レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年07月16日
- 登録日時
- 2020/11/19 11:12
- 更新日時
- 2021/01/07 16:45
- 管理番号
- 横浜市中央2606
- 質問
-
解決
横浜芝山漆器の歴史、横浜との関わりについて知りたい。
- 回答
-
資料の記述によると、「横浜芝山漆器」は、象牙や木などの素地に象牙、貝殻等の様々な素材
を象嵌する装飾様式「芝山象嵌」が起源となっています。彫刻や漆芸等の工芸とあわさって
製品として完成し、芝山象嵌を用いた工芸品を「芝山細工」とも呼びます。横浜では専ら
漆塗りの素地に施す装飾として用い、「横浜芝山漆器」と呼ばれるようになったということです。
そのため「横浜芝山漆器」の歴史について調べるにあたって、「芝山漆器」のほか「芝山細工」
「芝山象嵌」等のキーワードも含めて検索し、歴史・横浜との関わりがわかる資料をお探ししました。
関連資料を次のとおりご紹介します。
1 歴史や特徴について
(1) 『特別展日本の象牙美術 明治の象牙彫刻を中心に』
渋谷区立松濤美術館/編 渋谷区立松濤美術館 1996
p.204-209「芝山象嵌」小泉和子
芝山細工の歴史、明治期の生産・流通の仕組み、内国勧業博覧会での評価、
海外コレクション、現代の製造方法についてまとめられています。
(2) 「芝山細工についての基礎研究-横浜との関係を中心に-」沼田英子
(「横浜美術館・横浜市民ギャラリー研究紀要」第7号 横浜美術館
2005.4 p.59-76)
芝山細工の歴史、海外人気の要因、制作工程、技法、横浜との関係、現状に
ついてまとめられています。
(3) 『横浜学セミナー 19 横浜と匠の技』 はまぎん産業文化振興財団/編
横浜学連絡会議 1997.2
p.5-20「芝山漆器物語」赤堀郁彦/講師
芝山漆器の由来、最盛期、戦後の状況などについて書かれています。
(4) 『明治のクール・ジャパン横浜芝山漆器の世界 金子皓彦コレクションを中心に』
横浜開港資料館/編 横浜市ふるさと歴史財団 2016.7
2016年7月22日~10月23日に横浜開港資料館で開催された企画展示の図録です。
(4)の展示に関連して書かれた記事がインターネットでご覧いただけます。
ア 「開港のひろば 横浜開港資料館館報」第133号 横浜開港資料館 2016.7
p.1「企画展 明治のクール・ジャパン 横浜芝山漆器の世界」西川武臣
p.2-3「企画展 「横浜漆器」と内国勧業博覧会」西川武臣
http://www.kaikou.city.yokohama.jp/journal/133/index.html
イ 「開港のひろば 横浜開港資料館館報」第134号 横浜開港資料館 2016.10
p.4-5「展示余話 戦後の貿易再開と横浜芝山漆器」西川武臣
http://www.kaikou.city.yokohama.jp/journal/134/index.html
(5) 「寄木細工・芝山細工・横浜芝山漆器の輸出家具」金子皓彦
(「家具道具室内史」第9号 家具道具室内史学会 2017.6)
p.24-46 輸出家具としての芝山細工について書かれています。
(6) 『骨董縁起帳 22』 竹日忠芳/編 光芸出版 2012.11
p.52-61 芝山細工物語-横浜芝山漆器を主に
歴史や技法を紹介しています。
(7) 「芝山漆器 神奈川 趣味の風土記(18)」
(「朝日新聞」1965年3月2日 朝刊 p.8)
芝山漆器の歴史と、昭和40(1965)年当時の市内職人・三代目村田貞良氏の
製作の様子が紹介されています。
2 作品のカラー図版や解説が多く掲載されている資料
(1) 『海を渡ったニッポンの家具』LIXIL出版 2018.6
p.26-37 芝山細工
4点の作品が詳細に解説されています。
(2) 『懐かしうつくし貝細工 金子コレクションを中心に』大田区立郷土博物館/編
大田区立郷土博物館 2012.10
2012年10月7日~11月25日に大田区立郷土資料館で開催された
特別展の図録です。
p.31-44 芝山細工・本芝山と横浜芝山漆器
横浜芝山漆器の作品の写真と解説が16点掲載されています。
(3) 『ナセル・D・ハリリ・コレクション 第4巻 〔下〕 漆芸篇』
オリバー・インピー/〔ほか〕主幹 同朋舎出版 1995.08
1(1)(2)の資料の解説によると、特に多くの芝山細工の作品を残すものとして
ロンドンのナセル・D・ハリリ・コレクション(明治期の陶磁器・漆芸等約
900点に及ぶ明治美術の一大コレクション)があり、本資料(4巻)には
作品約45点の写真と解説が掲載されています。(※解説は英文のみのものが多いです。)
3 現代の職人について
(1) 『西洋を魅了した「和モダン」の世界 明治・大正・昭和に生まれた輸出工芸品
金子皓彦コレクション』 金子皓彦/著 三樹書房 2017.11
p.156-177 現代の芝山師(漆器工芸師)・宮崎輝生氏との対談が収録されています。
(2) 「芝山漆器」(「横濱 YOKOHAMA」Vol.18 2007年秋号
神奈川新聞社 2007.10)
p.66-67 宮崎輝生氏を紹介しています。
(3) 「かながわ工芸品物語 横浜芝山漆器」(「マイウェイ」No.83
はまぎん産業文化振興財団 2012.6)
p.2-4 横浜芝山漆器 松本工房
横浜芝山漆器を五十年以上つくり続けている松本力氏のインタビュー・紹介が
載っています。
(4) 『ハマの職人探訪瓦版 「食」の技能生活を彩る技能』
横浜市市民局勤労福祉部勤労福祉課「ハマの職人探訪瓦版」編集委員会/編
横浜市市民局勤労福祉部勤労福祉課 1992
p.134-137 漆器工芸師(芝山師)松本力氏のインタビュー・紹介が載っています。
4 芝山漆器の伝統を残すための活動について書かれた新聞記事
(1) 「ハマの伝統工芸品 芝山漆器 復活へ 市中小企業指導センター」
(「読売新聞」1978年9月7日 朝刊 神奈川地域面)
(2) 「ハマの伝統工芸の灯消すな 芝山漆器 主婦ら 48人が「研究会」発足」
(「読売新聞」1980年3月28日 朝刊 神奈川地域面)
(3) 「芝山漆器 復活願い展示会」
(「読売新聞」1987年3月15日 朝刊 p.13)
5 その他参考資料
(1) 『日本人物情報大系 第88巻(諸芸・諸職編 8)』
芳賀登/〔ほか〕編 皓星社 2001.10
『東京名工鑑』(東京府勧業課/編 1879)を収録しています。
明治10(1877)年8月21日~11月30日に開催された第一回内国勧業博覧会
に出品した名工に事績を聞き書きした記録です。
p.226-229 芝山象嵌工 芝山惣七ら10名が掲載されています。
(2) 『横浜市史 Ⅱ 第2巻(上)』横浜市総務局市史編集室/編 横浜市 1999.03
p.580、p.641 戦後、横浜市内・県内で生産・加工された輸出品として、芝山漆器
にも触れられています。
(3) 『ナセル・D・ハリリ・コレクション 第1巻 論文篇』
オリバー・インピー/主幹 同朋舎出版 1995.01
「明治の工芸を輸出したひとたち」(樋田豊次郎)を収録しています。
p.85 「大関弥兵衛」
国内での製作委嘱を専門とする輸出問屋で、東京と横浜に店をもっていた大関弥兵衛に
ついて書かれています。文久2(1862)年に横浜の本町4丁目66番地に「武蔵屋」
(「武蔵屋」は、近親者らしい大関定次郎にまかせていた)を開き、開港後は蒔絵漆器を
扱っていたが、明治11(1878)年頃には芝山細工なども扱うようになった事が記載されて
います。
(4) 『ナセル・D・ハリリ・コレクション 第4巻 〔上〕 漆芸篇』
オリバー・インピー/〔ほか〕主幹 同朋舎出版 1995.07
「江戸・明治の日本の漆芸」(ジュリア・ハット)を収録しています。
p.35-37 芝山細工について述べています。
(Web情報の最終確認日:2020年11月11日)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 漆工芸 (752 8版)
- 宝石.牙角.皮革工芸 (755 8版)
- 美術家具 (758 8版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000289647