レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017/07/15
- 登録日時
- 2020/04/25 00:30
- 更新日時
- 2020/05/02 13:34
- 管理番号
- 所沢所分-2020-001
- 質問
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解決
「枕慈童(まくらじどう)」という作品について知りたい。
- 回答
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能楽の曲名で、内容は、「深山に湧く薬の水を訪ねる魏の文帝の使者(ワキ)は、七百年を美少年の姿のまま生きる慈童(シテ)と出会う。周の穆王に仕えた慈童は、帝の枕をまたいだ罪でこの深山に流されたが、枕に書かれた法華経の文章と、菊の葉の露の奇跡で、不老不死の仙界に生きている。慈童は美しく舞い、長寿の薬の水を帝に捧げて終わる。」のようです。(参考:『日本大百科全書 21』)
なお、観世流においては、この作品は「菊慈童」と称され、別に「枕慈童」があるようです。(この「枕慈童」については、調査不要とのこと)
下記資料に記載があります。
〇『世界大百科事典 27』 平凡社 2007年
〇『世界大百科事典 6』 平凡社 2007年
〇『日本大百科全書 21』 小学館 1988年
〇『謡曲大観 第2巻』 佐成謙太郎/著 明治書院 1982年
〇『能・狂言事典』 西野春雄/編集委員 平凡社 2011年
〇『能楽大事典』 小林責/著 筑摩書房 2012年
〇『あらすじで読む名作能50選』 多田富雄/監 森田拾史郎/写真 世界文化社 2015年
〇『能鑑賞二百六十一番』 金子直樹/著 淡交社 2018年
〇『これで眠くならない!能の名曲60選』 中村雅之/著 誠文堂新光社 2017年
〇『能の事典』 三省堂 1984年
- 回答プロセス
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1.所蔵資料の内容確認
〇『世界大百科事典 27』 平凡社 2007年
p.14 「まくらじどう 枕慈童」の項に「能の曲名.観世流は《菊慈童》と称する.観世流でいう《枕慈童》は同趣向の別作品.四番目物.作者不明.シテは慈童.魏の文帝に仕える廷臣(ワキ)が、勅命を受け薬水の水源を探りに酈県山に赴く.その山奥の菊の咲き乱れた仙境に、慈童という童顔の仙人(シテ)がいた.(中略) なお、歌舞伎舞踊, 長唄の《菊慈童》の原拠となっている.」との記載あり。
〇『世界大百科事典 6』 平凡社 2007年
p.618 「きくじどう 菊慈童」の項に「能の曲名.観世流の名称で,他流はすべて《枕慈童》と称する.(以後省略)」と記載あり。
〇『日本大百科全書 21』 小学館 1988年
p.848「枕慈童 まくらじどう」の項に「能の曲目。四番目物。金春(こんぱる)、宝生(ほうしょう)、金剛、喜多(きた)流現行。ただし、金春流は昭和の復曲。観世流ではこの能を『菊慈童』とよぶ。観世流の『枕慈童』は時代を800年後に設定した同じ主題の別能で、江戸時代の改作である。深山に湧く薬の水を訪ねる魏の文帝の使者(ワキ)は、七百年を美少年の姿のまま生きる慈童(シテ)と出会う。周の穆王に仕えた慈童は、帝の枕をまたいだ罪でこの深山に流されたが、枕に書かれた法華経の文章と、菊の葉の露の奇跡で、不老不死の仙界に生きている。慈童は美しく舞い、長寿の薬の水を帝に捧げて終わる。(以後省略)」との記載あり。
〇『謡曲大観 第2巻』 佐成謙太郎/著 明治書院 1982年
p.805-814 「菊慈童 (観 (寶 剛 喜)」の項に本文の記載あり。
【異稱】に「もと[枕慈童]といひ、現在も寶生・金剛・喜多の諸流では[枕慈童]といってゐる。観世流にも[枕慈童]があるが、それはこれとは別な曲である。また、貞享3年の番外百番には[菊士童]があるが、これも本曲とは別である。」との記載あり。
〇『能・狂言事典』 西野春雄/編集委員 平凡社 2011年
p.143に「枕慈童」の項あり。
「鑑賞」に「魏の文帝に仕える廷臣が、勅命を受けて薬水の水源を探りに酈県山に赴く。その山奥の菊の咲き乱れた仙境に、慈童という童顔の仙人がいた。(以後省略)」との記載あり。
〇『能楽大事典』 小林責/著 筑摩書房 2012年
p.827「枕慈童 まくらじどう」の項あり。
「能の曲目。宝・春・剛・喜四流の<枕慈童>と観の<菊慈童>とは異名同局である。これを<枕慈童A>と称することとする。なお、観には右と同工異曲の<枕慈童>という能があり、これを<枕慈童B>と称することとする。」とし、①<枕慈童A>に「▽魏の文帝の命により、(中略) 一行が山中につくと菊の籬(まがき)を巡らした庵で一人の少年(シテ)に出会う。少年は周の穆王に使われた慈童であると名のり、枕に書かれた、帝の筆による二句の偈(げ)を示す。慈童は700年の命を保った薬の水を勅使に勧め、また、みずからも飲み、酔いにまかせて舞(楽)を舞い、やがて菊をかき分けて庵へ帰ってゆく。(以後省略)」との記載あり。
〇『あらすじで読む名作能50選』 多田富雄/監 森田拾史郎/写真 世界文化社 2015年
p.38-39 「枕慈童 まくらじどう (菊慈童 きくじどう)」の項あり。あらすじや登場人物について記載あり。
〇『能鑑賞二百六十一番』 金子直樹/著 淡交社 2018年
p.326-327 「枕慈童 まくらじどう」(四番目物 五流(観世<菊慈童>)の項あり。あらすじなどについて記載あり。
〇『これで眠くならない!能の名曲60選』 中村雅之/著 誠文堂新光社 2017年
p.202-203 「菊慈童 きくじどう」の項あり。あらすじ・楽しみ方のポイントなどの記載あり。
〇『能の事典』 三省堂 1984年
p.162 「枕慈童 まくらじどう」の項あり。あらすじや典拠などについて記載あり。
2.記載のなかった資料
×『能って、何?』 松岡心平/編 新書館 2000年
×『これならわかる、能の面白さ』 林望/著 森田拾史郎/写真 2006年
×『岩波講座 能・狂言 7 』 小山弘志/編 岩波書店 1990年
×『カラー百科見る・知る・読む能五十番』 小林保治/編著 勉誠出版 2013年
- 事前調査事項
- NDC
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- 能楽.狂言 (773 9版)
- 戯曲 (912 9版)
- 参考資料
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- 世界大百科事典 27 平凡社 2007.9 031
- 世界大百科事典 6 平凡社 2007.9 031
- 日本大百科全書 21 小学館 1988.5 031 4-09-526021-1
- 謡曲大観 第2巻 佐成謙太郎/著 明治書院 1982.5 912.3 4-625-51080-5
- 能・狂言事典 西野春雄/編集委員 平凡社 2011.1 773.036 978-4-582-12641-9
- 能楽大事典 小林責/著 筑摩書房 2012.1 773.033 978-4-480-87357-6
- あらすじで読む名作能50選 多田富雄/監修 世界文化社 2015.10 773 978-4-418-15246-9
- 能鑑賞二百六十一番 金子直樹/著 淡交社 2018.5 773 978-4-473-04248-4
- これで眠くならない!能の名曲60選 中村雅之/著 誠文堂新光社 2017.10 773 978-4-416-31521-7
- 能の事典 三省堂 1984.4 773.036 4-385-15474-0
- キーワード
-
- 能
- 能楽
- 枕慈童
- 菊慈童
- 四番目物
- 芸能
- 伝統芸能
- 古典芸能
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000281024