レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20190708
- 登録日時
- 2021/08/27 00:30
- 更新日時
- 2021/08/30 11:11
- 管理番号
- 中央-2021-11
- 質問
-
解決
1.現存する最古の手水鉢(ちょうずばち)が知りたい。
2.手水鉢を確認できる最古の文献は何か。
- 回答
-
1.現存する最古の手水鉢(ちょうずばち)
都立図書館蔵書検索をキーワード<手水鉢><蹲踞(つくばい)>等で検索し、該当した本を調査した。(最終検索日:2021年8月2日)
資料1
p.138-140「手水鉢小史」
「手水鉢として現在知られている最古の在銘品は、元徳3年(1331)の当麻寺(たいまでら)手水鉢(奈良県)」と記載あり(p.138)。p.126に図版が掲載されている。
資料2
p.175-182「手水鉢の歴史」p.177に資料1と同様の記述あり。
資料3
『灯籠と手水鉢』(国会図書館永続的識別子:info:ndljp/pid/2481245 最終アクセス日:2021年8月2日)図書館送信参加館内公開
p.2-3(コマ番号:4)「概説」
「京都府の浄瑠璃寺本堂前のものは、永仁4年の銘があり」とあり(p.3)。永仁4年は1296年。
資料4
p.94-100「手水鉢考」(土井実)
手水鉢の形式や用途により名称が異なることが記載されており、「水船」という名称が挙げられている。
「船型の水船」の見出しの箇所に、「現存する遺品の中で、水船という文字がはっきり刻まれているいちばん古いものは、奈良の春日山中にある高山水船である。(中略)鎌倉時代末の正和四年(1315)のもの」と記載あり(p.95)。
また、手水鉢の見立物についても「本来は別の用途に作られたものを、後に手水鉢に見立てて転用したものをいう。」とある。その後の記述で、京都浄瑠璃寺にある石臼の手水鉢に1296(永仁4)年の銘があることがわかる(p.100)。
2.手水鉢、手水舎を確認できる最古の文献
百科事典や国語辞典に収録されている項目を横断的に検索できるオンラインデータベース「ジャパンナレッジLib」(ネットアドバンス)を、キーワード<手水鉢>、<手水舎>で検索した。(最終検索日:2021年8月2日)
最古の文献名を特定することはできなかったが、資料5及び資料6に、「手水鉢」の語や絵が出てくる書名が記載されているので、参考までに紹介する。
資料5
p.64「ちょうず-ばち」
5つの書名が記載されており、この中で最も年代が古いのは、御伽草子『酒茶論』である。成立又は刊行の年代は「室町末」とあり。
資料6
p.574-576「手水鉢」
6つの書名が記載されている。
この中では、1314年に初めて作成され、その後頻繁に伝写された絵巻『融通念佛縁起』に描かれた絵が最も古いと思われる。「手水鉢」の語が出てくる資料として最も古いのは『色音論』で、1643年の成立。
参考文献のうち、資料3は都立多摩図書館資料。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 造園 (629 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】手水鉢 庭園美の造形 / 吉河功著 / グラフィック社 / 1989.1 <D/6292/3009/89>
- 【資料2】露地を彩る蹲踞大全 つくばいの作法を網羅した決定版,手水鉢のデザインから水琴窟の仕組み・設置方法まで、つくばいのすべてがわかる / 吉河功監修 / 誠文堂新光社 / 2014.7 <629.6/5024/2014>
- 【資料3】灯籠と手水鉢 / 彰国社編 / 彰国社 / 1956.9 <5208/K5456/K1-50>
- 【資料4】雑誌:日本美術工芸 / 401号 (1972年2月) / 日本美術工芸社
- 【資料5】日本国語大辞典 第9巻 / 第2版 / 小学館国語辞典編集部編集 / 小学館 / 2001.9 <R/813.1/5020/9>
- 【資料6】古事類苑 器用部第1 / 吉川弘文館 / 1979.5 <R/0312/3/45>
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000303730