レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017/09/15
- 登録日時
- 2017/12/11 00:30
- 更新日時
- 2017/12/12 13:05
- 管理番号
- 千県中参考-2017-10
- 質問
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解決
1945年10月11日のマッカーサー・幣原会談の記録を探している。
会談の内容は大まかに言うと「戦後の日本をどうするか」「憲法をどうするか」。
今年8月頃のTBSの報道番組によると、幣原首相側から現在の9条の理念が提案されたとのこと。
マッカーサーは一瞬驚いた後、素晴らしいと述べて賛意を示したらしい。
現在の自民党は憲法改正を党是としており、それは押しつけ憲法であるからということであるが、上の経緯が事実であれば、押しつけ憲法ではないことになると思う。
- 回答
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1945年10月11日の会談については要旨が見つかりましたが、該当の記述は見当たりませんでした。
1946年1月24日の会談で憲法について話し合われ、「戦争を禁止する条項を憲法に入れるようにという提案」が幣原首相からあったとする資料が見つかりました。典拠は会談記録ではなく書簡、証言等です。
(1)1945年10月11日会談についての資料
【資料1】「總理「マクアーサー」会談要旨 昭二0、一0、一三、昭和廿年十月十一日幣原首相ニ對シ表明セル「マクアーサー」意見」
【資料2】『日本外交文書 占領期第1巻 占領政策への対応』p230-235「「總理「マクアーサー」会談要旨」
→【資料1】【資料2】は同内容と見られ、【資料1】はインターネットでの閲覧が可能。
【資料3】『日本国憲法制定の系譜 Volume3 戦後日本で』
→p383-393「3.6.3 幣原の新任挨拶と憲法制定-10月11日[木曜日]の会談」に、要旨、解説あり。
(2)1946年1月24日会談についての資料
【資料4】「憲法九条と幣原喜重郎 : 憲法調査会会長高柳賢三・マッカーサー元帥の往復書簡を中心に」
【資料5】「高柳会長とマッカーサー元帥及びホイットニー準将との間に交わされた書翰」
→「高柳会長からマッカーサーへ」(1958.12.10)、「マッカーサーから高柳会長へ」(1958.12.15)の書簡で該当記述を確認できる(p24「戦争を禁止する条項を憲法に入れるようにという提案は、幣原首相が行ったのです」等)。国立公文書館デジタルアーカイブでの閲覧、又は国立国会図書館への郵送コピーの申込みが可能。
【資料6】『日本国憲法第9条成立の思想的淵源の研究 「戦争非合法化」論と日本国憲法の平和主義』
→p103に「幣原は、例えば1946年1月24日にダグラス・マッカーサー最高司令官を訪ねて長時間の会談を行い、その中で戦争放棄の必要性をマッカーサーに訴えたとされる」とあり、前後や註にも関連記述あり。
(インターネット最終アクセス:2017年9月15日)
- 回答プロセス
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(1)質問の出典について
Google「マッカーサー 幣原 "TBS"」により検索、8月5日放送の「報道特集」と見られる。
「報道特集」特集アーカイブ「戦争と憲法~平和憲法の原点に迫る (2017/8/5 放送)」(TBS)
(http://www.tbs.co.jp/houtoku/onair/20170805_2_1.html#)
(2)1945年10月11日会談について調査
検索エンジンGoogleを「憲法」「幣原」「マッカーサー」「9条」等をキーワードに検索。
ア 国立国会図書館電子展示会「日本国憲法の誕生」(http://www.ndl.go.jp/constitution/index.html)
【資料1】「總理「マクアーサー」会談要旨 昭二0、一0、一三、昭和廿年十月十一日幣原首相ニ對シ表明セル「マクアーサー」意見」
→「1-20 幣原首相・マッカーサー会談 1945年10月11日」(http://www.ndl.go.jp/constitution/shiryo/01/033shoshi.html)のページよりアクセス。解説に「新任挨拶のために総司令部を訪れた幣原首相とマッカーサーの会談記録及び会談の中でマッカーサーが表明した意見」とあり。テキストを通覧するが、該当記述見当たらず。
【資料7】「詳細年表 1 1939年9月1日~1945年10月25日」
(http://www.ndl.go.jp/constitution/etc/history01.html)
→10月11日「幣原、マッカーサーを訪問し、憲法の自由主義化の示唆および人権確保の五大改革指令を受ける。」
【資料8】「詳細年表 2 1945年10月27日~1946年1月31日」
(http://www.ndl.go.jp/constitution/etc/history02.html)
→1月24日「幣原、マッカーサーと会談(天皇制存続と戦争放棄に関して話合い)」
イ 【資料9】「「9条は幣原提案」 新史料_マッカーサー書簡に明記 堀尾・東大名誉教授が発見_「押し付け憲法」論を否定」(2016年8月19日 日本共産党中央委員会)
(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-08-19/2016081901_01_1.html)
→「9条は、1946年1月24日に幣原首相とマッカーサー最高司令官との会談が発端となったとみられています」等の記述あり。
→【資料9】を手がかりに「国立国会図書館サーチ」(http://iss.ndl.go.jp/)を「堀尾 幣原」により検索、【資料4】へ。
(3)会談記録の探索
「リサーチ・ナビ」(http://rnavi.ndl.go.jp/rnavi/)を「会談 記録」により検索、下のレファレンス事例を参考に「日本外交文書」にあたる。
「1951年(昭和26年)1月から2月にかけて訪日した米国のダレス特使が吉田茂首相と日本の再軍備問題について話し合った記録はありますか。」(外務省外交史料館)
(https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000092063)
【資料2】『日本外交文書 占領期第1巻 占領政策への対応』
【資料10】『日本外交文書 占領期第2巻 外交権の停止・日本国憲法の制定・中間賠償・他』(外務省編 六一書房 2017)
→日付索引昭和20年10月11日より、【資料2】p230へ。
→日付索引昭和21年1-2月には「幣原・マッカーサー会談」と見られる文書見当たらず。
→【資料10】p983-1163「三 日本国憲法の制定」通覧するが、「幣原・マッカーサー会談」と見られる文書見当たらず。
(4)高柳・マッカーサーの往復書簡の探索
【資料4】【資料9】にあった高柳賢三憲法調査会会長とマッカーサーの書簡を探す。
「リサーチ・ナビ」を「憲法調査会」により検索。
【資料11】「憲法調査会資料(MF:国立公文書館蔵)」(国立国会図書館)
(https://rnavi.ndl.go.jp/kensei/entry/kennpouchousakaishiryou2.php)
→【資料5】が国立公文書館デジタルアーカイブで閲覧できることを確認。また、マイクロフィルムを所蔵する国立国会図書館憲政資料室に問い合わせたところ、下の目録の情報により、郵送複写の対応が可能とのこと。
「憲法調査会資料(MF:国立公文書館蔵)目録」
(https://rnavi.ndl.go.jp/kensei/tmp/index_kennpouchousakaishiryou2.pdf)
→資料番号207に「髙柳会長とマッカーサー元帥及びホイットニー准将との間に交わされた書翰」ありう
(5)NDC323.14(日本国憲法)の資料
当日は(4)までで、【資料1】【資料2】【資料4】【資料5】の情報を提供して終了した。
後日、関連する分類の書架にあたると、【資料3】【資料6】が見つかった。
- 事前調査事項
- NDC
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- 憲法 (323 9版)
- 外交.国際問題 (319 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】「總理「マクアーサー」会談要旨 昭二0、一0、一三、昭和廿年十月十一日幣原首相ニ對シ表明セル「マクアーサー」意見」(外務省原所蔵)(http://www.ndl.go.jp/constitution/shiryo/01/033/033_001r.html)
- 【資料2】『日本外交文書 占領期第1巻 占領政策への対応』(外務省編 六一書房 2017)(0106567295)
- 【資料3】『日本国憲法制定の系譜 Volume3 戦後日本で』(原秀成著 日本評論社 2006)(0105918350)
- 【資料4】堀尾輝久「憲法九条と幣原喜重郎 : 憲法調査会会長高柳賢三・マッカーサー元帥の往復書簡を中心に」(『世界』(882)2016.5)p100-109(0503807503)
- 【資料5】「高柳会長とマッカーサー元帥及びホイットニー準将との間に交わされた書翰」(憲法調査会 1959)(https://www.digital.archives.go.jp/das/image/F0000000000000331505)
- 【資料6】『日本国憲法第9条成立の思想的淵源の研究 「戦争非合法化」論と日本国憲法の平和主義』(河上暁弘著 専修大学出版局 2006)(0105916480)
- キーワード
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- 憲法-日本(ケンポウ-ニホン)
- 戦争の放棄(センソウノホウキ)
- 日本-対外関係(ニホン-タイガイカンケイ)
- 幣原 喜重郎(シデハラ キジュウロウ)
- MacArthur Douglas(マカーサー ダグラス)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000226185