レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018年09月06日
- 登録日時
- 2018/09/06 11:55
- 更新日時
- 2018/10/13 15:32
- 管理番号
- 2018.9-1
- 質問
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解決
「かくれキリシタン」と「潜伏キリシタン」は同じものか?
- 回答
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■参考図書
『日本国語大辞典 第3巻 第2版 おもふ-きかき』(小学館国語辞典編集部/編集 小学館 2001年)
「潜伏キリシタン」は記載されていないが、「かくれ-キリシタン」のみ記載がある。
「江戸幕府の切支丹禁制のもとで、ひそかにキリスト教を信じ続けた人々。長崎県の生月島、平戸島、五島列島、西彼杵半島などの一部では、明治になって禁制のとかれたのちも、カトリックの教会に帰属せずに表面は寺の檀家や神道の教派に結びついた旧来の信仰を守った。」
『国史大辞典』(国史大辞典編集委員会/編 吉川弘文館 1992年)
「かくれキリシタン」→「徳川幕府の信仰弾圧政治の中で、教会も宣教師も持たず、七世代にわたって伝承したキリシタンの秘匿的宗教形態を、信教自由の現代社会でなお維持しつづけている人びとと、その宗団組織をいい、(略)弾圧化の潜伏キリシタンとも区別する必要がある。」
「潜伏キリシタン」→「江戸幕府がキリスト教禁止令を出した慶長18年(1613)から信仰を表明して復活した慶応元年(1865)までの約250年間にわたり、禁圧・迫害のため潜伏を余儀なくされたキリスト教信徒。」「一方で潜伏時代以来の偽装を続け、混成宗教化した信仰習俗を固持している者が今なお生月・外海・五島に存在し、隠れキリシタンあるいははなれキリシタンと称されている。」
■図書
『九州キリシタン新風土記』(浜名 志松/著 葦書房 1989年)
『生月史稿 カクレキリシタンの島生月史』(近藤儀左ヱ門/著 芸文堂 1977年)
『カクレキリシタン』(宮崎 賢太郎/著 長崎新聞社 2001年)
『近世の地下信仰』(圭室 文雄/[ほか]著 評論社 1974年)
『山田のオラショ一座』(生月町博物館・島の館 2000年)
『日本キリシタン物語』(田中 将/著 角川書店 1966年)
『カクレキリシタンの実像』(宮崎 賢太郎/著 吉川弘文館 2014年)
『潜伏キリシタン』(大橋 幸泰/著 講談社 2014年)
以上の資料では、おおむね国史大辞典の解説通り、江戸時代の禁制下のキリシタンを「潜伏キリシタン」生月島など、独自の進化を遂げ、宗教の自由化の後もカトリック教徒とならなかった信徒を「カクレキリシタン」としている。以下の資料は別の説を記している。
『キリシタンの弾圧と抵抗』(海老沢 有道/著 雄山閣 1981年)
「潜伏する客観条件がなくなった今も、なお教会に復帰しない彼らは、宗教史学上、宗教社会学上、「かくれ」と呼ばるべきものではない。(略)史的用語としては、江戸迫害下の潜伏を余儀なくされた時代のキリシタンをこそ「かくれ」と呼ぶべきで・・・」
『昭和時代の潜伏キリシタン』(田北 耕也/著 日本学術振興会 1958年)
「現在の潜伏キリシタンはカトリク信者から「はなれ」と呼ばれている。」
『生月島のかくれキリシタン』(生月町博物館・島の館 2000年)
生月島のキリシタンのことを、学者によって「かくれ」「カクレ」「潜伏」と呼び方が違う事を記している。
国立国会図書館レファレンス協同データベースにも類似事例があった。
「かくれきりしたん」という言葉が江戸時代に実際使われていたのか、また、それがいつから使われていたのかということを示す文献が見たい。」
【https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000222121】
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 各教派.教会史 (198)
- 参考資料
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日本国語大辞典第二版編集委員会 , 小学館国語辞典編集部 , 北原, 保雄 , 日本国語大辞典第二版編集委員会 , 小学館国語辞典編集部 , 北原, 保雄. 日本国語大辞典 第3巻. 小学館, 2000.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I045843014-00 , ISBN 4095210036 -
国史大辞典編集委員会 編. 国史大辞典 3. 吉川弘文館, 1983-02.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000074-I000103119-00 , ISBN 464200503X -
国史大辞典編集委員会 編. 国史大辞典 8. 吉川弘文館, 1987-10.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000074-I000103124-00 , ISBN 4642005080 -
浜名志松 著 , 浜名, 志松, 1912-. 九州キリシタン新風土記. 葦書房, 1989.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002114439-00 -
近藤儀左ヱ門 著 , 近藤, 儀左ヱ門, 1902-1993. 生月史稿 : カクレキリシタンの島生月史 改定復刻. 芸文堂, 1998. (肥前歴史叢書 ; 2)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000004300117-00 -
宮崎賢太郎 著 , 宮崎, 賢太郎, 1950-. カクレキリシタン : オラショー魂の通奏低音. 長崎新聞社, 2001. (長崎新聞新書)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003040248-00 , ISBN 4931493297 -
片岡弥吉/著 , 圭室文雄/著 , 小栗純子/著. 近世の地下信仰 : かくれキリシタン・かくれ題目. 評論社, 1974.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I076122877-00 -
宮崎賢太郎 著 , 宮崎, 賢太郎, 1950-. カクレキリシタンの実像 : 日本人のキリスト教理解と受容. 吉川弘文館, 2014.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I025127172-00 , ISBN 9784642081009 -
生月町博物館島の館 (長崎県). 山田のオラショ一座 : 生月島のオラショ. 生月町博物館・島の館, 2000.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002890392-00 -
田中将 著 , 田中, 将. 日本キリシタン物語. 角川書店, 1966. (角川新書)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001081478-00 -
海老沢有道 著 , 海老沢, 有道, 1910-1992. キリシタンの弾圧と抵抗. 雄山閣出版, 1981.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001504759-00 , ISBN 4639000545 -
田北耕也 著 , 田北, 耕也, 1896-. 昭和時代の潜伏キリシタン. 日本学術振興会, 1954.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000932541-00 -
生月町博物館島の館 (長崎県). 生月島のかくれキリシタン. 生月町博物館・島の館, 2000.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002887912-00 -
大橋幸泰 著 , 大橋, 幸泰, 1964-. 潜伏キリシタン : 江戸時代の禁教政策と民衆. 講談社, 2014. (講談社選書メチエ ; 574)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I025414820-00 , ISBN 9784062585774
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日本国語大辞典第二版編集委員会 , 小学館国語辞典編集部 , 北原, 保雄 , 日本国語大辞典第二版編集委員会 , 小学館国語辞典編集部 , 北原, 保雄. 日本国語大辞典 第3巻. 小学館, 2000.
- キーワード
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- 潜伏キリシタン
- かくれキリシタン
- カクレキリシタン
- 隠れキリシタン
- 切支丹
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000242004