レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年05月07日
- 登録日時
- 2021/09/17 12:01
- 更新日時
- 2021/10/26 15:23
- 管理番号
- 中央-1-0021502
- 質問
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解決
初期のプロレタリア作家で「職工思想調査書」を書いた加藤由蔵の経歴、生没年を知りたい。
- 回答
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以下の本を紹介した。
(1)『日本プロレタリア文学集』4巻 新日本出版社,1985年
加藤由蔵の生没年については、1890.5.13~1951.8.22 とある。
(2)『日本人物誌選集』第12巻 紀田順一郎/監修・解説,クレス出版,2008年
- 回答プロセス
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(1)『日本プロレタリア文学集』4巻 新日本出版社,1985年
加藤由蔵の作品3点「職工思想調査書」「狩勝国境」「銀貨」が収載されており、p454-455に解説がある。主に作品の解説だが、加藤由蔵の経歴についても若干の記述がある。
(「職工思想調査書」について)「加藤由蔵は新井紀一と対照的に横須賀の海軍工廠の労働者である。(略)この作品の公表が一つの理由になって一九二三年(大正一二)暮に工廠を馘首されたという。」
(「狩勝国境」について)「(略)横須賀へ移ってくる前に北海道から樺太まで放浪していた作者の青春の一面が投影されているのだろう。」
また、p462「発表年月日と掲載文献」加藤由蔵の項に生没年の記載がある。(1890.5.13~1951.8.22)
(2)『日本人物誌選集』第12巻 紀田順一郎/監修・解説,クレス出版,2008年
萬生閣から大正15年に刊行された『文壇太平記』相馬健作著 が収載されている。「文壇修行記 1 職工生活から文壇へ」p.188-198が加藤由蔵の手記。
生まれ故郷が青森県黒石町であること、尋常四年を卒業してすぐに、小さな活版所へ小僧にやられ、足掛け5年ほどいたこと、横須賀へ来て4年目に結婚したことなど、「職工思想調査書」が雑誌に掲載されるまでの経歴が書かれている。
ただし、監修した紀田順一郎が書いた解説p.7に
「それよりも注意すべきは、本書のかなりの部分が他の文献からの引用によっていることで、序文に「必ず出所を示しておいた」とあることだ。今日の感覚で出典を記したということではなく、話者ないしは筆者名を小活字で記しているに過ぎない。たとえば「文壇修行記」には加藤由蔵と鷹野つぎの二例があげられているが、後者はともかく加藤にたっては具体的な作品名、掲載誌名がすべて架空と思われる(現物確認ができない)。何らかの事情あってフィクションとして描いたのかもしれないが、資料として用いる場合には注意を要する。」
と書かれており、作品名は架空の可能性があるが、経歴は(1)の本のとも一致しているため、現実の内容と思われる。
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本文学 (910 10版)
- 参考資料
- キーワード
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- 加藤由蔵
- 職工思想調査書
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000304789