レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/2/27
- 登録日時
- 2022/09/02 00:30
- 更新日時
- 2022/09/02 00:30
- 提供館
- 金沢市図書館 (2310230)
- 管理番号
- 泉野-503045
- 質問
-
解決
【竜安寺石庭を詠んだ漢詩について】竜安寺石庭の糸桜を詠んだ七言絶句の漢詩二首の出典及び作者が知りたい。
- 回答
-
質問者から、作者は江心承董で、『仁和集』に載っているのではないかとのこと。
その後、質問者から以下の資料提供があった。
見竜安寺糸桜
春色蘭時意自知。花前開宴共相歌。繰糸欲繋好風景。情似桜樹頭緒多。
人似花郁花似人。臙脂染出淡粧新。桜梢如繰千糸乱。惹著客衣三月春。
出典は『五鳳集』と書かれている。
また、インターネット検索により見つけた以下の2論文によると、「見竜安寺糸桜」の漢詩の作者は仁如集堯で、出典は『翰林五鳳集』である。
「竜安寺の池庭の遺構と石庭の作庭年代について」 中根 金作/著
https://doi.org/10.5632/jila1934.21.4_1
「中根金作氏の「竜安寺石庭作庭年代」考証論文に対する疑問」 龍居 竹之介/〔他〕著
https://doi.org/10.5632/jila1934.22.5
『日本の庭』 立原 正秋/著 新潮社 1977年(129551821)p.214に「京都五山の禅僧がつくった漢詩から七言絶句ばかりあつめた書に〈翰林五鳳集〉があるが、そのなかで相国寺の仁如集堯が「見竜安寺糸桜」と題した偈をのこしている。」と書かれている。
Googleブックスの検索により、「見竜安寺糸桜」の漢詩が『五鳳集』の第7巻に収録されていることがわかった。
『五鳳集』は当館に所蔵なし。
国立国会図書館サーチで検索したところ、国立国会図書館デジタルコレクションに古典籍本と大日本仏教全書の活字本が収録されていた。
国会図書館の書誌によると、『翰林五鳳集』の編者は以心崇伝である。
『翰林五鳳集 巻7-9』
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2568316/24
上記で作者は「仁好」と書かれている。
『大日本仏教全書 144』 仏書刊行会/編 1922年 「翰林五鳳集第一」
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/952848/97
上記で作者は「仁如」と書かれている。
日本古典籍総合目録データベースで検索したところ、京都府立京都学・歴彩館の古典籍本もデジタル公開されていたので、確認したところ、作者は「仁如」と書かれていた。
https://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100188140/viewer/281
仁如集堯の略歴は以下の資料に掲載されている。
『講談社日本人名大辞典』上田 正昭/〔ほか〕監修 講談社 2001年(412063962)
『日本仏教人名辞典』 日本仏教人名辞典編纂委員会/編 法蔵館 1992年(410000210)
また、国立国会図書館デジタルコレクション収録の以下の古典籍本にも詳しい経歴が紹介されている。
「五山詩僧伝」 上村 観光/編 民友社 1912年 p.375-377
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/991471
日本古典籍総合目録データベースによると、仁如集堯の主著「鏤氷集」は東大史料編纂所に写本があり、活字本はない。
『五山僧がつなぐ列島史』 斎藤 夏来/著 名古屋大学出版会 2018年(113634262)p.189-205に「鏤氷集」の一部が翻刻されている。
質問者から、さらに龍安寺文書について記載されている資料がないかということだったので、以下の資料をご紹介した。『竜安寺石庭 謎深き庭』 細野 透/著 淡交社 2015年(113368371)、『龍安寺石庭の謎』 明石 散人/著 講談社 2013年(511485905)、『竜安寺石庭を推理する』 宮元 健次/著 集英社 2001年(112301298)、『竜安寺石庭 七つの謎を解く』 大山 平四郎/著 淡交社 1995年(111625442)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 漢詩文.日本漢文学 (919 10版)
- 参考資料
- キーワード
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- 五山 漢詩 竜安寺石庭 五鳳集 仁如集堯 鏤氷集
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000320790