①『イタリアを知るための62章』には、「教育制度は、初等教育、中等教育、高等教育からなる。2歳半から6歳までの保育園・幼稚園は義務教育ではない。1990年代末から教育改革が相次ぎ、イタリアの学校制度はいささか複雑になっているが、単純化すると次のようになる。まず第1課程があり、この課程は初等学校と前期中等学校からなる。初等学校は5年制で、修学年齢は一般的には6歳から11歳である。前期中等学校3年制で、年齢は11歳から14歳である。この8年間の第1課程は義務教育であり、日本の小学校・中学校に相当する。公立初等学校の学費や教科書は無料であるが、前期中等学校の教科書は有料。初等教育の授業時間数は上限が定められているが、父兄の要望などもあって学校によって1週間の授業時間数などは柔軟に対応される。前期中等学校も一般的には週6日で半日であるが、週5日で午前と午後に行われることもある。第1課程を修了すると第2課程となる。この課程は後期中等学校5年制からなる。修学年齢は14歳から19歳である。ただし専攻体系によって修学年数は異なる。後期中学校はいわゆる高等学校に相当し、文系・理系普通高校、芸術高校、技術高校などの普通高校のほか技術専門学校や職業専門学校などがあり、一定の条件の下で普通高等学校と専門学校との相互転学は可能である。どのコースからでも大学への進学の道は開かれている。」との記述がある。
②『世界の学校体系』には、教育制度について、「中央には、教育大学研究省が置かれ、教育全般に係る政策を所管する。学校制度や教育・職業訓練の目標、教育財政、高等教育政策、大学の質保証、教育に関する国際協力などに責任を負っている。地方には、州学校事務所や県学校事務所が置かれている。州学校事務所は、当該地域の初等中等教育や職業訓練、成人教育の実施や評価などを行う。県学校事務所は、州学校事務所の出先機関として、当該地域の学校の指導・監督などを行う。」また、学校体系(学年歴:9月~翌年6月)について、「就学前教育は、3~5歳児を対象に、幼稚園で行われる。義務教育は、6~16歳の10年である。初等教育は、6歳入学で5年間、小学校で行われる。前期中等教育は、3年間、中学校で行われる。中学校を修了すると、前期中等教育ディプロマを取得できる。後期中等教育は、5年制の高等学校や技術学校、職業学校で行われる。また、州から認可を受けた職業訓練所や中等職業訓練機関では、3~4年の職業教育・訓練プログラムが提供される。職業教育・訓練プログラムの修了者には、職業訓練資格証が付与される。高等教育は、大学や高等技術学校で行われる。入学資格は、後期中等教育ディプロマの取得者に認められる。大学には、分野により3~6年の学士課程、2年の修士課程、3~4年の研究博士課程が置かれており、修了者にはそれぞれ学士(Laurea)、修士、研究博士の学位が授与される。また、学士取得者を対象とする1年のディプロマ課程が置かれており、修了者には、学卒ディプロマが付与される。同様に、修士取得者に対しても、1年のディプロマ課程が置かれており、修了者には修士後ディプロマが付与される。高等技術学校には、2~3年の技術教育課程が置かれている。修了者には、上級技術者ディプロマが付与される。」との記述がある。