レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年01月29日
- 登録日時
- 2022/03/20 20:11
- 更新日時
- 2022/06/03 13:58
- 管理番号
- 奈県図情21-040
- 質問
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解決
1、収蔵資料の自費出版図書中にある陸軍航空特攻に関する戦争体験記の中で、陸海軍特攻隊員の食生活、出陣式での乾杯(別盃の中身は酒か水か、肴は?など)、鉢巻(〇〇に寄贈された、授与されたなど)に関する記述があれば紹介してほしい。
2、奈良日日新聞の記事に関して以下の内容で調査をお願いしたい。
・昭和19.10~20.8までの中で(存在するとすれば20.3~5の可能性が高い)、女学生など奈良の人が特攻隊に鉢巻きを寄贈した記事(県外記事は除外)
・昭和20.6.1~10に、第45振武隊「藤井一中尉」の記事、昭和20.6.3~25の2面の中で陸軍特攻隊「國華隊」の記事(1面の記事は全国ほぼ共通のため不要)
・昭和20.8.10~13の中で特攻隊美談集の記事
・昭和20年7~8月の奈良県民に対しての食生活に関する記事(栄養学的・農業的指導は除外)あるとすれば郷土食・決戦食・昆虫食・野草食などと見出しがあるはず。
鉢巻については陸海軍(海上・水中・航空・空挺)問わず現物と文献、食事については陸軍航空特攻のみ、出陣式の乾杯(別盃)については事例が少ないので海軍航空特攻も含めて調査してほしい。
- 回答
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1.当館の戦争体験文庫分類で「特攻」に分類している棚から、国立国会図書館で所蔵していなさそうな本を選び、所蔵確認した後で内容を確認したものです。網羅的ではないことはご了承ください。なお食生活については、断片的なものはあっても、まとまった記載のあるものはありませんでした。
●出陣式での乾杯について
・吉武登志夫『長い日日』1999
著者は八紘飛行隊石腸隊所属、フィリピンのバゴロド飛行場で特攻出撃者を見送った際、一人の出撃者が飛行服からポケットウイスキーを取り出し、一口飲んで自分の口に押し付け、その後瓶を地面に叩きつけたという叙述あり。その直前に乾杯があったとするが中身には触れず。
・沓名坂男『特攻とは:元海軍練習航空隊白菊特別攻撃隊一等飛行兵曹沓名坂男の体験手記』1991(請求記号916-1525)
P32に串良基地から第一陣第一次出撃隊が出撃する際、ヒロポン?の注射の後、素焼きの盃に清水が注がれ乾杯の後、盃を地面に叩きつけ割ったとあり。著者は第三次攻撃隊に属し、P43には、「注射、水盃を干し[中略]盃を粉砕」とあり
●鉢巻きについて
牧久雄『体験した戦争の爪痕』1998
旧姓川上。陸軍少年飛行兵13期
P25 不時着して療養中?女子学生5人が訪れ、出撃する際に締めてくださいと血染めの日の丸鉢巻を渡されたとあり
以下は国立国会図書館未所蔵のもので記載がないものです。
豊田海友会『草薙隊の栞』1976、鹿児島県陸軍少年飛行兵会・鹿児島県海軍予科練会
『大空の白虎隊』1970、首都圏明野会
『陸軍航空特攻:語り部』2000、津田均
『四極山』1993、木田達彦
『雲』1980、後藤佳秀
『戦争の欠片』1995、小畑晋
『忘却の彼方に』1976、鈴木仁
『大悲のまこと』1995、松戸茂
『遺稿安らかに』1978、近松褒孝
『少年特攻震洋顛末記』1996、永峯肇
『春を想へば』199-、中津攸子
『昇天の詩』1994、諏訪茂
『ある特攻整備員の手記』1987(続1991)
2鉢巻寄贈の記事は見えませんでした。藤井については対象時期から外れますが、6.13付で「木馬と遊ぶ藤井屠竜隊長の寧楽日記 お別れに低空遷空」という写真付きの大きな記事があります。国華隊についての記事はなく、このころ同紙では、飛行隊名を出していないようで、藤井の記事の横には、「本県初の沖縄神鷲けふ感状伝達式百済出身松井伍長」という記事がありますが、記事に引用している感状では「○○飛行隊 陸軍伍長松井大典」という表記になっています。
●昭和20.8.10~13の中で特攻隊美談集の記事
掲載はありませんでした
●昭和20年7~8月の奈良県民に対しての食生活に関する記事
迷うものもありましたが、以下のような記事が掲載されていました
・7.11 決戦栄養に“どぜう”簡単な方法でいくらでも殖える(人工ふ化法)
・7.13草木根の澱粉で決戦餅 片岡奈良署長の着想結実す
・ 粉食で二割増食 倣へ飢饉年の祖先(知事談話他)
・7.20 牛乳不足に朗報いたる 上林牛乳係官和牛(役用牛)搾乳の可能性を説く
・7.22 お台所で取り戻す一割 先づ頭の切替へ(木の根や虫食の症例)
・7.23~25 必勝食糧自給戦法 知事夫人を囲む座談会
・7.23 美味しく楽し火無し焜炉
・7.29 小麦粉代用海藻で満足感
・7.30 食膳賑はす野山の草 南瓜、西瓜の種は胡麻代用 野にも山にも食料は無尽蔵
・8.3 落花生で代用牛乳
・8.13 内吉野地方で決戦食再検討(県地方事務所が有識者招いて会議を予定)
・8.17 食生活にも耐乏の工夫 代用粉はかうして主食へ ドクダミもかうして食膳へ
・8.21~23 未利用資源食品加工及び調理法(代用ビタミン剤、糖質資源など)
・8.22 家畜類の総喰ひ 早まるな自ら掘る墓穴だ
・ 身近にある食用野草
・8.23 馬鈴薯や芋粥 代用食品一二題
・8.27 蔬菜は自給一本 魚や甘藷は漸次出廻る
・8.29 新しい食生活 塩なし漬物 柿の葉の茶も登場
・ 食糧庫の新段階 鋸屑や籾殻の代用食
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 陸軍 (396)
- 記録.手記.ルポルタージュ (916)
- 参考資料
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吉武登志夫著 , 吉武, 登志夫. 長い日日. 特攻隊戦没者慰霊平和祈念協会, 1999.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I004198122-00 -
沓名坂男著 , 沓名, 坂男. 特攻とは : 元徳島海軍練習航空隊白菊特別攻撃隊一等飛行兵曹沓名坂男(旧姓鈴木)の体験手記. 沓名坂男, 1991.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I004980225-00 -
牧 久雄/著 , 牧 久雄. 体験した戦争の爪跡. 牧久雄.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I059144232-00
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吉武登志夫著 , 吉武, 登志夫. 長い日日. 特攻隊戦没者慰霊平和祈念協会, 1999.
- キーワード
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- 特攻
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000313845