レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年10月30日
- 登録日時
- 2020/12/14 15:32
- 更新日時
- 2021/02/09 15:37
- 管理番号
- 広県図2020070
- 質問
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解決
野菜の「なす」と,「なすび」の違いは何か。
関西では口語的に「なすび」が使われていたり,「一富士二鷹三なすび」だったりするが,一般的には「なす」で統一されているような気がする。
いつ・どんな違いが現れたのか,また方言だとしたら,どの地域の方言なのか。
- 回答
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野菜のなすとなすびの違いについて,次の資料に関連の記述があります。
『日本国語大辞典 第10巻』小学館国語辞典編集部/編集,第2版,日本国語大辞典第二版編集委員会/編集,小学館,2001【R813.1/100シ/10】
p.158 なす【茄子・茄】 「(「なすび」の変化したもの)」
「語誌 古くはナスビといったが、その語末のビは、アケビ(木通)、キビ(黍)などの植物名に通じるものか。後に、挙例の「御湯殿上日記」などに見られる女房詞の「ナス」が全国的に広まり、近代以降はナスが主流となる。ただ、現在でも西日本ではナスビ、東日本ではナスの形を用いる傾向が見られる。」
p.162 なすび【茄子・茄】
p.531-532 にょうぼうことば【女房詞・女房言葉】
「室町初期ごろ、御所や仙洞御所につかえる女房が使い始めた一種の隠語で、主として食物、衣服などに用いた。」
『日本の野菜文化史事典』青葉高/著,八坂書房,2013【626/113ア】
p.33-44 ナス
p.33 「ナスはナスビから出た女房ことばとされ、茄は植物を指し、茄子は果実を指すという者もある。」
女房詞・女房言葉について,次の資料に記述があります。
『御所ことば』井之口有一,堀井令以知/著,雄山閣,2005【814.9/105イ】
p.97-162 御所ことばの歴史的文献
p.111-120 公家言葉集存
p.115 「ナス 茄子」
p.132-135 婦人養草
p.134 「なすびは なすと」
p.135-141 女重宝記
p.140 「なすびはなす」
p.149-151 御ゆとのゝうへの日記
『民俗小事典 食』新谷尚紀,関沢まゆみ/編,吉川弘文館,2013【R383.8/113シ】
p.128-129 ナス
p.128に「近畿地方ではナスビという。」とあります。
p.129に参考文献として『なにわ大阪の伝統野菜』が挙げられていますが,当館では所蔵していません。
『関西ことば辞典』増井金典/著,ミネルヴァ書房,2018【R818.6/118マ】
p.233 なすび
「茄子。ナスは関東語。」
『大阪ことば事典』牧村史陽/編,新版,講談社,2004【R818.6/104マ】
p.513 ナスビ
「普通にはナスといわない。ただし、オがつくときのみは下を略してオナス。」
このほか,「ナスビ」の語源について,次の資料に関連の記述があります。
『日本大百科全書 17』小学館,1987【R031/84ニ/17】
p.494-495 ナス〔茄子〕
p.495 文化史
「ナスはナスビともよばれる。ナスは「為す」「成す」の意味で、実がよくなることに由来するという。『倭名鈔』では「茄子は、中酸実〔なすび〕の義なり、その実少しく酸味あればなり」という説を紹介している。(略)」
『たべもの起源事典』岡田哲/編,東京堂出版,2003【R383.8/103オ】
p.333-334 なす(茄子)
p.333 「ナスビともいう.(略)ナスビの由来は,中渋実とする説,生実とする説,(略)『和名抄』935年以前(承平5)に,「和名,奈須比」とある.」
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 蔬菜園芸 (626 9版)
- 日本語 (810 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- なす
- なすび
- 女房詞
- 女房言葉
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000290682