レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年10月20日
- 登録日時
- 2022/10/20 14:19
- 更新日時
- 2022/12/02 17:54
- 管理番号
- 小野04-043
- 質問
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解決
現在の小野小学校(兵庫県小野市西本町)がある場所に「一柳城」(ひとつやなぎじょう)という城が建っていたが、一柳城がその場所に築かれた経緯を知りたい。
- 回答
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1.『小野藩陣屋町と村のくらし』小野市好古館
p.5【Ⅰ.小野藩陣屋のくらし】 (2)小野藩陣屋町の建設 ①小野藩陣屋の門前村移転と三宅清右衛門 に
承応二年に小野藩の陣屋が敷地町から小野の地に新設移転したこと、新しい陣屋は谷や崖、谷地に囲まれた要害の地に建設されたことを記述。
2.『藩史大事典 第5巻』雄山閣出版 p.501【小野藩】
〔藩の概要〕一柳直次が、承応二年(1653)に領内の要害地の小野に新陣屋を構築した。との記述。
〔藩の居城〕陣屋の名称は①小野陣屋②一柳城、所在地は兵庫県小野市西本町との記述。
3.『小野地区のあけぼの』小野市好古館 p.33-34
小野(古)城跡 より、「現在の小野小学校の地にあったとされる城です。小野小学校の地と言えば、江戸時代に小野藩の陣屋が置かれていたところです。...標高約50mの中位段丘上にあたり、北側を除き西側と南側の二方は比高差約20mの急な崖で、東側は谷筋となる自然の要害となっています。この要害を活かして、承応2年(1653)に小野藩主一柳家が陣屋を完成させ、現在の小野市街地の基礎を造っています。」との記述。
4.『BanCul 2020冬号』(雑誌)神戸新聞総合出版センター
p.8 小野藩陣屋が段丘の上にあったことがわかる写真等あり。
p.36-39 小野の地に移転した陣屋は要害の地を選んで建設されたこと、陣屋の場所の選定などは藩主直次から全権委任された三宅新右衛門が行ったことなどを記載。
5.『小野の文化財』小野市教育委員会 p.72 小野藩陣屋跡 より
「...敷地(現在の大部小学校付近)に陣屋を置いていたが、要害の地でないことから、現在の小野小学校の地に陣屋を移している。」との記述。
6.『小野市の文化財』小野文化財保護協会 p.45 小野一柳藩陣屋跡より
「...敷地村(小野市敷地町)に陣屋を置いていたが、要害の地でないことから、現在の地に陣屋を移し...」との記述。
7.『播磨国大部荘現況調査報告書 Ⅵ』小野市教育委員会 p.74 小野町の概要より
「...「荊棘を開きて」陣屋を建設した、という『加東郡誌』の記述に従うならば荒れ果てた土地だったことになり、この時に景観が一変したと考えられる。」
8.『播磨鑑(復刻版)』播磨史籍刊行会 p.325 小野ノ府
9.『加東郡誌』加東郡教育会 p.849 小野府
10.『創立百年誌』小野市立小野小学校 p.4 校歌より
「ひとつ柳の城の跡」から始まる歌詞あり。
<インターネット>
小野藩陣屋跡(小野市)
https://www.city.ono.hyogo.jp/soshikikarasagasu/kokokan/1/1748.html
(最終確認:2022/10/21)
- 回答プロセス
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Ⅰ.一柳家といえば小野藩の大名であり、当館では一柳家に関する資料を所蔵しているため、それらをまず調査した。結果、「小野藩陣屋」に関する資料は見つかったが、「一柳城」に関する記述は見当たらない。
Ⅱ.資料1 p.4【小野藩陣屋のくらし】 (1)陣屋・陣屋町とは より
江戸幕府の時代は3万石以下の大名は「城」を造ることが許されず、「陣屋」と称する建物しか構築することができなかった。との記述から、小野藩で一万石を領有していた一柳家は城は持てなかったと考えられる。よって、調査中の「一柳城」は「小野藩陣屋」であると推測される。
Ⅲ.資料2より、「小野陣屋」の別名が「一柳城」であることがわかる。
Ⅳ.資料2-7より、要害の地を活かして小野陣屋をこの地に移したことがわかる。
※ 資料2 p.33に、一柳家が陣屋を完成させる前に小野氏が室町時代に城を築いたこと、資料3 p.325に、古城主は小野權右衛門だったとの記述があったが、城主の名前が小野氏であることがら、これは一柳城ではないと考えられる。
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本史 (210)
- 近畿地方 (216)
- 芸術政策.文化財 (709)
- 参考資料
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1.小野市立好古館 編. 小野藩陣屋町と村のくらし : 小野地区の江戸時代 : 小野市立好古館平成30年度特別展. 小野市立好古館, 2018. (小野市立好古館特別展図録 ; 44)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I029429413-00 -
2.木村礎 [ほか]編 , 木村, 礎, 1924-2004. 藩史大事典 第5巻 (近畿編). 雄山閣出版, 1989.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001987096-00 , ISBN 463900849X -
3.小野市立好古館 編. 小野地区のあけぼの : 発掘調査の成果を中心に : 小野市立好古館平成29年度特別展. 小野市立好古館, 2017. (小野市立好古館特別展図録 ; 43)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I028736142-00 -
4.BanCul : 播磨が見える. 姫路市文化振興財団.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000004-I001155932-00 -
5.小野市教育委員会. 小野の文化財. 小野市教育委員会, 1996.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003002063-00 -
6.「小野市の文化財」編集委員会 編 , 小野文化財保護協会. 小野市の文化財. 小野文化財保護協会, 1981.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001541924-00 -
7.大部荘調査委員会 編 , 小野市教育委員会. 播磨国大部荘現況調査報告書 6. 小野市教育委員会, 1996. (小野市文化財調査報告 ; 第20集)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003004515-00 -
8.平野 庸脩 編 , 平野‖庸脩. 地志播磨鑑. 兵庫県教育図書販売, 1983.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I112928808-00 -
9.加東郡教育会 編 , 加東郡教育会. 加東郡誌. 加東郡教育会, 1923.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000590403-00 -
10.小野小学校創立百年記念事業記念誌発行委員会 編 , 小野小学校(小野市立). 〔小野市立小野小学校〕創立百年誌. 小野小学校創立百年記念事業記念誌発行委員会, 1972.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I112850776-00
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1.小野市立好古館 編. 小野藩陣屋町と村のくらし : 小野地区の江戸時代 : 小野市立好古館平成30年度特別展. 小野市立好古館, 2018. (小野市立好古館特別展図録 ; 44)
- キーワード
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- 小野市
- 陣屋
- 小野藩
- 小野陣屋
- 一柳直次
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000322811