レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020/12/23
- 登録日時
- 2021/01/05 00:30
- 更新日時
- 2021/06/18 14:10
- 管理番号
- 8765433
- 質問
-
解決
『木地屋のふるさと』(橘文策/著 未来社 1963年刊)p.110からp.111に『和国職人絵尽』(貞享2年刊)から引用した図が記載されており、木地屋について調べている。
『和国職人絵尽』で検索してみましたが、該当の資料が見つけられませんでした。もし、所蔵している図書館があればご教示いただきたい。
- 回答
-
【 】内は当館請求記号です。
国立国会図書館デジタルコレクション( https://dl.ndl.go.jp/ )でインターネット公開している資料については、書誌事項末尾に◎を付しています。
ご照会の『和国職人絵尽』は、日本古典籍総合目録データベース( https://base1.nijl.ac.jp/~tkoten/ )において、「統一書名」が『和国諸職絵尽』とされているものと考えられます。
『和国諸職絵尽』著作詳細ページ http://dbrec.nijl.ac.jp/KTG_W_543975
上記データベースには成立年が「貞享二刊」とあり、資料1の複製には貞享2年の刊記はありますが版元名はなく、現存諸本で初版として完備したものはないということです(資料2、3)。
データベースの「別書名」の項にある「職人絵尽」、「和国諸職絵つくし」等のほか、『和国職人絵尽』と呼ばれることもあるようです(資料4、5)。
『木地屋のふるさと』【384.3-Ta939k】p.110に「第三図 和国職人絵尽(貞享二年版)より」として挙げられた図は、『和国諸職絵尽』の「ろくろし」(轆轤師)の絵を参考に描かれたと思われます。
資料1
黒川真道 編『日本風俗図絵. 第2輯』日本風俗図絵刊行会,大正3【195-176】◎
* 第2輯には『和国諸職絵尽』、『姿絵百人一首』の影印が収録されており、『和国諸職絵尽』の刊記(53コマ)に貞享2年とあります。また、「ろくろし」の絵は22コマにあります。該当箇所のURLは以下のとおりです。
刊記 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1266515/53
ろくろし https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1266515/22
資料2
天理図書館善本叢書和書之部編集委員会 編『天理図書館善本叢書. 和書之部 第67巻 (師宣政信絵本集)』天理大学出版部,1983.3【US1-13】
* 『和国諸職絵つくし』の影印(pp.277-384)と巻末に同書の解題(pp.15-16)があります。解題によると「『日本風俗圖繪』第二輯に復刻された本は、三行の刊語のあと、 貞享貳年丑二月吉日 繪師菱川師宣(印) とあり、版元名を欠いている。(中略)この刊記より「貞享貳年丑」を削ったのが天理圖書館本で、パリ國立圖書館本も同じである。内閣文庫・國立國會圖書館・東京藝術大學附屬圖書館所蔵本は刊記を欠いている。」(p.15)ということです。
*上述の国立国会図書館蔵本は、以下です。
菱川師宣 画『和国諸職絵つくし』【寄別5-7-1-9】◎
*「ろくろし」の絵は21コマにあります。
資料3
『東西の職人図絵 : 復刻版』竹尾,1990.1【W166-74】
* 第1部 和国諸職絵つくしの解説冊子に、鈴木重三「『和国諸職絵つくし』解説」(pp.117-134)が収録されており、「現在伝わる諸本のどれにも、大小の差こそあれ何か欠陥があり、内容も彼此混乱があって(中略)諸本を整理した結果をもとに(中略)まずは初版の様相に近づけたかと思う様態に仕立ててみた」(pp.133-134)とあります。また、書名や復刻本についての説明もあります。題簽には「「歌合 菱河 職人絵つくし 上一」、そして続く各冊は題簽の漢字と仮名のあて方に多少ずつ変化を与えた表記となっている(中略)題簽の書名が後の版になると別の題に変わる」(p.118)、資料1は「写真版でなく、模写によったと見られ(中略)細部に不正確さがある」、資料2は「影印本(写真版)で、寸法はやや縮小されているが、調査研究上信憑度は高い」(pp.124-125)ということです。
資料4
原田多加司 著『古建築修復に生きる : 屋根職人の世界』吉川弘文館, 2005.3【KA71-H23】
* 資料1の7コマ左と同じ図様の図版について、「図7 江戸時代中期の檜皮葺師(『和国職人絵尽』)」との説明が付されています(p.31)。
資料5
笹間良彦 編著『資料・日本歴史図録』柏書房, 1992.11【GB17-E22】
* 資料1の22コマのろくろ師を元に描いたとみえる絵があり、「木製品(『和国職人絵尽』)」の説明が付されています(p.250)。
〔主な調査済み資料・ウェブサイト〕
日本古典文学大辞典編集委員会 編『日本古典文学大辞典. 第6巻 (もーを・索引)』岩波書店, 1985.2【KG2-70】
* 「和国諸職絵づくし」の項(p.350)があります。
松平進 著『師宣祐信絵本書誌』青裳堂書店, 1988.6【KC172-E16】
* 「31 和国諸職絵つくし」の項(pp.86-89)があります。
菱川師宣 [画] ; 千葉市美術館 編『「菱川師宣」展図録』千葉市美術館, 2000.10【KC16-G2320】
* 「144 『和国諸職絵つくし』」の項(p.186)があります。
島居清 著『芭蕉連句全註解. 第2冊』桜楓社, 1979.10【KG258-9】
* 「「和国職人絵尽」にサイコロの側に鹿の角が置いてある絵があり、鹿角はサイコロの材」との記載があり(p.86)、資料1の21コマに該当の図があります。
芸艸堂 編『浮世絵名画全集. 4』芸艸堂, [大正--]【16-271】◎
* 『和国諸職絵尽』の複製で、刊記は51コマ、「ろくろし」の絵は20コマにあります。
* 資料3によると、資料1の内容そのままに再摺したものということです。
近世職人画像データベース https://www.rekihaku.ac.jp/up-cgi/login.pl?p=param/kins/db_param
* キーワードに「轆轤」等と入力して検索すると、轆轤が描かれた資料画像の閲覧が可能です。
東坊城和長 書 ; 土佐光信 画『職人尽歌合 3巻』谷岡七左衛門,明暦3 [1657]【寄別5-7-1-7】◎
* 25コマにろくろが描かれています。
該当箇所のURL:https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2541160/25
橘岷江 画『彩画職人部類』高津伊助[ほか1名],天明4【寄別5-6-4-3】◎
* 8コマにろくろが描かれています。
該当箇所のURL:https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1286831/8
銕廼屋大門 ; 五柳園一人 編『今様職人尽歌合』文政8 [1825]
* 新日本古典籍総合データベースで画像の閲覧が可能で、59コマ目にろくろが描かれています。
該当箇所のURL:https://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/200015532/viewer/59
『建保職人歌合』【ぬ二-20】◎
* 轆轤引の絵があります。
該当箇所のURL:https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2540832/28
『日本庶民生活史料集成. 第30巻』三一書房, 1982.5【382.1-N6882】
* 別冊に索引があり、「轆轤」、「轆轤し」等の項があり、所収史料と本編掲載箇所がわかるようになっています。
ウェブサイトの最終アクセスは2020年12月23日です。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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・『古典籍総目録 第2巻』→『和国諸職絵尽』の中に『職人絵尽』の記載あり。玉川大学図書館に所蔵があるとなっていたが、見つけられなかった。
・『和国諸職絵尽』で検索。貴館のデジタルコレクションに当たったので閲覧したが、『職人絵尽』はなかった。このほかに『日本風俗図会集』(日本名 著刊行会/編 復刻版 1983年)を県立図書館から借用し、確認したが『和国職人絵尽』はなかった。
- NDC
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- 社会.家庭生活の習俗 (384 10版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 所蔵機関調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000291891