①雑誌『NEWTON』第39巻_第14号:2019年12月号 稲葉洋平監修「身近な“?”の科学 加熱式タバコ」
p.114-115 加熱式タバコと電子タバコのしくみの図があり、両者の違いについても触れられている。
また、加熱式タバコを1本吸ったときのニコチン摂取量のグラフがあり、加熱式タバコであってもニコチンが体内に入ることが分かる。
②雑誌『週刊東洋経済』第6769号:2018-1/13「サラ牛、アイコス、遺伝子検査…あのヒット商品を徹底検証!」
p.32-33 フィリップモリスインターナショナルが販売するアイコスについて、「紙巻きたばこの煙に含まれる化学物質は6000種類以上。その中で、WHO(世界保健機関)が、特に有害、またはその可能性があると定めた9種類の化学物質(ホルムアルデヒドや一酸化炭素など)が、紙巻きたばこに比べて平均9割削減できている」が、「こうした研究結果は自社の研究機関から出されているもの。第三者機関による研究がまだほとんどない」と書かれており、グラフ<たばこ会社の研究機関と第三者機関とで研究結果に隔たり―紙巻きたばこに対するアイコスの有害物質の比率―>の掲載がある。
③雑誌『週刊金曜日』1133号「香害」最前線 本当に安全ですか?必要ですか?新型タバコ」
p.18-19 しくみについて、「充電式電池を備えた用具に、葉タバコと添加物の成分から成る製品を挿入して加熱し、いぶり出されてくる「ニコチンを含む(煙ではない)湯気のようなもの」を吸いこんで、タバコの味を味わいます。」とあり、その後段に〈アイコス〉という商品を取り上げて、その仕組みを詳しく書いている。
体内に入る成分について、「国立保健医療科学院の欅田尚樹(くぬぎたなおき)部長らがアイコスの主流煙(肺に吸入される煙)を測定したところ、ニコチン濃度はスティック1本(1立方メートル=?当たり)0.77ミリグラム(㎎)でした。」とあり、「ベンゾピレン」「ニトロソアミン類」「アルデヒド類」も含まれていたと記載されている。しかしタールについては、「葉タバコの燃焼で生じるタールはほとんど生成されません」と書かれている。
体外に出る成分について、「呼出煙(こしゅつえん)(喫煙者が吐き出した煙)に当たるもの」として、「大和浩産業医科大学教授がアイコスについて「微小粒子状物質(PM2.5)を測定したところ、吐き出された瞬間に口先30センチメートル(cm)の位置で(1?当たり)2000マイクログラム(μg=μは100万分の1)になりました。」と記載されている。
④③で紹介された国立保健医療科学院の欅田尚樹氏による加熱式タバコの論文を探す。
戸次加奈江、稲葉洋平、内山茂久、欅田尚樹『加熱式タバコと燃焼式タバコの主流煙中に含まれる有害成分の比較』
J-Stageから全文閲覧可能(全文英語「Comparison of Chemicals in Mainstream Smoke in Heat-not-burn Tobacco and Combustion Cigarettes」)
Table1.Concentrations of tar, nicotine, CO, and TSNA in tobacco fillers of iQOS(regular and menthol)and conventional combustion cigarettes(3R4F and 1R5F)
Table2. Concentrations of tar, nicotine, CO, and TSNA in mainstream cigarette smoke and transfer rates of each component in iQOS (regular and menthol) and conventional combustion cigarettes(3R4F and 1R5F)
⑤国立保健医療科学院HP
稲葉洋平、牛山明「加熱式たばこ製品の有害性について」
雑誌『保健医療科学』第69巻第2号(2020年5月)p.144-152 に掲載された論文を読むことができる。
加熱式タバコのしくみについて、「加工されたたばこスティックを携帯型の加熱装置に差し込み数十秒加熱した後に数分間発生するエアロゾルを吸引するたばこ製品である。」とあり、「紙巻たばことの大きな違いは「温度」にある。」と書かれている。
また、加熱式タバコと電子タバコの違いについても触れられており、「最大の違いは、「たばこ葉」使用の有無」「加熱式たばこは、たばこ葉を加熱することによってニコチンを吸引するが、電子たばこはニコチン入りの充填液を電熱コイルでエアロゾルに変換することによって吸引する。」とある。しかし日本では、ニコチン入りの電子たばこは販売されていないこと、たばこ製品の扱いではないのでたばこ税がかからないこと、未成年でも購入が可能であることが書かれている。
加熱式タバコから発生する成分について、「たばこ産業は、加熱たばこの温度帯(PloomTECH:30℃、glo:240℃、IQOS:350℃)では有害化学物質の発生が抑制されるために、90%削減を達成と報告している」と紹介している。しかし、著者たちによる研究結果では、加熱温度の高いIQOSとgloのニコチン量は紙巻タバコに近い値となり、加熱温度の低いPloomTECHのニコチン量が少なかったことが書かれている。ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドは「紙巻たばこの90%までは低減されなかった。」としている。その他の発生する化学物質について、紙巻タバコと比較して言及されている。
また、Table2「加熱式たばこと紙巻たばこの主流煙に含まれる有害化学物質分析結果」の表が掲載されている。
⑥雑誌『現代化学』No.571「加熱式タバコから発生する化学物質」
p.20-23 図1に具体的な製品とその写真が、図2に通常の燃焼タバコ、電子タバコ、加熱式タバコの構造が図示されている。図3に燃焼タバコと加熱式タバコから発生する化学物質の比較のグラフが掲載されている。図5,6には喫煙時間とタバコ葉温度や化学物質発生量の関係がグラフ化されている。
⑦『新型タバコの本当のリスク』
p.4-11 しくみについて、図表1-1に加熱式タバコの2つの構造、図表1-2に電子タバコ、図表1-3に紙巻タバコの構造が書かれている。新型タバコについて本書では「加熱式タバコと電子タバコを合わせて新型タバコと呼んでいる」と書かれており、p8「タバコの葉を使っているのが加熱式タバコ、タバコの葉を使っていないのが電子タバコ」、p.9「日本の法律上の分類では、加熱式タバコはタバコとして管理される一方、電子タバコはタバコではないのである。」とあり、違いについて詳しく説明されている。
p.52-72 成分について、「第3章新型タバコから出ている有害物質」に、加熱式タバコと電子タバコに分けて記載がある。また以下の図表の掲載がある。
図表3-4 紙巻タバコとアイコスから出る化学物質の量(μg/1本)
図表3-5 加熱式タバコのエアロゾルに含まれる化学物質量、紙巻タバコとの比較、タバコ会社および独立した研究機関における分析結果一覧
図表3-6 血中ニコチン濃度の推移
図表3-7 加熱式タバコの受動喫煙における粒子状物質および有害物質の量、紙巻タバコとの比較
図表3-8 日本で売られている電子タバコから出るアルデヒド類の量