レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019/11/13
- 登録日時
- 2019/11/13 14:43
- 更新日時
- 2019/11/26 11:26
- 管理番号
- okiu-r-4
- 質問
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解決
フィギュアスケートで「銀盤」という言葉が使われ始めたのはいつ頃か?
また、『日本国語大辞典 第二版 第四巻』で「少年」という小説が参考資料で照会されているが「銀盤(スケート関連)」が出てくる一番古い小説か?
- 回答
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=まとめ=
「銀盤」はもともと「銀色の盤(皿)」を語源にもつ言葉である。また、「銀盤の上を転がるような○○」という表現で「音」に例えて使われた書き物(源氏物語絵巻など)が古くからある。1900年代ころの新聞によると、ウィンタースポーツ(特にスキー)の記事によく使われているのが見られた。スキー場の氷雪面を「銀盤」に例えていることが多かった。1930年代にアイススケートが一般化してくると、スケートリンクの氷面が光を受けることで輝いて見えることからスケートリンクのことを「銀盤」と例えられるようになっていた。さらに、時代を同じくして女性フィギィア選手ソニヤ・へニーが大会を連覇するなどの快挙とともに「銀盤の女王」と呼ばれるようになり、彼女が主演の「銀盤の女王(1936)」という映画作品が全国で上映される。その頃には「銀盤の○○」は優秀なフィギュア選手の別名として使われるようになった。
=参考資料=
1.スケート関連の「銀盤」が掲載されている参考書(年代の古い順番)の内容と用例の案内。
『学研国語大辞典』学習研究社1978 p.516
『たとえことば辞典』東京堂出版1998 p.85
『日本国語大辞典 第二版 第四巻』 小学館 2001 p.706
『日本語 語感の辞典』岩波書店 2010 p.281
『日本語源広辞苑[増補版]』 ミネルヴァ書房 2012 p.304
『異名・ニックネーム辞典』2017 p.268
2.データベース「ジャパンナレッジ」より
①「銀盤」で検索
②オリンピック関連でフィギュアスケート「ソニヤ・ヘニー」の名と共に「銀盤の女王」がヒット。
③検索結果から、「フィギュアスケート/銀盤」に関するページの案内。
→『日本百科全書』『岩波 世界名人大辞典』
→『東洋文庫』
3.「銀盤」という単語が出てくる古い小説について案内。
・谷崎潤一郎「少年」(1911) 各種辞典より
・東洋文庫「明治東京逸聞史2「昇菊・昇之助」」(1901) ジャパンナレッジより
・菊地寛 「許婚」(1938) Googl Books「検索ワード:スケート場・銀盤」より
4.新聞データベース「朝日聞蔵Ⅱビジュアル」より参考として。
・1933年12月4日夕刊8p :スケートリンクの呼称として一番古い記事。
・1931年11月14日夕刊2p :「銀盤の・・・」景色の呼称として一番最古(スキー関連の記事)
・1925年1月13日夕刊2p :「銀盤のような」景色のたとえとして一番最古(スキー関連の記事)
5.「銀盤/スケート」に関する映画作品(古いもの)
・「銀盤の女王:One in a million,1936」ジャパンナレッジより
・「銀盤のリズム:Symphopnie in Gold,1956」 『映画大全集』 メタモル出版 1998 p.226
6.最初の「銀盤の女王」に関する論文
・中川 敏子「ソニヤ・ヘニーに見る女子選手の表象:アメリカにおける「銀盤の女王」の誕生をめぐって」
『スポーツ社会学研究 12』, 81-89,110, 2004( https://ci.nii.ac.jp/naid/130003846641 )
- 回答プロセス
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=調べる=
・「国語辞典」「語源事典」など「銀盤」という表記がありそうな「辞典/事典」類を引いてみた。
関連がある、「辞典/事典」類を古い出版年順にまとめ、言葉の意味の違いや関連資料を確認。
→1900年代以降のものにはスケートリンクや氷の表面を「銀盤」として表現すことがあるとわかった。
→また、発行年が古いものは「銀の盤(皿)」や「月」「香道の道具」の表現としての「銀盤」が多いことが分かった。
→200年代移行に発行されたものは「広い会場に張った氷」「スケートリンク」が一般化していた。
・新聞記事(データベース)
「ヨミダス歴史館」「聞蔵IIビジュアル・フォーライブラリー」をつかって「銀盤」を検索。
→スケートリンクの呼称として「銀盤」を取り上げているものがヒット。
→それ以外にも「銀盤の女王」「スキー」に関する記事がヒット。
*この検索から
大体、1930年代には「銀盤(冬の雪景色の俗称)」と一般的に使われていることが読み取れた。
また、「銀盤の女王」「ソニヤ・ヘニー」「フィギュアスケート」という単語が多く出てきた。
・ジャパンナレッジLib(データベース)
「銀盤」で検索。
→新聞データべスと同様。
「銀盤の女王/ソニヤ・ヘニー」に関する参考資料や「文学作品」に関する資料がヒット。
*この検索から、
現代の「銀盤の○○」という表現が広まりつつある始まりが「銀盤の女王/ソニヤ・ヘニー」にある事。
「銀盤(スケートリンク)」が出てくるのが「東洋文庫」のなかあることが分かった。
・より詳しく「銀盤の女王/ソニヤ・ヘニー」について研究されているかを調べるために
「CiNii Articles」で「銀盤の女王」を検索。
→ジェンダー関連の論文ではあるが、ソニヤ・ヘニーがなぜ「銀盤の女王」と呼ばれたのか・いつがはじまりなのかなど
まとめられていた。
・「銀盤(スケートリンク)」が出てくる一番古い文学作品を調べるために
「国立国会図書館サーチ」た「Googol books」を検索し、自館にある資料で中身を確認した。
以上を踏まえて、簡易的にまとめ利用者には回答を行った。
(今回、辞典と小説の説明文で相反する内容が表記されていたが、それについても利用者に伝えた。)
- 事前調査事項
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・『日本国語大辞典 第二版 第四巻』→「銀盤」④の用例として載っているが、ココに書かれている「少年(1911)谷崎潤一郎」は一番古い小説か?
・言語辞典→探せなっかた。
・「銀盤」がスケートリンクを指す「美称」であることは分かった。
- NDC
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- 語源.意味[語義] (812)
- 文章.文体.作文 (816)
- 参考資料
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日本国語大辞典第二版編集委員会, 小学館国語辞典編集部 編 , 小学館. 日本国語大辞典 第4巻 第2版. 小学館, 2001.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002992528-00 , ISBN 4095210044 -
金田一春彦, 池田弥三郎編 , 金田一, 春彦 , 池田, 弥三郎. 学研国語大辞典. 学習研究社, 1978.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I004747938-00 , ISBN 4051006069 -
中川 敏子. ソニヤ・ヘニーに見る女子選手の表象:アメリカにおける「銀盤の女王」の誕生をめぐって. 2004. スポーツ社会学研究 12 p. 81-89,110
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000016-I003309576-00
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日本国語大辞典第二版編集委員会, 小学館国語辞典編集部 編 , 小学館. 日本国語大辞典 第4巻 第2版. 小学館, 2001.
- キーワード
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- 銀盤
- 銀盤の女王
- ソニヤ・ヘニー
- 語源
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 語源の調査 文献紹介 事実調査 書誌的事項調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000265171