レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/4/2
- 登録日時
- 2022/02/25 00:31
- 更新日時
- 2024/03/30 00:41
- 管理番号
- M21040217214738
- 質問
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水難除けのおまじないを知りたい。
- 回答
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①『三省堂年中行事事典』の「川浸り朔日(かわびたりついたち)」の項に旧暦十二月一日(朔日)の行事として、「この日は川浸り餅と呼ばれる小豆餅や小豆団子を作って川に流したり川辺に供えたりする所が多い。これは川でころばぬためとか河童に引かれないための呪いであるともいう。」とあり、「兵庫県では、早朝に鳥が鳴かぬうちに起きて茄子の漬物を食べると水に溺れない」近畿・中国地方では、「餅や団子を膝や鼻先など身体の一部に塗りつけて川に溺れぬ呪いとしている」などの例が挙げられている。
②『年中行事大辞典』の「かわびたり 川浸り」の項に「十二月一日に行われる水神祭祀の儀礼行事(中略)この日に川に餅を供えたり、川水に尻をつけると水難を免れるなどといわれている」とあり、各地の水難除けの行事が紹介されている。
③『江戸庶民のまじない集覧』には、『新撰咒咀調法記大全』の「十字の秘術」として「龍(れう)海川舟橋を渡る時、「龍」の字を書いて持つとよい。水難の憂いはない」を紹介している。さらに同書では、『重宝記永代鏡』の「舟に乗るのを忌む日」や『諸民必用懐中咒咀調法記』の「乗るとき小便をして泡が立たない時は必ず難があるので舟に乗ってはならず、疑ってはならない。」、『新撰咒咀調法記大全』から「川を渡るに無難な呪い」として「筆でも指でも「土」の字を書くとよい。朱で書いたのを持てばなお無難である。」などを紹介している。
十字の秘術については、『新撰咒咀調法記大全』のほか『咒咀調法記』、『増補咒咀調法記大全』にも同様の記述がみられる。
なお、『重宝記永代鏡』は④『重宝記資料集成 第4巻』に『諸民必用懐中咒咀調法記』、『新撰咒咀調法記大全』、『咒咀調法記』、『増補咒咀調法記大全』は⑤『重宝記資料集成 第16巻』に所収。
⑥『日本庶民生活史料集成 第十六巻』の「耳嚢」では「川狩の難を遁るゝ歌の事」として「ひふすべに飼置せしをわするゝな川立おとこうぢはすがわら」という歌が紹介されており、「これとほぼ同じ歌は河童除けの呪歌として各地に伝えられている。」とある。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 年中行事.祭礼 (386 9版)
- 参考資料
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①田中宣一『三省堂年中行事事典』 三省堂,2012,470,24p.参照はp.393-394.
②加藤友康ほか『年中行事大辞典』 吉川弘文館,2009,725p. 参照はp.212-213.
③長友千代治『江戸庶民のまじない集覧』勉誠出版,2020,354.
参照はp.66,189-190.
④長友千代治『重宝記資料集成 第4巻』 臨川書店,2005, 364p.参照はp.286.
⑤『重宝記資料集成 第16巻』臨川書店,2006, 442p. 参照はp.28,128,211,243,291.
⑥谷川 健一『日本庶民生活史料集成 第十六巻』 三一書房,1970,835p. 参照はp.503,514.
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①田中宣一『三省堂年中行事事典』 三省堂,2012,470,24p.参照はp.393-394.
- キーワード
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- 水難除け まじない 川浸り 河童
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- M2021040217281114738
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 全年齢
- 登録番号
- 1000312501