レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/06/29
- 登録日時
- 2022/11/22 00:30
- 更新日時
- 2024/03/30 00:42
- 管理番号
- M22062918136722
- 質問
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「自助・共助・公助」という言葉はいつ頃から使われるようになったのか。初出が分かれば知りたい。
- 回答
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明確な初出はわからなかったが、早い時期の使用例について、参考になるものがいくつかあった。
社会福祉関係の事典類(①②③)の「自助」「共助」「公助」および「互助」などの項目を見ると、「自助・共助・公助」(または「自助・互助・公助」)については、1986年の全国社会福祉協議会の諮問機関である社会福祉基本構想懇談会の「社会福祉改革の基本構想」において使われているという。
「社会福祉改革の基本構想」(④)は、国立社会保障・人口問題研究所のホームページ(ホーム→刊行物の案内→所内研究報告→日本社会保障資料Ⅳ(1980-2000)目次→資料目次→社会福祉関係1980年代→No.296)で全文を見ることができる。確認したところ、「自助・共助・公助」ではなく「公助・互助・自助」が使われている。
⑤「「自助・共助・公助」という分け方は適切なのか?」では、「「自助・共助・公助」(三助)の言葉自体は、おもに社会保障分野と防災・災害支援分野で使われますが、だれが言い始めたのかは「詠み人知らず」です。防災・災害支援分野では2000年頃から使われ始めました。社会保障分野で本格的に三助が使われたのは、1994年に発表された「21世紀福祉ビジョン 少子・高齢社会に向けて」です」とある。
なお、この記事の出典(⑥)は未所蔵のため未確認だが、同じ著者の以前の論文「「自助・共助・公助」という表現の出自と意味の変遷」(⑦)に詳しい記述がある。これによれば、「21世紀福祉ビジョン」より以前は、「自助・共助・公助」のうちの「共助」が「互助」という表現のほうが一般的だったという。
「21世紀福祉ビジョン:少子・高齢社会に向けて」(⑧)も、国立社会保障・人口問題研究所のホームページ(ホーム→刊行物の案内→所内研究報告→日本社会保障資料Ⅳ(1980-2000)目次→資料目次→総論 社会保障→No.18)で見ることができ、「自助・共助・公助」が使われていることが確認できる。
⑨「厚生労働省の「自助・共助・公助」の特異な新解釈」では、二木立(⑤⑥⑦の著者)の論文を出典として、「「自助・共助・公助」という用語が使われるようになったのは、政府関係文書では「21世紀福祉ビジョン」(1994年)が最初だったと言われる」「「自助・互助・公助」の比較的早い使用例は1982年」などの記述があり、また、「社会福祉改革の基本構想」も「自助・互助・公助」の早い使用例として挙げられている。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 社会福祉 (369 9版)
- 参考資料
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①成清美治 編集代表『現代社会福祉用語の基礎知識 第13版』学文社, 2019.3, 313p. 参照はp.101, 118, 142.
②日本社会福祉学会事典編集委員会 編『社会福祉学事典』丸善出版, 2014.5, 784p. 参照はp.32.
③山縣文治 編集委員代表『社会福祉用語辞典 第9版』京都, ミネルヴァ書房, 2013.4, 363p. 参照はp.59, 84, 126.
④社会福祉基本構想懇談会「提言:社会福祉改革の基本構想」(最終閲覧日2022.6.28)
https://www.ipss.go.jp/publication/j/shiryou/no.13/data/syakaifukushi1980.html
→No.296 https://www.ipss.go.jp/publication/j/shiryou/no.13/data/shiryou/syakaifukushi/296.pdf
⑤二木立「「自助・共助・公助」という分け方は適切なのか?」(最終閲覧日2022.6.28)
http://cpri.jp/4648/
⑥二木立「「自助・共助・公助」という分け方は適切なのか?:三助の変遷をたどって考える」『社会運動』442号, 市民セクター政策機構, 2021.4, p.70-80.
⑦二木立「「自助・共助・公助」という表現の出自と意味の変遷」『安倍政権の医療・社会保障改革』勁草書房, 2014.4, p.158-163.
⑧高齢社会福祉ビジョン懇談会「21世紀福祉ビジョン:少子・高齢社会に向けて」(最終閲覧日2022.6.28)
https://www.ipss.go.jp/publication/j/shiryou/no.13/data/syakaihosyou01.html
→No.18 https://www.ipss.go.jp/publication/j/shiryou/no.13/data/shiryou/souron/18.pdf
⑨里見賢治「厚生労働省の「自助・共助・公助」の特異な新解釈:問われる研究者の理論的・政策的感度」『社会政策』5巻2号, 社会政策学会, 2013.12.30, p.1-4. (最終閲覧日2022.6.28)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/spls/5/2/5_KJ00009001422/_article/-char/ja/
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①成清美治 編集代表『現代社会福祉用語の基礎知識 第13版』学文社, 2019.3, 313p. 参照はp.101, 118, 142.
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- M2022062918114236722
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 全年齢
- 登録番号
- 1000324451