (白水叢書 ; 25)』白水社, 1978.4 【KS334-48】 ※「高橋健二は、かつて大政翼賛会文化部の要職にあって〔略〕労働者詩人ハインリヒ・レルシュとマックス・バルテルの訳者であった。」(p.310)とありますが、出典は示されていません。
・高田里惠子 著.『文学部をめぐる病い : 教養主義・ナチス・旧制高校 (ちくま文庫)』筑摩書房, 2006.5 【KS333-H6】 ※p.82に上記、池田浩士著の当該部がそのまま引かれており、出典は示されていません。
〇手がかりとなる高橋健二による記述
・高橋健二「独逸の労働詩人の詩(翻訳して見たい作品)」(『新潮』34(1) 1937.1 p.322 【YA5-1001】) ※「レルシユの「鉄中の人間」とか「兄弟」とかいふ詩は、自分自身が歌ふやうな気持ちで、訳せさうな気がする。」とあり、1937年以降にレルシュの詩が訳出された可能性を示唆します。しかし、以下の書誌類からは見つけられませんでした。そこで、NDL オンラインで、キーワード=レルシュ、分類をNDC=941*(ドイツ文学>詩の前方一致)で検索しました(当館分類のNDLCが導入される以前の図書も一括して主題検索するため)。その結果、ヒットした資料の本文を確認して資料1】を、さらに1937年以降の高橋健二著の目次及び本文を確認することで資料2】を見つけました。
〇著作目録
・高橋健二 他[著]『ヘッセへの道 : 高橋健二古稀記念論文集』新潮社,1973 【KS358-9】※「高橋健二年譜」あり。
・「高橋健二教授年譜,著訳書等」(『中央大学文学部紀要』(66) 1973.3 pp.33-35【Z22-418】)
〇ドイツ文学書誌
・ヘルマン・シエーファー, 高橋健二 共編『大独逸に関する優良日本図書短評付撰集. 第1』日独文化協会,昭和18 【R025.1-Sc1ウ】国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館内/図書館送信)
・森本浩介 編集『ドイツ文学研究文献要覧 1945~1977(戦後編) (20世紀文献要覧大系 ; 4. 外国文学研究文献要覧 ; 3)』日外アソシエーツ,1979.5 【KS331-1】
・日本独文学会文献情報データベース( https://www.jgg.jp/mod/page/view.php?id=110 )
〇レルシュ文献
・『エルンテ』8(4) 1937.1【雑8-128】国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館/図書館送信限定) ※レルシュ特集あり。ただし、高橋健二訳は見当たらず。
〇翻訳書誌
・国立国会図書館 編『明治・大正・昭和翻訳文学目録』風間書房, 1984.2 【KE111-22】
・川戸道昭, 榊原貴教 編著『世界文学総合目録 第7巻 (ドイツ編)』大空社, 2012.7 【KE111-J33】
・川戸道昭, 榊原貴教 編著『図説翻訳文学総合事典 第4巻』大空社, 2009.11 【KG421-J4】
・翻訳作品集成 ameqlist
〇記事索引類
・小田切進 編『現代日本文芸総覧 下巻』明治文献, 1972 【910.31-G29】
・池内輝雄, 宗像和重 編『文藝時評大系 昭和篇 1 別巻(索引)』ゆまに書房, 2008.3 【KG311-J5】
・福島鋳郎, 大久保久雄 共編『戦時下の言論 (復刻シリーズ大東亜戦争下の記録 ; 2)』日外アソシエーツ, 1995.5 【GB1-E64】
・皓星社 雑誌記事索引集成データベース(ざっさくプラス)※当館契約データベース
・magazineplus ※当館契約データベース
・読売新聞 ヨミダス ※当館契約データベース
・朝日新聞記事データベース聞蔵Ⅱ ※当館契約データベース
・Googleブックス
・国立国会図書館デジタルコレクション
〇総合目録
・CiNii
・国立国会図書館サーチ
- 事前調査事項
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高橋健二とハインリヒ・レルシュの作品について、それぞれ国立国会図書館サーチとGoogleを利用して調査しましたが、ヒットしませんでした。
- NDC
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- 詩 (941 10版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 書誌的事項調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000291842