レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2010/04/16
- 登録日時
- 2010/09/11 02:00
- 更新日時
- 2010/09/21 12:33
- 管理番号
- 埼熊-2010-014
- 質問
-
未解決
十字架のデザインで十字と魚を組み合わせたような形(指定あり)のものについて、その由来を知りたい。
- 回答
-
質問のデザインについて記述のあるものは見つからなかった。
十字と魚を組み合わせた十字架等について記述のあった次の資料を紹介する。
十字と魚を組み合わせた十字架について
『世界シンボル大事典』(ジャン・シュヴァリエ著 大修館書店 1996)
p489に十字架の下部に魚がついているものの写真あり(白黒)。
解説:「十字架。キリスト教のシンボル。魚は、ここで十字架とつながっている。エジプトのコプト美術。4世紀-5世紀(パリ、ルーブル美術館)」
『図説世界シンボル事典』(ハンス・ビーダーマン著 八坂書房 2000)
p27-28「錨」の項に、錨と魚を組み合わせた図あり。p28によると、「錨綱を固定するための横木(ストック)が十字架を連想させたのである。キリスト教徒の墓には、錨の脇にシンボルとして同じように重要な魚やイルカが彫られていることも多い」とある。
キリスト教と魚との関係について
『総説キリスト教:はじめての人のためのキリスト教ガイド』(アリスター・E.マクグラス著 キリスト新聞社 2008)
p21、619-620にキリスト教と魚(ICHTHUS)の関係についての言及あり。
p21 「信仰を表すキリスト教の象徴で最も古いもののひとつは、1匹の魚である。この象徴が用いられたのは、ひとつには、最初の弟子たちが漁師だったことの反映かもしれない。しかし、真の理由は、「魚」を表すギリシア語の単語I-CH-TH-U-Sが、キリスト教の標語「イエス(Iesous)キリスト(Christos)神の(Theou)息子(Huios)救い主(Ster)」の最初の文字をとった頭字語だからである。」とあり。
p619-620にもICTHUSについての記述あり。
様々な十字架のデザイン
『168の十字架:そのシンボルと黙想』(宋炳九 キリスト新聞社 2009)
魚やイクトゥス(イクスース)をモチーフにしたものも紹介されているが、質問の図柄と一致するものはなかった。
- 回答プロセス
-
キリスト教関連資料NDC分類〈19〉、シンボル・デザイン関連資料NDC分類〈70〉等を調査する。
回答以外の調査資料は次のとおり。
『地図と絵画で読む聖書大百科 ビブリカ』(バリー・J.バイツェル監修 創元社 2008)
『聖書考古学大事典』(M.アヴィ・ヨナ編 講談社 1984)
『新キリスト教辞典』(宇田進編 いのちのことば社 1991)
『キリスト教大事典 改訂新版』(教文館 1981)
『キリスト教用語独和小辞典』(川口洋編著 同学社 1996)
p346 付録の「Kreuz」一覧に19種類の十字架のデザインがあるが、質問の図柄と一致するものはなかった。
「イクトゥス」あるいは「魚」に該当する項なし。
『キリスト教百科事典』(小林珍雄編 エンデルレ書店 1978)
p794 「じゅうじか」の項には「形状多種」としか記述なし。
p123 「イクトゥス」 p190-191〈うお〉に写真があるが、質問の図柄ではない。
『世界キリスト教百科事典』(教文館 1986)
『図説キリスト教文化事典』(ニコル・ルメートル著 原書房 1998)
p16に「イクトゥス」の項、p134に「キリスト教のシンボルとしての十字」の図あるが、
質問の十字架の記述はなし。
『岩波キリスト教辞典』(大貫隆編 岩波書店 2002)
「イクテュス」からp429-430「魚」、p519「十字架」の項はあるが、質問の十字架についての記述はなし。
『十字架:その歴史的探究』(マルティン・ヘンゲル ヨルダン社 1983)
『十字架について』(熊谷直俊著 聖公会出版 1987)
『世界キリスト教百科事典』(教文館 1986)
『キリスト教シンボル・デザイン事典』(W.E.ポウスト著 教文館 2007)
『キリスト教シンボル事典』(ミシェル・フイエ著 白水社 2006)
p18「錨」によると、「古代キリスト教図像では、錨はしばしばキリストの十字架を思わせる形に描かれている。また錨は、海に関わる他のキリスト教シンボル、たとえばイルカや魚といっしょに描かれることが多い。」とあり。
p75-76 「魚」の項に、「ICHTUS」についての記述あり。十字架についてはなし。
p88-89 「十字架」の項によると、十字架のシンボルを錨などで代用することについて記述あり。
⑲『西洋シンボル事典』(G.ハインツ=モーア著 八坂書房 1994)
p154-157「十字架」の項に解説と29種類の十字架の図あるが、質問の図柄はなし。
p130-133「魚」の項あるが、十字架との関連の言及なし。
『図像学事典』(水之江有一著 岩崎美術社 1991)
p224「魚」の項に、「IX■( )YΣ」についての記述あり。十字架についてはなし。
索引から「錨」「十字架」についてみたが、該当する記述なし。
『キリスト教美術図典』(柳宗玄編 吉川弘文館 1990)
p407 「錨」の項には該当する記述なし。
p364-365 「魚」の項に、「IX■( )YΣ」についての記述あり。十字架についてはなし。
p389-391「十字架」の項、十字架の図柄に該当するものなし。
『聖書象徴事典』(マンフレート・ルルカー著 人文書院 1988)
p169-171「魚」の項に、「Ichthys」の記述あり。十字架についてはなし。
『シンボル事典』(水之江有一著 北星堂書店 1985)
『元型と象徴の事典』(アーキタイプ・シンボル研究文庫編 青土社 1998)
『象徴図像研究 動物と象徴』(松枝到編 言叢社 2006)
『シンボル・コードの秘密』(ティム・ウォレス=マーフィー著 原書房 2006)
『シンボルの世界 図説・聖なる言葉・叢書』(デイヴィッド・フォンタナ著 河出書房新社 1997)
『サイン・シンボル事典』(ミランダ・ブルース=ミットフォード著 三省堂 1997)
- 事前調査事項
-
『十字架について』(熊谷直俊著 聖公会出版 1987)
- NDC
-
- キリスト教史.迫害史 (192 9版)
- 参考資料
-
- 『世界シンボル大事典』(ジャン・シュヴァリエ著 大修館書店 1996)
- 『図説世界シンボル事典』(ハンス・ビーダーマン著 八坂書房 2000)
- 『総説キリスト教:はじめての人のためのキリスト教ガイド』(アリスター・E.マクグラス著 本多峰子訳 キリスト新聞社 2008)
- 『168の十字架:そのシンボルと黙想』(宋炳九著 キリスト新聞社 2009)
- キーワード
-
- キリスト教
- デザイン
- 図像
- 十字架
- シンボル
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000071177