レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年4月23日
- 登録日時
- 2022/05/14 15:04
- 更新日時
- 2022/06/17 14:04
- 管理番号
- 県立長野-22-021
- 質問
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解決
『童の神』今村翔吾著 角川春樹事務所 2020 に出てくる「四里四方」は何と読むのか。
- 回答
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『日本国語大辞典 第13巻』小学館国語辞典編集部編 小学館 2002 【813.1/シヨ/13】 p.713に、
よりよほう 四里四方 [名詞] 広さが四里(15.7キロメートル)四方であること。俗に、その
広さが四里四方で、八百八町に分かれているとされたこところから江戸の町をいう。よりしほう。
とあった。
しかし、問い合わせの『童の神』の舞台は、平安時代であることから、古語辞典等でも調べたが、「四里四方」「四方四里」という語はみあたらなかった。なお、「四方」だけであれば、『日本国語大辞典 第13巻』 p.679、および『日本国語大辞典 第6巻』【813.1/シヨ/6】 p.992 ほか、『広辞苑』第7版 新村出編 岩波書店 【813.1/シイ】等の辞典にも記載があり、この場合「よほう」の他、「しほう」とも読んでいる。ただし、四方で始まった場合「四里」が後に続く慣用句は確認できなかった。
- 回答プロセス
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1 『日本国語大辞典』で「しりしほう」「しりよほう」「よりしほう」「よりよほう」をそれぞれ調べる。「よりよう」のほかに「よりしほう」もあったが、「よりよほう」に同じ、とあった。「よりよほう」は江戸の町を指す場合が多いとあったため、『童の神』の設定を調べる。
2 当館では当該資料を所蔵していないため、出版社サイトで内容を確認する。「平安時代「童」と呼ばれる者たちがいた。彼らは鬼、土蜘蛛、滝夜叉、山姥……などの恐ろしげな名で呼ばれ、京人から蔑まれていた。」とあり、平安時代を舞台とした物語と思われた。
3 『時代別国語大辞典 室町時代編』など各時代の古語辞典を調べていくが、「四里四方」「四方四里」という語は見当たらない。
4 調査過程で「四方」だけであれば、「よほう」「しほう」のどちらの読みもある。ただし、その後ろに「四里」が続く慣用句などは確認できなかった。
5 『大漢和辞典』を調べる。
6 『名数数詞辞典』 『中国名数辞典』など名数を調べる辞典でも「四里四方」の語、および読みの記載はなかった。
<調査資料>
・『王朝語辞典』 秋山虔編 東京大学出版会 2000 【813.6/アケ】
・『江戸語辞典』 大久保忠国編 東京堂出版 1991 【813.6/オタ】
・『江戸語大辞典』 前田勇編 1975 【818.36/マイ】
・『時代別国語大辞典 室町時代編』全6巻 三省堂 1985-2001 【813.6/ジダ】
・『名数数詞辞典』 森睦彦編 1980 【031.5/モム】
・『中国名数辞典』 川越泰博編 国書刊行会 1980 【031.5/カヤ】
・『大漢和辞典 巻3』 諸橋轍次著 大修館書店 1956 【813/60/3】
- 事前調査事項
- NDC
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- 辞典 (813 10版)
- 日本語 (031 10版)
- 参考資料
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日本国語大辞典第二版編集委員会, 小学館国語辞典編集部 編 , 小学館. 日本国語大辞典 第13巻 第2版. 小学館, 2002.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003061408-00 , ISBN 4095210133 (日本国語大辞典 第13巻』小学館国語辞典編集部編 小学館 2002 【813.1/シヨ/13】 p.713)
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日本国語大辞典第二版編集委員会, 小学館国語辞典編集部 編 , 小学館. 日本国語大辞典 第13巻 第2版. 小学館, 2002.
- キーワード
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- 四里四方
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 団体
- 登録番号
- 1000316185