レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年08月22日
- 登録日時
- 2021/01/27 10:32
- 更新日時
- 2021/01/27 11:30
- 管理番号
- 千県中千葉-2020-05
- 質問
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解決
オビシャ神事、雷神オビシャについて概要が知りたい。
- 回答
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1 オビシャ神事の概要は、以下の図書にまとまっています。
【資料1】『千葉大百科事典』(千葉日報社編集 千葉日報社 1982)
p135 おびしゃ
「歩いて的を射る行事で、歩射からきたもので、その年の作物の豊凶を占う行事である。最近は歩射の行事を行わないで、ただ集まって飲み食いすることのみが残っている。」
【資料2】『千葉県の歴史 別編民俗1』(千葉県史料研究財団編集 千葉県 1999 県史シリーズ 34 総論)
p235-239 第三章 年中行事 八 オビシャ
「県下にはオビシャと呼ばれる正月に弓で的を射る行事が広くみられる。…この行事はムラを単位になされるが、正月にあたりその年の豊凶を占う年占、的の鬼の字を矢で破り、ムラに悪しきものが入らぬことを願う破魔の二つの意味がある。県下では様々な様式がみられ、なかには弓を射ることのないものもみられる。」
【資料3】『日本の民俗 12 千葉』(第一法規 1974)
p213-214 十一 年中行事 1 正月の行事 オビシャ
「中・下旬から二月上旬にかけ、特に市原市・長生郡以北に濃密に分布するものにオビシャ(お歩射)がある。…いまオビシャの大部分は村の諸役・神社に奉仕する当番の授受・初会合と、その後の共同飲食が主である…」
【資料4】『千葉県民俗地図 昭和57年度 千葉県緊急民俗文化財分布調査報告書』(千葉県民俗文化財分布調査団編集 千葉県教育委員会 1983)
p63にオビシャ(祭礼)の県内分布図があります。オビシャの種類別の分布がわかります。
【資料5】『房総の祭事』(千葉県神社庁特殊神事編纂委員会編 千葉県神社庁 1984)
p13 おびしゃ
「通常おびしゃと称され、関東の他県でも行われているが、県内では利根川沿いの東葛飾・印旛・香取郡地方、および九十九里沿岸の山武・長生郡地方に数多く分布する。」
【資料6】『オビシャはつづくよ400年 年のはじめの村まつり』(千葉県立関宿城博物館編 千葉県立関宿城博物館 2019)
p5 「基本的には、ムラの仲間達が1~2月頃に集まり、新年を祝う行寺ですが、場所によって内容は様々です。よく知られているのは、弓矢で的を射る弓射儀礼ですが、これを行わないオビシャもあり、またそれ以外にもいろいろな儀礼が見られます。」
p6,7には弓射を行うオビシャ、行わないオビシャの市町村別分布図があります。
【資料7】阿南透「オビシャ研究史」(『野田市史研究』第9号 1998.3)p119-154
これまでのオビシャに関する研究をまとめています。p149-153に参考文献の一覧があります。さらに詳しくお調べになりたい場合は、こちらに記載の文献をご参照ください。
また、千葉県立図書館HPで公開している千葉県関係のデータベース「菜の花ライブラリー」(http://www.library.pref.chiba.lg.jp/nanohana/)をキーワード「オビシャ」で検索すると、関連する論文や新聞記事の一覧が見られます。
2 雷神オビシャについては、以下の図書に「雷神ビシャ」として記述がありました。
【資料8】『流山のおびしゃと祭り』(流山市立博物館 1984)
p160-161にオビシャ一覧表があり、流山市の向小金新田地区と名都借地区で「雷神ビシャ」を行ったとの記録があります。
p99には向小金新田の雷神ビシャについての記述があります。
「雷神ビシャ 一月二八日 雷神ビシャは殆ど二〇日ビシャと同じ事が行われた。…以前は雷神講を作り、茨城県金村の雷神社まで代参でお礼を迎えてきて各家に配ったが、大変なので全員で雷神社に参拝し、講を解散した。」
なお、二〇日ビシャについてはp96-98に準備から当日の祭典の様子、片付けまでの流れが記録されています。
また、「雷神ビシャ」という名称ではありませんが、流山市の鰭ヶ崎地区にある雷(いかづち)神社でもオビシャ神事が行われています。以下の資料に記述があります。
【資料9】『東葛流山研究 第16号/東葛観光歴史事典』(流山市立博物館友の会事務局 1997)
p11 雷神社のおびしゃ
「むかし鰭ヶ崎のあたりは原野湿地帯だったが、開拓され農村となった。…水田地帯であったから大雷神(天に昇って雷を支配し、災難を除いたり慈雨を恵むという)を祭神とし、先祖代々尊崇してきたのだ。…雷神社(六社大神社)のおびしゃ行事は享保年間(一七一六~三六)に始まり、約三〇〇年の伝統をもつ。」
このほか、当日の神事の流れも記載されています。
【資料10】『東葛流山研究 第18号』(流山市立博物館友の会事務局 1999)
p30-31 雷神社の由来とおびしゃ
「流山の雷神社では、毎年新春の行事として一月二十日におびしゃが行われる。赤鬼や青鬼の的に向かって、神官や氏子総代が弓を射る行事で、これが終わると社務所で直会の祝宴が始まる。」
【資料8】のp66-68にも、鰭ヶ崎地区のオビシャの準備から当日の祭典の様子、片付けまでの流れが記録されています。
- 回答プロセス
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千葉県資料室開架の辞典類、県史、民俗の棚をブラウジング。【資料1】~【資料6】に記載あり。
当館HPで公開している千葉県関係のデータベース「菜の花ライブラリー」(http://www.library.pref.chiba.lg.jp/nanohana/)を「雷 オビシャ」で検索。
「「今年はいい年になる」 おびしゃ行事」(『千葉日報』平成29年1月21日)p8 がヒット。
雷神社のおびしゃ行事の記事。
Googleで「おびしゃ」と検索。「オビシャ-野田市」のPDFファイルがヒット。(野田市のホームページ「野田の歴史」(https://www.city.noda.chiba.jp/shisei/profile/1000779.html)中、「民俗」の項にあるもの。)オビシャの紹介が載っており、p1に【資料7】の情報が掲載されている。
当館蔵書検索システムにて全項目「オビシャ」、資料種別「千葉県資料」で千葉県資料を検索。
【資料8】p161-161のオビシャ一覧表の向小金新田・名都借地区に「雷神ビシャ」とあり。
菜の花ライブラリーを「雷神社」で検索。【資料9】【資料10】がヒット。
確認したが雷神ビシャに関する記載のなかった資料
『オビシャ文書の世界 関東の村の祭りと記録』(水谷類編 岩田書院 2018)
(インターネット最終アクセス:2020年9月4日)
- 事前調査事項
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『雷の民俗』(青柳智之著 大河書房 2007)
- NDC
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- 年中行事.祭礼 (386 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】『千葉大百科事典』(千葉日報社編集 千葉日報社 1982)(9200345350)
- 【資料2】『千葉県の歴史 別編民俗1』(千葉県史料研究財団編集 千葉県 1999 県史シリーズ 34 総論)(0200721971)
- 【資料3】『日本の民俗 12 千葉』(第一法規 1974)(9200293094)
- 【資料4】『千葉県民俗地図 昭和57年度 千葉県緊急民俗文化財分布調査報告書』(千葉県民俗文化財分布調査団編集 千葉県教育委員会 1983)(9200292758)
- 【資料5】『房総の祭事』(千葉県神社庁特殊神事編纂委員会編 千葉県神社庁 1984)(9200293648)
- 【資料6】『オビシャはつづくよ400年 年のはじめの村まつり』(千葉県立関宿城博物館編 千葉県立関宿城博物館 2019)(0201102940)
- 【資料7】阿南透「オビシャ研究史」(『野田市史研究』第9号 1998.3)p119-154(0501075538)
- 【資料8】『流山のおびしゃと祭り』(流山市立博物館 1984)(9200293782)
- 【資料9】『東葛流山研究 第16号/東葛観光歴史事典』(流山市立博物館友の会事務局 1997)(0501087889)
- 【資料10】『東葛流山研究 第18号』(流山市立博物館友の会事務局、1999)(0500037612)
- キーワード
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- オビシャ(オビシャ)
- 神社(ジンジャ)
- 年中行事-千葉県(ネンチュウギョウジ-チバケン)
- 祭り-千葉県(マツリ-チバケン)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000292983