レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017年05月30日
- 登録日時
- 2017/05/31 12:03
- 更新日時
- 2018/12/11 15:30
- 管理番号
- 19641
- 質問
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「空母」はなぜ「母」の字が使われるのか?
- 回答
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・「空母」は「航空母艦」を略したもの。
次の資料が参考になると思われる。
・最新軍事用語集 英和/和英対訳 金森國臣/編 日外アソシエーツ 2007.2
和英編 p.947「母艦」の意味として次の掲載あり。
① depot ship
② mother ship
③ tender
英和編 p.288「mother ship」の意味として「母艦」あり。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 国防.軍事 (390)
- 参考資料
- キーワード
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- 軍事-用語集
- 潜水母艦
- 水上機母艦
- テンダーボート
- 飛行艇母艦
- 駆逐艦母艦
- 水雷母艦
- 航空母艦
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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国立国会図書館レファレンス協同データベース事業サポーター 様より
次の情報をいただいた。(2018/5/9)
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福井静夫.日本空母物語,光人社,1996.p.35
「英、米では空母はエアクラフト・キャリアー(Air craft Carrier)、つまり航空機運搬艦である。」
一般的な辞書で「mother ship」を引くと各種軍用母艦も当てられていますが、役割が違うため正確ではありません。現在の英語圏の軍事関係艦種の名称は「mother ship」を使用していません。
米英海軍では独自の搭載機あるいは搭載艇を持つものを「Carrier」、それらを持たず、洋上等で不特定多数に補給や乗員休養を行う基地機能を持たせたものを「Tender」と区別しています。
したがって「航空母艦」を英訳は「Air craft mother ship」ではなく「Air craft carrier」です。
海軍制度沿革 巻八.(明治百年史叢書第180巻),原書房,1971.p.54
「海軍大臣ニ於イテ軍艦及水雷艇ノ類別及等級ヲ定メ若ハ其ノ變更ヲ行フコトヲ得セシメラルルノ件」明治三十一年三月二十一日 達34
上記に「水雷母艦」が記され、日本で初めて「母艦」の用語が登場しました。英米の水雷母艦の艦種表記は「Torpedo boat tender」です。
さらにその後、同書p.56
「艦艇類別基準」大正九年四月一日 達37
「艦艇類別標準中左ノ通改定セラル別表中巡洋艦ノ欄ノ次に左の三欄ヲ加フ」
で「航空母艦」の艦種が指定されました。
なぜ「母艦」としたか史料は見つかりませんでしたが、以上2例から推定すると「母艦」は訳語ではなく日本による造語と思われます。日本では現在に至るまで「Carrier」「Tender」のように役割を細分化せず、全て「母艦」と称しています。
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- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000216702