レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年06月25日
- 登録日時
- 2022/07/01 19:15
- 更新日時
- 2022/09/22 12:46
- 管理番号
- 関大総図 22N-9J
- 質問
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解決
法人税法施行令(昭和46.3.31政令71号)において、法人税の非課税対象として、不動産貸付業のうち宗教法人等が行う墳墓地の貸付業が追加された理由(立法趣旨)について知りたい。
どの資料に記載されているか。
- 回答
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結論から申し上げますと、お尋ねの立法趣旨が明記されている資料は見つかりませんでした。ただ、調査過程で、既にご存知かもしれませんが、参考となる判例がありましたので、お伝えします。
以下判例において、墳墓地貸付業の除外理由について言及がありました。
「法人税更正処分取消請求事件 東京地判平成24年1月24日
原告は・・・〈1〉宗教法人による墳墓地の貸付業が収益事業から除外されているのは、宗教法人が行う霊園事業に対して、政策上特別の税法上の優遇を与えることで、墓地の維持管理を宗教法人に安定的に提供させる趣旨であること、〈2〉墓地埋葬法や地方税法の規定と法人税法施行令の規定とを合目的的に解釈すれば、墳墓と土地部分の貸付けを非課税とする趣旨であること・・・を挙げる。
しかし・・・上記〈1〉については、法人税法及び法人税法施行令が公益法人等に対する税制上の優遇措置を設けた趣旨は・・・公益法人等が社会的に有用な非営利活動を行う範囲では税制上の便宜を提供することとはするものの、他の個人事業者や法人と同様に収益を生ずべき事業を行っている場合に当該事業から生じた収益に対しては課税することとしたというものであって、墓地の維持管理の安定的供給を目的としたものとはいえない。また・・・〈2〉については、墓地埋葬法が墳墓及び墓地の定義規定を置いているからといって、法人税法施行令にいう「墳墓地」がその両者を併せたものになるというものではないし、地方税法が墓地を非課税の固定資産としているからといって、法人税法が墓地と墓石等の貸付けの両者を非課税とする趣旨であると解することができないことはいうまでもない・・・
そして、確かに、法人税法施行令五条一項五号ニに規定する「墳墓地」の意義について定めた規定はなく、その意義は明確であるといい難いものの、同号が不動産貸付業のうち、収益事業に該当しないものについて規定したものであることからすれば、「墳墓地の貸付業」とは、不動産の貸付業の一部であると解するのが合理的であり、そうであるとすれば、「墳墓地」とは、墓石及びカロートを設置するために区画された土地の部分だけを指すと解するのが相当・・・」
上記、あくまで一般的な説明にとどまっており、墳墓地貸付が除外されたことの、より具体的な理由を見出すことはできませんでした。
また、以下の資料も通覧しましたが、当規定につき、上記判例より詳細な説明は見当たりませんでした。
『公益法人の税務』現代税務全集23 日本税理士会連合会編集 ; ぎょうせい, 1984.
『詳解公益法人課税』武田昌輔著. -- 新訂版. -- 全国公益法人協会, 2000.
『逐条例解 法人税基本通達』山上一夫著. -- 新訂. -- 中央経済社, 1971
『宗教法人の税務調査対応ハンドブック : 宗教法人税制と法制の解説を含めて』石村耕治編. 清文社, 2012.
『日税研論集』日本税務研究センター 60号 特集「非営利法人課税」
郡司博道「「墳墓地貸付業」という独断的規定に対する宗教者の提言」『全仏』No.168
http://www.jbf.ne.jp/newsletters?page=480 【最終アクセス2022/08/31】
「昭和46年度法人税法の改正」『時の法令』750号
中牟田智朗「宗教法人が営む収益事業についての税法上の問題点」『かやのもり:近畿大学産業理工学部研究報告』27号
https://kindai.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=19102&item_no=1&page_id=13&block_id=21 【最終アクセス2022/08/31】
中野百造「宗教法人の収益事業に掛かる収入の範囲」『別冊ジュリスト』178号
藤谷武史「非営利公益法人の所得課税」『ジュリスト』1265号
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 宗教 (160)
- 企業.経営 (335)
- 租税 (345)
- 参考資料
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- 日本税理士会連合会編集. 公益法人の税務. ぎょうせい, 1984. (現代税務全集) 23 (当館請求記号 *336.98*G34*23, 当館資料番号 203143388)
- 武田昌輔. 詳解公益法人課税 新訂版. 全国公益法人協会, 2000. , ISBN 4915668118 (当館請求記号 N8*336.98*31, 当館資料番号 208404970)
- 山上一夫. 逐条例解 法人税基本通達 新訂. 中央経済社, 1971. (当館請求記号 *328.345*Y4*1(2), 当館資料番号 300147864)
- 日本税務研究センター編. 特集「非営利法人課税」. 日税研論集 = Journal of Japan Tax Research Institute 60号 (当館請求記号 M*345.05*N1, 当館資料番号 410620033)
- 中野百造. 宗教法人の収益事業に掛かる収入の範囲. 有斐閣, 2005. 別册ジュリスト 41(5) (当館請求記号 M*320.5*J1-2*41(5), 当館資料番号 410317403)
- 藤谷武史. 非営利公益法人の所得課税. 有斐閣, 2004. ジュリスト (当館請求記号 M*320.5*J1, 当館資料番号 410259012)
- キーワード
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- 法人税法--判例--日本
- 公益法人
- 宗教団体
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 大学院生
- 登録番号
- 1000317904